あなたの心臓が今日も正確に鼓動してるってだけで、それは奇跡みたいにすてきなことなんだよ
病院で診察を受けてきた。
大きな総合病院だから混むだろうと思い朝早めに出発したのだけど随分待たされた。
Kindleで小説を読んでいたのだけど、スマホの画面を見ていると頭が痛くなってきて目を閉じた。
いつもは何時間でも平気なのに。
産まれたばっかりの赤ちゃんを抱いたお母さん、今にも産まれそうなくらい大きなお腹の方やお腹はまだ目立たないけど、マタニティーマークをつけた方。
婦人科も併設してるから、待合室にいる女性全てというわけではないけどほとんど妊産婦さんだ。
簡単な看護師さんの問診のあと、尿検査をしてそのあと体重を量る。
あぁ、この流れなつかしいなあ。なんて呑気なことを考えていた。
頭痛に耐えながら、早くよばれないかなぁなんて考えていると3時間してやっと呼ばれた。
診察室に入ると、今度は医師の問診。
持病や一人目の妊娠出産について経過を確認されると、待ちに待ったエコーだ。
前回の生理のタイミングから考えれば、もう心臓のピコピコが見えてもおかしくはない。
赤ちゃんに会えるのが楽しみだった。
先生が内診台で膣エコーの機械を入れる。
「あっ!」
モニターに映るエコーをみて、思わず声が出た。
素人でもわかるくらいはっきりと黒い空洞がはっきり確認できたから。
赤ちゃんのいる袋だ。
先生はそこからさらにじっくりとエコーを見る。
私はすっかり浮かれていた。
「『おめでた』は『おめでた』なんですけどね…」
「『袋』は見えるんですが、中に入ってる『赤ちゃん』がみえない…」
結局、心拍はおろか赤ちゃん自体を確認することはできなかった。
「排卵が遅れた可能性もありますから、基礎体温の履歴を持って2週間後に来てください。」
先生はそう言って、診察を終えた。
そうだよね…年も若くないしね。
そんな簡単に育つとは限らないよね。
冷静になろうと、帰り道で何度も自分に言い聞かせた。
帰宅すると疲れが一気に出たのか、頭痛が激しくなり横になって眠った。
ご飯の炊ける匂いに対する拒絶反応は日に日に強くなるのに…
食欲はなくなっていくのに…
胸は張っているのに…
赤ちゃんが育ってないとしたら、ただの思い違いかな。
今朝も祈るように体温を測る。37℃を超えていて安心する。
これが下がってきたら…いよいよ厳しい。
それでもお腹に手を当てて、挨拶する
「おはよう」
☆
正確に刻むあなたの胸のリズム。
それは、奇跡みたいにすてきなことなんだよ。
あなたにあえてよかった。
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