わたしなようでわたしじゃない彼女
誕生日が10日違い。性格もなんとなく似てる。
だけど、わたしなようでわたしじゃないの。
初めて会った彼女はとってもとっても小さくて、コロコロのちっぽを千切れんばかりに振っていた。
車の中でも彼女は落ち着きなく歩き、自分より随分と高いはずのクレートから脱走しようと試みたり、怖がることなく一緒にいる人たちに撫でくりまわされていた。
「何だかユウカに似てるのよ。」
と言われて“わたしってこんなに落ち着きないか”と思った。
そこからわたしはほぼ毎月彼女に会いにおばの家を訪ねていた。元よりよくお世話になっていたのだが、彼女が来てからはより一層拍車がかかった。
わたしが来るだけで目をキラキラさせながら
「いらっしゃい!!!!」とパワフルに挨拶してくれる彼女。数秒しか経ってないのに、くてんと寝転がってお腹をみせる。
もふもふの背中とは裏腹に、ピンクのお腹はピタピタしていて何だかクセになる触り心地だ。
「そんなに安心しきっちゃって〜わたしが悪い人だったらどうするんだ〜〜〜」そんなことを話かけてみても
「大丈夫なんでちよ!!!」とばかりの満点スマイルにやられていた。
会えば会うたびに違うことを学んで、それを披露してくれる彼女。その成長は目覚ましく、“なんだ、わたしより全然優秀だな”と羨ましく思った。
彼女と過ごせる時間はあっという間に過ぎ、県外に進学したわたし。彼女との時間は極端に減った。気づけば彼女には弟ができていた。
彼女とわたしは前ほど頻繁ではないにせよ、あいも変わらず良い関係が続いている。
彼女のママは
「人のお顔をぺろぺろしちゃいけません!」
というが、わたしは化粧をしていない日だけちょこっと舐めてもいいよと許可している。それが彼女の愛情表現なことを知っているから。
(長時間舐めさせるのはヒトにも犬にも危険なので注意してください)
人見知りせず、強気で、人をハラハラさせ、頭を撫でてもらうことが好きで、よく食べよく眠る彼女。
やっと5年、いや、もう5年……いまだに似ていると言われる彼女とわたし。
「彼女ちゃんには可愛さ負けちゃうよ〜〜〜」と姉バカをかますと
「ユウカもわたしには劣るけど悪くないわよ」なんて聞こえてきそうなドヤ顔。
あ。これは絶対似てませんわ。
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