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【参政党10の柱(8)】「主権者」「国民」「有権者」の使い分け→大日本帝国憲法&新臣下新専断政治と民

『8. 国民自らが選択し参加する「納得の政治・行政づくり」』

イントロ,

政治や行政の主役である主権者本位の社会をつくります。 国民に対して「正直」な政治のもとで、主権者の意思を体現する「現実的な」政策や行政を、有権者の「納得」が得られるように実現できる仕組みを構築します。 地方では住民自治のもとで、自治体を「経営」する行政へと変貌させ、地方の真の自立と住民本位の行政を実現します。

当然で,良いことを書いているように見えるが,不思議なところがあり,その底が見え隠れする.極めて危ない可能性が見える.その線を記す.

主権者・国民・有権者


1,2番目の文に,「主権者」,「国民」,「有権者」が,わざわざ離れて出てくる.まるで,それぞれ別個の存在であるかのように.そこから,彼らの憲法改正は行き着くところ,単なる軍事費増,軍事優先・国民監視国家ではなく,大日本帝国憲法ではないか,という疑いが生じる.

本来,例えば以下のように書かれるべきであろう.何故そうしなかつたのか?何故上記の表現を選んでいるのか?

/// 国民主権の大原則に基づき,また代議制民主主義の下,選ばれた代表者・代議士として国会議論に参画しそしてそれによって政策や行政に影響を及ぼし,そのことによって,選んで頂いた有権者の期待される社会実現に向かって努力・邁進します. ///

主権者の「現実的」な・国民に対して「正直」な政治・有権者の「納得」

2番目の文はかなり複雑.3つの部分に分けられる.
主たる部分は,

主権者の意思を体現する「現実的な」政策や行政

その前後にあるのが

国民に対して「正直」な政治

有権者の「納得」が得られるように実現できる仕組みを構築

ここでも問題は何故「主権者」「国民」「有権者」と使い分けるのか?そこで,敢えて使い分けていると判断し,また極右的傾向を考慮して,「主権者」は新憲法下ではなく大日本帝国憲法下の天皇であると了解する.すると,こういう意味となる.

/// 国民に対してわれわれの「正直」な政治,すなわち主権者天皇陛下の御意思(すなわち我々の意志でもあるもの)を体現する「現実的な」政策や行政を行う.その際,有権者すなわち参政党に投票してくれる人の「納得」が得られるように,そしてその数の増大が実現できる仕組みを構築する. ///

「経営」する行政


3番目の文は地方行政. ここで気になるのは,

自治体を「経営」する行政へと変貌させ

という文言.

「経営」する行政とは何か?好意的に解釈すれば,いわゆるお役所仕事を脱して合理的なそれであろう.しかし,具体的に何も書いてないところを見ると,これは,先ずはコストカットつまり行政サービスの低下と人件費総額のカットであり,次には単なるコストカットに留まらず,「経営」への変貌とまで言う以上は,例えばインフラの中国企業への売却(当然水道料金などの値上げに直結)へと進むのを止められない.極右は今やグローバル中国の走狗か?悪夢.もっとも表面的に,「3つの重点政策」で「外国資本による企業買収や土地買収が困難になる法律の制定」とあるが,不十分だろう.「現実的」に解決するのであろう.

議員立法


次に項目の部分.
項目2,3はもっともなように見える部分もある.

議員立法を原則とするなど、国会を国民のための政策を議論する場へと作りかえる。

政策のプロとしてのキャリアパスを軸とする公務員改革により、官僚機構から権限への固執、「天下り」や「肥大化」を一掃。

「議員立法を原則」.その通り「議員立法」は大事であるが,原則は言い過ぎ.

特に新人議員は言わば雑巾掛けの1つとしての議員立法で頑張るべきであろう.しかし,議員の本分は具体的で精密な議論である.特に志ある者は,あるいは小規模ないし振興政党は,政権与党・主流派とは別の観点から,天下国家を論ずるのが第一にすべきこと.二流利権グループの代表者に過ぎない場合はともかく.

参政党はこの程度の常識を知らないようだ.好意的に言えば,二流利権グループの代表者に過ぎないにもかかわらず,天下国家の歌も歌う,あの党よりはナイーブと言えるかも知れない.

公務員は何のプロ


「政策のプロとしての…公務員」は可笑しい.それでは新人議員の出番が無くなる.「議員立法」が大原則と言っておきながら,「議員立法」の立法とここの政策とは別なのか?
また,優秀な公務員を知らないのだろうか.「政策のプロ」というより本来の職務・行政実務のプロとしての優秀な公務員を知らないのだろうか?
あるいは両者で仲良く一緒に政策立案するのであろうか?かりにそれが行われるとしても,全体主義国家で融合している場合以外は,「政策のプロ」である職員はその時間を如何に公平に議員間で配分するか,という問題が生じる.

その先の不明感と「国民に提供できる価値」とは何か?


それはさて置き,これらは以下の項目1を前提にする以上,門を通った先も見る必要がある.

国民に価値を提供できるプロフェッショナルな政治家や官僚を輩出するよう、回転ドア式のインスティチュートの設立や選挙制度の抜本改革を推進し、官民・各分野・年齢等の区別なく有為な人材が政治や行政を担う国をつくる。

「回転ドア式のインスティチュートの設立や選挙制度の抜本改革」,具体的なことが不明なので判断が難しいが,前者は官僚に関するものであろうが,「回転ドア式」これでは選抜方式でないようだが,「プロフェッショナル」を担保するものは何か?さらに,定員以上だった場合,どうするのだろう.後者の「選挙制度の抜本改革」は何の説明もない.

そして,この2つが連動すると,「回転ドア式のインスティチュートの設立や選挙制度の抜本改革」が,曖昧さを多く含むため,国のためというよりは党のためのものと区別つかなくなり,結果は党のための全体主義的な世界を作るための一石となる可能性がある.

要点は,「国民に提供できる価値」は何か?そこでどのような思想を教えるのか?という点に立ち戻ることになろう.

何のための「最先端の情報技術基盤」?


項目4と6.

国民の納得と政治による国家経営を可能とする基本インフラとして「財政の見える化」、公会計改革、政策評価システムの構築などを推進。

ブロックチェーンなど最先端の情報技術基盤を導入し、より付加価値の高い人間の血の通ったテーラーメイドの行政を実現する。

「ブロックチェーンなど最先端の情報技術基盤」は,【参政党10の柱(3)】のトンデモ・デジタル円で述べたように,野放図で無責任な財政運営が可能となるので,項目4の「財政の見える化」・公会計改革・政策評価システムは,無意味となる.つまりこれらはしてもしなくても,「ブロックチェーンなど最先端の情報技術基盤」は問題そのものが解決済みであり従って浮き上がってこないシステムだから.

本当に分かって言っているのなら大悪人の可能性があるが,それでは無いと信じたい.

しかし,「ブロックチェーンなど最先端の情報技術基盤を導入」し無くとも「人間の血の通ったテーラーメイドの行政」はできると思う.

むしろ導入すると,個人情報の濫用問題が特に法的意識あるいは常識の無い地方では繁雑に起こる可能性が高い.たとえ「ブロックチェーンなど最先端の情報技術」内部ではその問題がクリアできていても,その前段階など周辺でどうクリアするのか,穴だらけになる可能性を排除できない地方が多いと思う.

中央依存の無い「自らの力で経営」の内容は?


項目5.

中央依存を促す諸制度を作り変え、地方が住民の意思により自らの力で経営する場となることで、多様な地域社会が全国各地に展開する国づくりを進める。

地方政府論のレベルで「経営」という言葉を使うには慎重さが必要.「中央依存…諸制度を作り変え、地方が…自らの力で経営する」ということは,直に行政サービスの劣化に繋がる.この党はそのロジックも知らないのかも知れないが.

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