メールが冷たい人の話
今アルバイトをしている会社にメールが引くほど冷たい人がいる。
彼女は東京本部の人、私は大阪支部の人で業務上で質問や連絡事項があれば基本メールである。
たまにLINEでも連絡する。
その彼女がとにかくとにかく冷たいのだ。
基本的に挨拶含めてメール文は3行である。
守秘義務があるので具体的な内容は書けないがその端々から私は知らない、関わりたくない、面倒くさい、そんな言葉が聞こえてきそうな文面である。
例えばAについて知っていますか?という質問をすれば
「知りません。私の担当ではないです」
とだけ返ってくる。
じゃあ、だれの担当だとかどこに聞いたら担当知ってるかもとか、何の情報もない。
さもこちらと関わりたくないといった文面をここ一年ほど、お相手しているがとても疲れる。
どうしてこんなにも冷たいのか、東京本部にいる上司にそれとなく探ってみると、いろんな事情があることが分かった。
まず彼女は管理部門の人なのだが、大阪支部は書類の提出が全体的に遅いという。
彼女の仕事を滞らせているのだ。
そこは素直に申し訳ないがこちらもできる限りの対策を行ったうえでの現状である。引き続き上司殿に頑張ってもらうようにするものの大幅な改善は難しいだろう。
さらにどうも彼女は今の仕事に不満があるらしい。
気持ちはわかる。
マニュアルもない、縦割りもはっきりしない、給料少ない、労働時間長い。
不満もたまるだろう。
同じフロアで働く東京本部の人より遠く離れた大阪支部の方が不満もぶつけやすいし、業務への支障も少なそうだ。
それにしてもサンドバッグにされるこちらはたまったものではない。
ちらっと話した通りマニュアルもくそもない会社なのでわからないことは私より社歴が長く管理部門の実務担当者である彼女に聞かなければならないことも多い。
それなのに毎回ものすごく冷たいのである。
普通の人よりほんの少し、相手の感情に敏感な私はいつも泣きそうになりながらメールを確認することになる。
あぁ、今日も冷たかったと……。
直接会えばそんなに冷たい人でもない……こともないがオブラートに包むくらいできるのにメールだとオブラートを脱ぎ捨ててくる。
コミュニケーションとは複雑だ。
言葉では伝わらないことも表情や声音で伝わることもある。
その逆も然り。
業務上のメールで過剰な気遣いを要求するわけではないが、顔が見えない、声が聞こえないからこそ相手を労わる気持ちを忘れたくない。
彼女のメールを見ながらいつもそう思いなおす。
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