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あまとみトレイル〜信越トレイル 200kmのパックパッキング(中編)


あまとみトレイルを歩き終えた後、
トレイルタウン「飯山」に降りた。

とりあえずタバコがないし、と駅中のコンビニでタバコとビールを買う。

宿は昨年にもお世話になった
「遊来〜Yukuru〜」
実家に帰ってきたかのような安心感があるゲストハウス。

電話をすると、宿のお父さんが早速迎えにきてくれた。
昨年の話をすると覚えていてくれたようだった。

その日1日は、ゆっくりと過ごし、街中の居酒屋で一杯…二杯飲んだ。

翌日はゼロデイとした。
台風が近づいているようで、日程的にはちょうどよかった。
台風が過ぎ去るころの昼過ぎに飯山駅へ向かう。
駅中の観光案内所で温泉について聞いてみるところ
「野沢温泉村」が良さそうなので行くことにした。
温泉が12ヶ所もあり、地元の有志の方たちが整備維持しているようだ。
温泉3ヶ所をはしごし、ビールを飲み、
気分はゆらり旅気分。

こんな感じの温泉地が12ヶ所

古き良き温泉街が残っていて、雰囲気がいい。
平日で台風の日ということもあり、人はあまりいなかった。

飯山駅から直通で600円40分ほどのバスがあるのでアクセスがよい。

街での食料補給も終え、翌日からトレイルへ戻る。
僕はロングトレイル中、この再補給の日程が好きだったりする。
歩き旅をしていないと立ち寄らないようなスポットだったり、
なんとなく入った店がめちゃくちゃ美味い店だったり、
なんとなしに会った人に聞いたところ、いいところをオススメしてもらったり。

サプライズが好きなんだきっと。
サプライズ、女性も好きな人多いよねサプライズ。
なんだかサプライズがあると、心の中で「や〜ん!嬉しぃぃいん!」とはならないけども
ニンマリ楽しんでいたりする。

21日、家を出てから5日目。
信越トレイルをスタートする。
斑尾高原ホテルへ戻り、チロル登山口から斑尾山へ再アプローチ。



この再アプローチが後日の行程含めて、トップランキングに入るくらいキツかったというか気だるかった。
斜度がキツい上にダラダラと続く登り。そして2日前に降りてきた道をまた辿るという精神的な苦痛に似た感情。

これも含めてロングトレイルだ と心から思えるようになったらきっと一人前なんだろうけど、僕はまだ全然思えない。
きっと今後もずっと思えない。

パランテパックスを背負った人が先行していて、速い。
とにかく速い。
パランテ背負ってる人はみんな速いのか知らんけども、
速い。

僕はというもの、荷物は軽いはずなのにのんびり休み休み登っていた。
だって時間たくさんあるもの。
というわけで信越トレイルスタート。

初日は赤池に泊まる。
昨年とは反対方向から歩いて行く。
斑尾山頂に着いた時はぼんやりと当時の記憶を思い出したもんだ。

歩いた覚えのない道を歩く。
いや、昨年歩いたはずなんだけれども。
たぶん記憶が飛んでいるんだろう。
昨年はとにかく暑さが辛く、経験が少なくて荷物が重く、それでいて体力もなかったように思う。
歩いているうちに、「あ、ここで休憩したな」
「あ、昨年はこのルート歩いたな」と思い出していった。
昨年の終盤は時間と体力の都合で少しショートカットをしたが、
今年はなにせ時間はある。信越トレイルクラブ設定ルートで歩いて行くことにした。
14時ごろに赤池キャンプサイトに着き、じんわりと記憶を思い出して行く。
雨は降らなそうなので、リッジレストを地面に投げて寝転んだ。

なにがあったっけかなぁと考えながら横になっていると
芝生の気持ちよさに1時間ほどうたた寝していた。

外を見ると僕以外のテントが1張。
天水山までのハイカーさんだった。


…この後の行程は
・桂池
・光ヶ原高原
・野々海高原
に宿泊をして進む。

印象深いところを通る。
記憶を拾い集めるかのように歩いて行く。



桂池に着いて、レジスターノートを見返す。

桂池のシェルター
レジスターノート。昨年と同じだ。

昨年の僕はここでヘトヘト&水のトレイルマジックに感激していた様子。
あぁそういえば大豆ミートがちょっと発酵して納豆ぽい臭いがしてたなぁと、コントラストと臭い濃いめの記憶を思い出す。
今年は1人で歩いている。
暇なので、ちょっと長めにレジスターノートに今年の分を書く。
このnoteを書いてる今、思い出すと少し恥ずかしい。

昼頃に着いて、雨がちらついていたのでシェルター内で寝転がったりして過ごした。
とりあえずタープを張って寝泊まりする準備を整え終わったあたりで2人組のハイカーが来た。

森宮野原から出て、斑尾山の方に向かうようだ。
2人は山岳部の先輩後輩。京都から来たようだ。
仲良しで楽しそう。
どこのトレイルがいい
信越トレイルはここがいい
どこに行ってみたい
こんな話で気づけば3時間弱くらい話していた。

この日は夜中雨が降っていた。
というか以後3日間、ほとんど雨が降っていた。


…光ヶ原高原に午前中に着く。
雨風が強くなってきそうなので早めに着いてよかった。
昨年とは様子が異なり、光原荘が閉鎖されている。
管理しているおいちゃんに聞くと、市の予算が保たなくて閉鎖してしまったみたいだった。

昨年会ったおいちゃんは元気かなぁ。

シャワーもビールも自販機もなくなってしまっていた。
が、管理のおいちゃんの心意気で
「今日は台風近づいてて雨風強くなっから、ロッジん中で泊まってっていいよ!」とロッジを開けてくれた。
ありがたく使わせてもらって、道中で濡れたものを乾かす。

にしても昼前に着いてしまったので暇だ。
ただスマホを見るのもなんだかなぁと思い(と電波なかったし)、外を眺めながらぼーっとする。
傘をさしてキャンプ場内をうろうろする。

信越トレイルハイカー向けにキャンプ場は残してあって、信越トレイル中で一番大きなキャンプ場ではないだろうか。
晴れの日はキャンプサイトBが気持ちよさそう。

本当にやることがなくなったので、
ダウンロードしておいた映画「A Walk in the Woods」を観て過ごした。
アパラチアントレイルを歩く年配のおじさん2人の物語だ。

いつか行ってみたいアパラチアントレイル。

僕は翌日からの道中、
映画と、以前YouTubeで観たアパラチアントレイルの映像と、信越トレイルを重ねて歩いた。
アパラチアントレイル好きの加藤さんが作ったトレイルだ。
きっとそのエッセンスは充満しているだろう。

雨続きということもどっぷりとそんな気分に浸かることができた要因の一つ。

モヤかかる森の道を
粛々と歩く。

派手な景色もなにもないが、
モヤの光景と濡れた緑が神秘的だった。
目の前のモヤに向かって、歩いているうちにどんどんと深く自分の中へ向かうような。
ほとんど人とすれ違わなかったのもよかった。

とにかくじっくり、気持ちいいペースで歩いて行った。
何を考えていたんだろうか。
たぶん何も考えていない。
信越トレイルは情報が豊富なので、何も考えず歩ける。
水場にもそう困らない。

途中元気なおばちゃ…お姉さん2人組に出会う。
ポンチョを着用している姿が珍しいのか
それともスルーハイクしてますって話に「元気出たわぁー」と言っていたのでその記念になのか
写真を1枚パシャリと撮られて別れた。
元気なお姉さんたちだった。

そうこうして、延伸区間前最後の野々海高原キャンプ場へと着く。
雨風はそこそこ強い。
着ていたポンチョタープを脱いで、ウィンドジャケットを着用し
ポンチョタープを張って寝床の準備をした。
時間はまだ昼過ぎ。
このまま森宮野原駅まで十分降りられる時間ではあるが、
のんびりとキャンプをして過ごした。

何もしない時間も必要だったんだろう。

翌朝になると、数日ぶりに雨が上がり晴れ間が見えた。
太陽っていうのは数日見ないと恋しくなる。


天水山に着いて、延伸前の信越区間が終わった。

二度目のこの区間だが、やはり素晴らしい。
歴史的な道を通り、自然豊かな道を通り、キャンプサイトで人と触れ合い、街に向かう。
ロングトレイルの楽しい要素をギュッと閉じ込めたような区間だ。
僕としてはぜひ、人が少ない平日でかつ天気が崩れがちな日に歩くことを勧める。
そして少し…足りないかもしれないな?くらいの装備で歩く方がきっと楽しい。
必要最低限。過保護であることを見直した装備。

足元はぬかるんでひたすら靴は汚いし、ベースレイヤーは濡れっぱなしになるしだけれども。
薄いマットを腹巻きにしたり、ポールが足りなくてペットボトルをポール代わりにしてタープの高さを出したりもするけれども。
歩いている中の創意工夫もきっと楽しいんだ。

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