レジ袋商品化の凍結

どうやらレジ袋の商品化から約1年、早くも凍結される可能性が出てきた。
巷にいう「レジ袋有料化」の廃止に当たる。

レジ袋の商品化

そもそも、今般のレジ袋商品化は、プラごみ問題に目を向けるキッカケを作るためである。
日本から毎年排出される廃プラスチックのうち、レジ袋が占める割合は2%程度である。
レジ袋の削減によるプラスチック問題に与える影響は極めて限定的であることは明らかなようだ。

あくまで考えるキッカケということである。
これは、レジ袋商品化が決まってから、すぐに経産省が公表する資料や根拠となる省令に当たっていた。

環境税めく利用料金

レジ袋の商品化は、見かけ環境税みたいなものだが、事業者に徴収した料金の納付義務はない。
また、その料金の処分方法にも制限や指定はない。
当然、税法上の考え方や会計上の勘定科目は、商品を販売したと同じ科目で計上する。
つまりは、レジ袋の商品化といえる。
付け加えるならば、何を買ったものを入れようとレジ袋の消費税率は10%である。
したがって、レジ袋の商品化といえる。

こうしたレジ袋商品化は、経済的手法としての利用料金といえる。
したがって、レジ袋の商品化にあたる。
それも省令による強制。

元を断つという考え方もあるが、補助金の支給による技術革新も、環境対策として有効だろう。
繰り返し使用が可能な厚さ50µm以上のもの、重量に占める海洋で微生物によって分解が促進するプラスチックの重量の割合が100%であるもの、重量に占めるバイオマスを化学的方法又は生物的作用を利用する方法等によって処理して製造された素材の重量の割合が25%以上であるもの、それぞれの積極的な生産と流通に補助金を支給する方法である。

諸外国に目を向ければ、レジ袋それ自体を禁止するところもある。
これを踏まえると、商品化ではなく禁止という選択肢はなかったのだろうか。
(これについては、省庁の検討資料を読んでみる必要があるだろう。)

レジ袋商品化に伴う課題

中でも、万引きが増えて困ったという話もある。
これは商品化の話が決まって以来、ずっと言われてきたことだ。
万引き防止のためにレジ袋を使うという考え方も悪くはないが、「万引きが増えるからレジ袋商品化はけしからん」という論調は少し考えものである。

万引きとレジ袋は別

万引きとレジ袋商品化の問題は切り分けて考え、他に適当な手段がないかを検討したい。
その方がレジ袋の無償配布以上に効果のある対策も立て得るので、経済にもプラスだ。

たとえば、Amazon Goなどの無人店舗という選択肢もある。
何が嬉しいのかといえば、システムにもよるが手に取った商品を自動で認識し、退店時に自動で決済してくれるのだ。
これであれば、万引きは成立しない。
仮にセルフレジ設置タイプの無人店舗であっても、手に取った商品の自動認識で万引きは防げるだろう。

これは、DVDレンタルなどにも応用できる。
これまでは、ゲートをつけて、ゲートに反応するものを商品にかませていたが、これが不要になる。
もっとも、その製造元にとっては迷惑な話だとは思う。
ただ、こうした変化の中で、誰かの仕事が脅かされるということは避けては通れない。

マイバッグの過剰な流通はないか

レジ袋の商品化に伴ってマイバッグを持とうという動きは良い。
ただ、「マイバッグがもらえる」などでマイバッグを必要以上に手にすることはないだろうか。
衛生面の課題も指摘されており、今のマイバッグは、すべからく簡単にお手入れできるのだろうか。
同じことをマイタンブラーなどについても言える。

環境ビジネス

しばしば、SDGs含め、こうした話題では「環境ビジネスだ」という批判がある。
それは批判になっていない。
世界の多くの国々は資本主義社会であり、全てにおいてビジネスが関係している。
ましてや、お金にならないことをやろうと思う集団は極めて少ない。
そして、お金にならないことに資材を大量に投ずる勇気のある集団も極めて少ないだろう。
その意味において、人々、特に集団を動かして広めるためには、いかにビジネスと絡めるかにかかっている。

そもそも、ビジネス=悪、お金=悪という公式は成り立たない。

環境に限らず、ほとんどがビジネスだ。
ただし、変な利権は御免であることに違いはない。
もっとも、便乗して紙製バッグも有料にする事業者もあることには、よく趣旨は分からない。
より清潔に保てる技術を開発したり、より長持ちする製品を開発したりする中で、社会に良い製品・サービスが生まれる。
大変結構なことではないか。

手続き如何

レジ袋商品化の是非は別として、ここでは手続きの話をした。
そして、単なるレジ袋の商品化が与える直接の影響だけでなく、その背景や取り巻く課題などについても触れた。
0か1かという話も少しよろしくないが、その話に捕らわれて、それ以外の選択肢や事情を見ないというのも、よろしくない。

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