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【雑感】2023/4/8 J3-第6節 岩手vs相模原

保持と非保持の割合はほぼ同等の試合でした。相模原は前節と同じスタメンで、非保持のプレッシングの形は前節と同様に左SHの藤沼がCBへ左SBの橋本がSBへと出ていく形で左はダイナミックなタスクを担っていたように見えます。

岩手のビルドアップは両SBを前に上げて、2CB+2CHが3-1あるいは2-2になるというのがベース。CHのうち弓削がどちらかというと後ろ、李が前という役割分担だったのかなと思います。なので、CHのうち最後尾まで落ちるのであれば弓削が下りることが多く、その時には李がへその位置に入るというイメージでした。

相模原の4-4-2のような並び方に対してビルドアップ隊が3-1の形を取るのは言わば常套手段で、2トップに対して1枚多く最後尾に前向きな選手を置けるので脇から前進しやすくなるということを目論んだのかもしれませんが、そこに対して相模原が左SHの藤沼を前に出していくことで3-1の形を作ることによる優位性というのは持ちにくかったのかなと思います。

そのため、岩手は特に左サイドからは前進が難しく、藤沼、橋本のプレッシングを受けた時には前に蹴りだすということが多かったような気がします。


一方、相模原の保持vs岩手の非保持では、相模原は4バックが手前に引いた状態からスタートして、2CHは相手2トップの背中を取っておくというのがベースだったように見えました。

岩手の方は2トップ+両SHを相模原の4バックに噛み合わせに行くというイメージで、SHはいつでも前を覗けるようにスタンバイしていて、2トップが前に出た時には保持と同様に李が2トップの背中にいるCHまで出ていって、弓削が中央を埋めておくという役割分担だったのかなと思います。そして、このプレッシングがハマったのが岩手の先制点の場面でした。

相模原が加藤→竹重→田中→加藤とボールを回していきますが、各選手の距離が近く、パスに角度があまりついていなかったので、和田も李もそれぞれ二度追いすることが出来ています。

特に竹重から田中にボールが入ったところは、田中に対して李が縦方向に矢印を出してきているので、田中が落としのパスを出すとボールの通ったコースをなぞるように二度追い出来るので、受け手は次の選択肢が減りやすくなります。

相模原がこれまでの試合でやってきたことであったり、このシーン以外での加藤や山下のプレーを見れば、相手が寄せてきた時に勇気をもって少しでも運んでプレッシングに出てきた相手を外して自分がオープンな状態になることを目指しているのだろうと思います。

なので、この場面については加藤がボールを体の真下に置いてしまったことで次のアクションを起こしにくくしてしまったという技術的なミスというところに焦点が当たるのかもしれません。


相模原は失点以降、左SBの橋本を残して右SBの綿引を前に出すことで最後尾を3人にした3-2の形にビルドアップ隊の並び方を変更したように見えました。ただ、岩手の方はSHが相手SBに対して出ていくという設定が活きているので、橋本のところはそのままケネスが覗くことになります。なので、配置変更してもあまり効果が無かったのかなと思います。

ただ、数分経つと、今度はCHの吉武が左に下りて橋本を前に押し出すような変形をし始めました。それによって橋本がどいたことでケネスも動かせて、岩手の2トップ脇で吉武が前向きにボールを持てるという場面は作れるようになっていきました。


後半に入ると、岩手の方がビルドアップの時に弓削を下さずにへその位置に定位させて2-1の形を作り、李を前半よりも前に出やすくしたように見えます。そして、相模原の方もハーフタイムでCHを田中から金城に変更し、ビルドアップ時は吉武が2トップ脇に下りて橋本を押し出すというアクションは継続させつつ、金城がへその位置にいる2-1の形がベースになったのかなと思います。

さらに、相模原は58分にも3枚替えを敢行し、右SBにこれまでCHで起用されてきた牧山を入れて、2列目の配置も佐相が右、藤沼が中央、交代で入った若林を左という並びに変更しています。これによって、相模原の保持は金城がアンカー役、吉武と佐相がIH役になった3-5-1-1のような並びになりました。

そして、この変更の直後、橋本と吉武がポジションを入れ替えながらケネスを引き出すと、和田とケネスのゲートの奥で金城がボールを受けてターンし一気に逆サイドへ展開、牧山がダイレクトで折り返して松澤の同点ゴールが生まれました。

結果論ですが、岩手の2CHの役割分担として後ろでのカバーリングを担うことが多い弓削に近いサイドで金城が相手FWの背中からゲートに現れたので、岩手の方は金城がターンしてオープンに状態になることが出来るスペースが生まれやすかったのかもしれません。


後半になると加藤がより前へ運んでいくプレーが増えるなど、チーム全体として前向きな矢印が強くなるのはこれまでの試合と同様だったと思います。勿論、それによって多少オープンな展開になったとは思いますが、78分辺りなど相手を意図的に外して前進する場面は作れています。

実況の方が何度も「相模原は今季まだ前半にはゴールしていない」と言っていましたが、試合を壊したくないから前半はテンション抑え目で行こうと思ってやっているのか、そういう意識づけはしていないけどそうなってしまっているのか分かりませんが、個人的にはもう少し前半から前向きなプレーが成功する回数が増えて欲しいなと思います。


今回はこの辺で。お付き合いいただきありがとうございました。

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