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七色のポエジー(書きとめておきたい古今東西の詩句)

第287回 われわれが始まりと呼ぶもの(エリオット)

What we call the beginning is often the end
And to make and end is to make a beginning.
The end is where we start from. And every phrase
And sentence that is right.
(われわれが始まりと呼ぶものはしばしば終わりであり、
 終わらせることは始めることだ。すべての正しい句と文は、
 終わりであり、始まりである)
 
 英国の詩人、T.S.エリオット(Thomas Sterns Eliot, 1888~1965)の長編詩「リトル・ギディング(Little Gidding)」から。第二次世界大戦中に書かれたこの詩は「真冬の春(Midwinter spring)は独自の季節」という書き出しが有名。エリオットが自ら体験したドイツ空軍によるロンドン爆撃を反映し、生と死の超越が感じられる。
 リトル・ギディングの名は、英国ハンティンドン州にある国教会のコミュニティに由来する。清教徒革命で敗走した国王チャールズ1世が処刑される前にこの地を訪れた。その後、コミュニティは清教徒により破壊される。
 エリオットは米国セントルイスで生まれ、ハーバード大学を出た後、英国のロイズ銀行に就職した。1927年に英国に帰化する。早くから文筆活動を始め、ハーバード大学に入学する前年に短編「昔は王様だった男」を発表している。1948年にはノーベル文学賞を受賞した。

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