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七色のポエジー(書きとめておきたい古今東西の詩句)

第311回 墓碑銘(ヴィーラント)

 Liebe und Freundschaft umschlang die verwandten Seelen im Leben,
Und ihr Sterbliches deckt dieser gemeinsame Stein.
(愛と友情は、この世で相似た魂を結びつけた。そして、彼らの儚い命はここに合わさった墓石の下に眠る)
 
 ドイツ叙事詩の父、クリストフ・ヴィーラント(Christoph Wieland, 1733~1813)が自分のために書き残した墓碑銘。先立った妻のアンナ・ドロテーアの傍らに葬られた。ゲーテはヴィーラントに捧げる弔辞で<人間と作家は、彼の心の中で完全に調和していた。彼は生きている人間として詩作し、詩作しながら生活した>と称えた。
 ヴィーラントは南ドイツの寒村で牧師の子として生まれた。幼少時から厳格な教育を受け、古典語を習得した。長じてテュービンゲン大学で文学や法学を学ぶ。帰郷して公務員として働きながら、詩や小説を書いた。
 1760年代から物語詩や小説が評判になり、ヴァイマル公国の王子の教育係として招聘される。ここでゲーテやシラーとの交流が始まる。その後、次々と文学作品を発表し、名声が高まった。1794年に42巻に及ぶ全集が発行された前後、その名声はゲーテを凌ぎ、全ヨーロッパに鳴り響いていた。
 

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