七色のポエジー(書きとめておきたい古今東西の詩句)
第300回 太陽を見つめる(ペトラルカ)
Son animali al mondo de si altera
vista che ‘contra ‘l sol pur si difende;
altri, pero che ‘l gran lume gli offende,
non escon fuor se non verso la sera;
(この世には眼光鋭く太陽を見つめる生き物もいれば、
強い日射しに耐えられず、日没後だけ外に出るものもいる)
中世イタリアの詩人、フランチェスコ・ペトラルカ(Francesco Petrarca, 1304~1374)の『歌の本(Canzoniere)』第19番の冒頭部。この後段で、<自分にはまばゆい貴婦人の光を見つめる力はなく、暗い場所に潜んで身を守るすべも知らない>と続く。そして、わが身を焦がしてしまうことを知りながら、永遠の美女ラウラの光芒に視線を送ってしまう。
ペトラルカはトスカナ地方の公証人の父のもとに生まれた。8歳のとき、教皇庁が移ってまもない南フランスのアビニョンに転居。そこでラテン語教育を受ける。ボローニャ大学で法学を学んでいるころ、イタリア語で書かれた俗詩に接し、新しい文学に目を開かれた。
1326年、父の死を機にアビニョンに戻る。その翌年の聖金曜日、聖女クララ教会でラウラに出会う。運命的なその瞬間、詩的霊感を得た抒情詩人が誕生した。それ以来、学者また詩人として名声を高め、1341年には桂冠詩人となった。
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