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性欲と、性的渇望の違いについて

実は、私が性依存症のWebサイト、性依存ヘルプサポート(https://www.sexualaddiction-help.com/) を運営する以前に、ブログをやろうと一念発起したことがありました。

その時のブログがこちら。
http://xxnotxalonexx.livedoor.blog/archives/6239718.html

私は「コツコツと継続する」というのがとても苦手な性格で、結局以前のブログは更新はぱったり止まってしまっていました。しかしありがたいことに、「性的渇望について調べて、このブログに辿りつきました」というお声を何度かいただいています。

言葉として残しておいた1年前の自分、偉いぞ!と思いつつ、こちらのブログにも、少し補足を加えた上で再掲させていただきます。

性的渇望(せいてきかつぼう)とは何なのか?

性的渇望とは、「セックスや自慰などをしなければ潤うことのない、心の渇き」です。これは一般的に人間誰しもが持つ性欲とは違います。

一般的な性欲は生理的欲求から自然に発生します。魅力的な異性に対して「仲良くなりたい」と思うことで欲情したり、恋人との愛情の間でわき起こったりします。

それに対して性的渇望は、自分の中にある不安や空虚感や心の傷を、性的な行動で埋めたいという衝動が引き金になり、心の渇きをもたらします。なので性的渇望に晒されている時は、自ら性的なものにアンテナをのばします。


性的渇望がもたらす「性行動」

性的渇望は欲求ではなく「渇き」なので、衝動はとても強く、耐えがたいものです。大げさでもなんでもなく、「性的なことをしないと死ぬかもしれない」という恐怖のような強迫感を伴います。

性的渇望によって、性依存症当事者がとる行動を少し挙げてみます。


・性欲が高まっているわけでもないのに、アダルトコンテンツを探し、何時間も費やします。

・セックスができないことへの不安から、常にセックスができる相手を探します。

・セックスができないと困るので、セックスのためだけのオフの日を確保したりします。

・自ら性的な自撮りを晒したりして、性的な目で見られることを求めます。

・同じように性的渇望に苦しむ性依存症者同士で、共感しながら、互いに依存していきます。

・行った後虚無感に苛まれるとわかっているのに、風俗のサイトを眺めてしまいます。

・恋愛感情のないセックスに心が傷つきながらも、マッチングアプリで相手を探してしまいます。


性的渇望で苦しむ自分を「一歩離れて観察してみる」

こうした行動は、自然発生的な性欲ではありません。

セックスがしたい

風俗に行きたい

誰かに性的なことを見られたい

痴漢がしたい

誰でもいいからセックスしたい


耐えがたいぐらいの強い衝動がわき起こったときに、一瞬だけでいいから考えてみてください。私を性的衝動に駆り立てているのは何なのか?

性的渇望を、一歩引いた場所から観察してみてください。自分の中にある、満たされていない心の渇きの存在を、まず実感してみてください。

それは、純粋な性欲とは違う、狂った価値観ではないか?

性的渇望に振り回されて、性的なことに生活が支配されていないか?


性的なことに没頭している自分を、少し違った視点から眺めてみることで、性欲が強すぎて困っている自分ではなく、渇きが満たされずに苦しんでいる自分に気づけるはずです。


性依存症当事者の目線から、性依存症の専門書を翻訳した情報や、当事者として感じたことを中心に発信しております。 おもしろいな、もっと読みたいなと感じていただけたら サポートをしていただけると嬉しいです。