東京都議会の選挙区定数配分(1)

 東京都議会議員選挙の投開票が間近である。そこで、今回から数回にわたって、都議会の選挙区定数配分について、とりあげたい。

 今回の選挙は、総定数127は変わらないものの、いわゆる「一増一減」で定数が増加した選挙区と定数が減少した選挙区が、それぞれ1つずつ発生した。具体的には、練馬区選挙区が定数6人から7人に増加したのに対し、大田区選挙区が定数8人から7人に減少した。

 また前回2017年の選挙では、いわゆる「二増二減」によって、選挙区の定数が変更されている。すなわち、町田市選挙区が定数3人から4人に、北多摩第三選挙区(調布市、狛江市)が定数2人から3人に増加した。一方で、中野区選挙区と北区選挙区が、ともに定数4人から3人に減少している。

 このように近年都議会では、定数の不均衡を是正する取り組みがなされている。議会内に定数是正に関する調査会が設置され、具体的なアクションとして、今回の定数是正の条例が提案されている。

 ただ完全に定数の不均衡が解消されているわけではない。現時点で、配当基数をもとにした定数よりも多く配分されている選挙区が4、定数が少なく配分されている選挙区が3存在します。筆者は、前者を定数過大選挙区、後者を定数過少選挙区と呼んでいる。

 定数過大選挙区は、新宿区選挙区、墨田区選挙区、杉並区選挙区、島部選挙区。このうち島部選挙区は、いわゆる特例選挙区といわれるものである。定数過少選挙区は、江東区選挙区、世田谷区選挙区、江戸川区選挙区。

 具体的にそれぞれの状況をみてゆくことにしよう。まず特例選挙区の島部選挙区から。この特例選挙区とは、配当基数が0.5未満の場合、隣接選挙区に合区しなければならないが、地理的な状況などにより、特例で選挙区の設置が認められた選挙区のことである。島部選挙区の人口は26,491人(2015年国勢調査。以下の人口も同じ)で、東京都全体の議員ひとりあたりの人口が106,419人で、これを計算したところ配当基数が0.25人となる。

  新宿区選挙区は人口333,560人で配当基数が3.13人ですが、定数は4人。墨田区選挙区は、人口256,274人で配当基数が2.41人で、定数が3人。杉並区選挙区は、人口563,997人で配当基数が5.30人で、定数が6人となっている。

 一方、定数過少選挙区の状況です。江東区選挙区は人口498,109人で配当基数4.68人にたいし、定数は4人。世田谷区選挙区は人口903,346人で、配当基数8.49人で定数が8人。江戸川区選挙区は、人口681,298人で配当基数6.40人で定数が5人となっている。

 定数過多選挙区の杉並区選挙区と定数過少選挙区の江戸川区選挙区の関係は、いわゆる「逆転選挙区」の関係になっています。江戸川区選挙区は、足立区選挙区(人口670,122人、定数6人)とも逆転選挙区になっています。新宿区選挙区と北区選挙区(人口341,076,定数3人)の関係、墨田区選挙区と府中市選挙区(人口260,274人、定数2人)の関係も逆転選挙区の関係です。

 このように都議会の定数不均衡の是正は、まだ不完全なのです。ではどうして、このような不均衡の状態になってしまったのでしょうか。これは、半世紀前に付け加えられたある条文が関係しているのですが、詳しくは次回に触れたいと思います。

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