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七色のポエジー(書きとめておきたい古今東西の詩句)

第399回 セミとアリ(ラ・フォンテーヌ)

Que faisiez-vous au temps chaud ?
Dit-elle à cette emprunteuse.
Nuit et jour à tout venant
Je chantais, ne vous déplaise.
 Vous chantiez ? J’en suis fort aise:
 Eh bien ! dansez maintenant.
(アリはセミに聞きました。暑い季節には何をしていましたか。
 はばかりながら、昼夜を問わず、みんなのために歌っていました。
 歌っていた?それは結構。では今度は踊りなさい)
 
 フランスの寓話詩人、ジャン・ド・ラ・フォンテーヌ(Jean de la Fontaine,1621~1695)作「セミとアリ(La Cigale et la Fourmi)」の最終6行。イソップ寓話を下敷きにしたこの寓話詩は1668年に出版された『寓話詩(Fables)』第1集に収められている。この有名な話は、セミを知らない北欧の人たちによって「アリとキリギリス」に変形された。
 ラ・フォンテーヌはフランス北部シャンパーニュ地方で生まれ、パリで教育を受ける。父から森林監督官の職を譲り受け、パリと郷里を往復する生活を送った。
 文芸庇護者であった財務総監フーケの知遇を得、お抱え詩人となる。フーケが失脚した後は、貴族の食客として過ごした。40歳過ぎから生涯書き続けた『寓話詩』は240篇に及び、ラ・フォンテーヌの名を不朽のものにした。


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