底に至るまでの窒息 [詩]

夜はあなたを超えてわたしのもとへ届きます
ずっと明けなければいいのに
もっと疾く朝がくればいいのに
もううまく機能しない気持ちと
作り話に気づいた時から
ぽっかりとあなたが空いた
身体が邪魔でなりません
真空管アンプの夢で
わたしが増幅されます
嫌いなあの日も
好きなあの日も
どちらも膨れ上がって
むらさきを覚えます
紫苑に絡めた空華が見えます
夜に尋ねてみてください
きっとあなたはわたしの毒になり、
わたしはあなたの毒になります、
もっと違う方法で
あたらしいとかふるいとかではなくて
干からびていたくない
溺れていたい
窒息していたい
真空管の夢でわたしが毒になる
外の方が明るくなってきたら
どっとつかれたわたしたちが
身も心もクタクタになるまで
疲れてしまうときづけば
もっと分け合えたかもしれない
あなたに振り回されて
わたしを振り回して
切断と反復を順番に繰り返していたい。
わたしはもちろん傷つくけど
あなたはもっと傷つけてほしい
翻弄しあえば
真空管の苦しさをもっと思い出す
あなたに作られた底で
わたしは夢になり、
真空管で歌いだす、
失せては蘇るこの気持ちが腹立たしい
窒息させてください……
 窒息させてください……
  窒息させてください……

溺れろ!
 溺れろ!
吠えろ!
 噎せろ!
嗚咽がききたい!

苦しみに耐えるちからがないなら……
臆病だ
弱虫だ
卑小だ
卑猥だ
陰湿だ
苦しい苦しい
何が苦しい、何が、
何かを錯覚して生きています
何かを錯覚して生きています
人間をすることに向き不向きがある
人間をやめますか?
人生やめますか?
あの世でやり直しますか?
人生を誰かに口座振替できますか?
人間やめますか?
ほーん
やめるんだ
やめよやめよ
あきたあきた
ほんまにあきたわ
いっしょにしよ

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