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【誰かに話したくなる試合】レアルソシエダ(ポジショナルプレー) vs ナポリ(ゾーンディフェンス)

ゆうき(y2aa21)

今季のELで最も注目していたカードであるレアルソシエダとナポリの試合をUEFA.tvで観ましたので、その感想を。
なかなかこの試合のことを話せる人が周りにはいないので、誰か見ていた人に届け!と思いながら書きます。

スペインらしいポジショナルプレーによる丁寧なビルドアップと機能的な守備で現在ラ・リーガの首位に立つレアルソシエダは個人的に今季は観られる試合は全部観ようと思い立ち、開幕からのリーグ戦6試合は一通り見てきました。

対するナポリについては、昨季CLで大冒険を繰り広げた超攻撃的なアタランタに対して第4節の対戦で4-1と圧勝。さらに常に◇を作ってグイグイ前に進むアタランタに対して、ボール保持者に寄せて行った選手の斜め後ろのカバーリングを丁寧に行い、アタランタ得意のパスワークと推進力を完全に吸収していました。常にボールと味方を中心に守備を行うレベルの高いゾーン守備は非常に惹きつけられるものがあり、ここまで試合が開催されれば全勝(唯一の敗戦はユヴェントス戦の不戦敗)というのも納得です。

DAZNでのCL/EL全試合配信がなくなってしまった中、そんな両者の対決がUEFA.tvの配信対象になりましたので早速観てみました。

両チームのメンバーとフォーメーションは以下の通り。

試合はソシエダがボールを握って、ナポリが中盤エリアにブロックを作って構える展開が続きます。
そんな中でナポリはソシエダのバックパスやCB間の横パスを合図にプレッシングをかけていきます。そして、6'50にソシエダがキーパーまでボールを戻すと全体を前に押し上げて、GKのRemiroから外に開いた右SBのGorosabelへのボールが短くなったところをInsigneがカットし、空いている右SBのスペースへ切り込んでシュート。

惜しくも枠を外れましたが、味方同士の距離をきちんととってボール前進するソシエダに対して、人に対して潰しに行くのではなく、間でボールをカットして開ききったスペースを狙っていくというナポリのスタンスが表現されました。

ナポリはそれだけでなく、11'10には自陣でのFKを短くつないで始め、ソシエダが前がかりに守備をしてきたところをPetagnaのポストプレーとLobotkaで裏返して再びInsigneがゴール前までボールを運び、最後は抜け出したMario Ruiが浮き球でゴールを狙いますが、これもわずかに枠の外。

構えたところからのプレッシングと、自陣に引き込んだところからの裏返しでナポリがいきなり2回の決定機を作りました。

しかし、ナポリは20'05に左サイドでボールを奪い、Lobotokaがポストプレーから一気に前進しようとした際にドリブルをしたInsigneがハムストリングを負傷してLozanoと交代。ナポリは決定機の立役者を思わぬ形で失うこととなりました。

ソシエダの方はと言うと、ビルドアップではピボーテのGuevaraがナポリの2トップの間や背後にポジションを取ってここを閉めさせて、その脇からCBに運ばせて前進することを目論みますが、ナポリは脇から運ぼうとするとボールサイドのFWが運ぶ選手を中から外の向きに寄せて、ボールを外方向に限定させる動きを見せます。

これを受けてGuevaraは最初から2CBの間に下りることで、ナポリの2トップが脇を運んでいくCBに対して寄せて行ってもすぐにサポートできるようになり、ソシエダのビルドアップは安定していきます。

安定してボールを持てるようになったソシエダは32'10ように、左SBのMonrealが常にPolitanoから離れて前向きにボールを持ち、Politanoを引き出してからボールを出せるので、ナポリのプレッシングのスイッチを逆手にとってボールをゴール前まで運べるシーンも出てきました。

しかし、4バックがしっかりと中央ゴール前を固める堅牢なナポリのディフェンスに対してなかなか決定機を作れません。ボールは持たせても最後のところはやらせないというなんともイタリアらしい戦い方で前半は0-0で終了。

後半に入ってもお互いのスタンスは変わりませんが、54'16にナポリ陣内でのFKを短くつないで始めると、DemmeからKoulibalyへの後ろ方向へのパスにSilvaが反応して詰めるも寄せきれず、そのSilvaの背後でDemmeに前向きにボールを持たれると一気にソシエダ陣内へ前進します。左SHのLozanoから中央、右へと展開していくと、Bakayokoとのパス交換でフリーになったPolitanoがミドルシュート。これがSagnanに当たってコースが変わりそのままゴールへ。アウェイのナポリが先制します。

先制したナポリは59分に3枚替え。
2トップと右SHを交代して、プレッシングの運動量をリフレッシュします。


65'30にソシエダが決定機。例によってGuevaraが最終ラインに下りて3vs2を作りナポリの2トップ脇からCBが持ち運ぶことを狙います。右から進もうとして前を塞がれたら戻して左へ、左から進もうとして前を塞がれたら右へと何度かリサイクルを繰り返す中でOyarzabalと入れ替わって左サイドに流れたIsakが後ろに戻さずに一気に逆サイドまでロングボールを届けます。

大胆なサイドチェンジにより綺麗な4-4-2のブロックにズレが生じまず。ソシエダはズレによって生まれたスペースを使いながらゾーン3へ侵入していくと、ライン際のGorosabelに対してMário Ruiが外に対応しに出て行ったことで空いたCBとSBの間にSilvaが入り込んでグラウンダーのクロス。中央にいたPortuのシュートは枠内に飛びますが、Ospinaが間一髪、左手一本で弾きピンチを防ぎました。

ボール保持を強めるソシエダは67分にIsakとPortuを下げて、Willian Joséと Bautistaを投入、さらに78分の選手交代で陣形を3-5-2に変更します。

Guevaraはナポリの2トップのプレッシングを観察しながら最終ラインに下りたり2トップの背後に留まっていたものの、ここではっきりと最初から3CBにすることで、下りる/下りないの駆け引きにかける時間を省略。

最終ラインから1列前の外側へのボール前進はよりスムーズになりましたが、ナポリの両SH、SBの対応が非常に早く、また、SBが外に出た時のチャンネル間もCHが斜めに下がって埋める動き、中盤を逆サイドから1つずつ絞ってくる動きは終盤になっても非常にスムーズで、ソシエダは最後まで固いナポリのゴール前を崩せず。

アディショナルタイムにOsimhenが空中戦の中でLe Normandに肘打ちをしてしまい、この試合で2枚目のイエローカードをもらって退場しますが、0-1のまま試合終了。ナポリの勝利で試合は終わりました。

ナポリの相手選手の立ち位置にとらわれない規律の取れたゾーンディフェンスは非常に美しく、ラ・リーガ随一のポジショナルプレーを見せてきたソシエダがボールは前進すれども最後のゴール前をこじ開けられないのは今季なかなか見られない展開でした。

特にソシエダは両SBがナポリの中盤ラインを意識しながら幅を取りますが、その時のナポリの対応が見事でした。

これは10'02のシーンですが、左SBのMonrealがナポリの中盤ラインを越えた位置にポジションを取ってMerinoからのパスを受けます。すると、ラインを越えるパスに対しては1列後ろの選手がすぐさま前向きにアプローチをかけて縦のコースを塞ぎます。さらに、後列の縦を塞ぐアプローチに合わせて、ラインを越された中盤は塞いだコースよりも内側のスペースを戻りながら埋めて、ボール保持者に対して壁を作りました。

前進するコースがなくなったMonrealはボールを後ろに下げて、ナポリはこれを起点にソシエダの最終ラインの選手へプレッシングを開始し、最後はLe Normandにロングボールを蹴らせてボールを回収することに成功しています。

とは言え、ソシエダはバックパスが出た時にはCBや逆サイドのSBが全速力で後ろに下がり、安定して前を向くためのポジションを取る動きは見事で、ナポリのプレッシングが成功した場面はほとんどありませんでした。

これは誰がCB、SBに入っていても行われていることなので、ソシエダはクラブとしていかにボールを安定して保持するかを突き詰めていることが分かります。Jクラブの中にも最終ラインの選手がバックステップをしたりして相手との距離を取ってボールを前向きに受けさせるところも増えてきていますが。

ですが、ソシエダはこの相手から距離を取る動きをスプリントで行ったり、バックステップのスピードも非常に速いので、ナポリが最終ラインまでボールを追いかけられるシーンは多く作ることが出来ませんでした。

ボールを保持したいソシエダと、相手に保持させることを許容するナポリという両チームの思惑が噛み合う試合になりましたが、グループステージ最初の対戦はナポリに軍配が上がりました。

スペインのポジショナルプレーとイタリアのゾーンディフェンスという両国のフットボールスタイルを高レベルで表現しあうチーム同士の対戦がCLではなくELで見られるというところに、欧州トップリーグのレベルの高さを感じます。

果たして、次にナポリのホームでこの対戦がやってきた時にはどのような展開になるのか、そして日本国内からその模様をフルタイムで観ることが出来るのか、ドキドキしながらその時を待ちたいと思います。

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ゆうき(y2aa21)
サッカー未経験者が真面目にサッカーを考える。浦和レッズの「3年計画」を定点観測します。