ネットは判らんでは困る

ネット上での誹謗中傷対策が、改めて話題にあがった。
この問題は、今にはじまったことではない。
私がネットを使い始めたころ、10年ほど前から、ずーっと言われ続けていることである。
ネット上の誹謗中傷をはじめ、青少年を取り巻く情報環境、犯罪などを理由として、「法整備が必要だ」と耳タコレベルだ。

このようなネットと不法行為・違法行為には、常に「表現の自由」との対立がある。
何もネットが無法地帯というわけでなく、出版権などで従来から検討され続けてきたことでもある。
それまで出版などは、極一部の限られた人物のみが広く一般に表現できていた。
ネットの普及で、誰もが、いつでも、どこでも広く一般に表現できるようになったことで、リスクが大きくなったと言える。
原則として、被害を受けた人が親告することで、それが好ましくないものと理解される。
法が一律に好ましくないものとできるのは、一般に公序良俗に反するなどで、誰が見ても良くない内容に限られるだろう。
それらが、侮辱や名誉棄損、信用毀損・業務妨害などだ。
これ以外にも権利侵害なども考えられるが、著作権法などの知財関係の法で対応できる。
どちらかといえば、相手を特定する手続きが大変面倒臭いということを改善する必要がある。
現在、軽微な罰則で、弾力的な運用をしようという流れもあるようで、これはこれで「ありかな」という気もしてきた。

さて、本題だ。

政治家はネットを使ってくださいませぬか。

ネット選挙解禁だと話題になった2013年、多くの人がイメージしたネット投票ではなく、ネット上での選挙運動が解禁された。
今、有権者は、地元政治家の活動を知りたいとき、議員のサイトに飛べば、詳らかに情報を取得できると言える状況だろうか。

ネット上から情報を収集して分析する能力は、全ての人に必要だと思うが、政治活動を収集する労力が計り知れない。
政党のホームページやニュース記事、国会議事録など、さまざまな場所に散らばる地元政治家の情報を、有権者各位が鋭意集めよというのだろうか。
入ってくる情報を受け取って、うのみに投票行動をすべきでないことは確かであるが、ある程度の情報を効率よく得られれば、同じ労力であっても、得られる情報量が変わってくる。
余力で、プラスアルファの情報を仕入れられる可能性があるからだ。

政治家がネットで積極的に情報を発信することによる嬉しいことは、政治の状況が有権者に詳らかになるだけではない。
政治家の主張を比較するサイトなどが、情報を引っ張ってきやすくなるだろうし、そうした界隈の取り組みも活発になるだろう。

ましてや、立法などで表現の自由やネット上の課題に取り組まねばならない立場にある議員が、ネットの肌感覚がなくて良いのだろうか。
デジタルだと高らかに言うのに、ネットはよく判らなくて、何の議論ができるのだろうか。
文化を大切にする議員が、ネット文化を知らなくて良いのだろうか。
無暗に規制すると、そうした新たな文化の発展を阻むおそれがある。

ネットに消極的な"お仕えする""先生"を持つ秘書たちは、国益のために、"先生"を説得して、タイピング(タップ)をしてでも、情報発信をしてはどうか。
これはネット番組に出演すれば良いというだけの話でもない。

なお、何か自分にとって、大切な催事があるときのみ、活発にネットを利用していては有権者に見抜かれるので、ネットの使い方・関わり方には注意が必要だろう。

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