最賃1500円
現在、課題となっている病がある中、最賃が引き上げられることは良いことだろう。
それだけ、現在の経済状況であっても、将来に向けた影響が少ないと判断し、最賃引き上げによる好循環を期待するということだ。
「令和3年度地域別最低賃金額改定の目安に関する公益委員見解」を確認されたい。
全国加重平均も930円と、順調に更新できている。
目指す全国加重平均1000円も、あと4年前後で達成できそうか。
他方、最賃全国一律1500円という意見もある。
加重平均と異なり、いかなる場所であっても、最賃が1500円ということだ。
最賃の引き上げは、労働者の経済状況を好転させ、一定以上の生活水準を確保でき、消費にも繋がることから、良いと見えるだろう。
ただ、社会経済が良く、企業に十分な利潤がなければ不味い。
だからこそ、失業率なども慎重に加味されている。
たとえば、給与として支出できる額面が1万の企業があるとしよう。
1人頭1000円の給与を支払う場合には10人雇えるが、1人頭1500円になると6.6人しか雇えない。
実際には、3.4人を簡単に切るわけはないので、1人あたりの労働時間を減らすか、取引先の取引額に転嫁(当然ダメなのだが)するか、予算1万の範囲でおさめようとする。
こうなると、最賃は上がるが収入は同じということになりかねない。
労働力の市場価値よりも高い位置に最賃があると、労働力の需要が下がってしまう。
その意味で、社会経済と企業の利潤、失業率が重要そうだ。
最賃を避けようとすれば、「個人事業主と契約」という形で、取りまとめ役を担おうとする企業が強くなるかもしれない。
個人事業主であれば、労働者ではないので、取りまとめ役からしたら、最賃の概念はないはずだ。
ついでに、非正規労働者が10年で2倍だとか、増えたとか、そうした意見がある。
これは、その数字だけを見れば、事実なのだろう。
ただ、正規労働者も相当な数増えているから、長い時間軸と正規・非正規の割合で見れば、驚くべきことではない。
むしろ、正規が増えていないのに非正規が増えたら問題だが、そうではないのだ。
このあたりの数字も、割と見極めた大変だと聞く。
たとえば、就業したい人がどれだけ就業できたかを見るときも、「就業する意思がある人のうち」という前提なので、「就業したくても諦めた人」が省かれてしまう、など。
労働者としては、最賃が上がれば上がるほど、嬉しいものだが、社会全体や構造を踏まえると、慎重な議論が必要だ。
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