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「ホノカアボーイ」が教えてくれたもの

**映画「ホノカアボーイ」

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この映画を知ったのは劇場公開が終わっていてDVD化されていました。
Amazonで購入履歴を見たら、2010年11月7日。
約10年近く前。なのに、今でも大好きな作品です。

知ったきっかけは、写真家の市橋織江さんが撮影を担当されたとの事。
この前の日記でも触れましたが、私はカメラ撮影が趣味でした。
当時、透明感のある写真にとても惹かれていたので、市橋さんの撮る少し青みがかった透明感のある世界に憧れていました。
いつもなら写真なので、世界は止まったまま。それが、映像をして動く事を想像したら、映画の内容よりも映像に興味を持ち購入したのです。

その頃の私

その頃の私は、突然、夫という家族を失って1か月経っていない時でした。
(購入履歴から思い出しました)
さすがに10年近く前なので、細かい心情は覚えていません。ただ、覚え居ているのは「がんばらないと」と「不安」、そして心身共に疲れていた看病生活も終わり「のんびりしたい」という気持ちも。
購入はしたものの、突然始まった一人での子育てと、家庭を守らなくてはいけない重圧、雑事に追われて観る時間も観る気力もなく日々は過ぎました。

それから徐々に気持ちの余裕も出てきたある日、購入したものの観ていなかった事を思い出して一人で鑑賞しました。

疲れた心にスーッと入ってくる

特に、すごくワンシーンを見逃したら分からなくなるような映画ではない事は事前に知っていたので、ゆっくりとした気持ちで観る事が出来る映画でした。想像していた通り、市橋さんの写す映像は透明感にあふれ、とてもやさしい気持ちになれるもので観ていて癒されるものでした。
ハワイのゆったりした景色や時間、そこに住む人達は何かに追われる雰囲気もなく、日々そのままを受け入れて過ごしている様子が描かれています。

クスっと笑いながらも勇気づけられる言葉

主人公のレオは、同じ町に住んでいるコイチさんに内緒で雑誌を買ってくる事を頼まれます。雑誌は、いわゆる女性のセクシーな姿満載の(笑)
そこで、コイチさんがレオに言うのです。
「年とったからって、やっちゃいけない事なんかないんだぜ!」と。
コイチさん、正確な年齢は分かりませんが…日向ぼっこして寝ていてもおかしくない年齢です。
そんなコイチさんから出たこの言葉は、とてもチャーミングでしたが、同時にとても勇気づけられるものでした。
これから、私はどんな風に生きていけば良いのだろう。どうなっていくのだろう。と、一人になると考えてしまっていました。
そんな私に、コイチさんが「大丈夫まだまだ、何でもできるし、やっていいんだよ」と言っているかのようにも思えたのです。

肩の力がすぅーっと抜ける

そう、人はどうしても年齢と共に色々な思いに縛られ、大人としての生き方強いられます。それは、時によって力強い思いも与えるけれど、もう年だから…と知らないうちに自分にセーブをかけてしまうことも。
でも、コイチさんがいうように、年をとったからってやっちゃいけない事なんてないのです。
もちろん、人に危害加えるなど、犯罪行為はダメです。これは、年齢関係になく、してはいけないですけどね。
そっか、まだまだ私には出来る事もやっていい事もたくさんあるんだ。
楽しんでいいんだ。と、思えた途端に肩の力がすぅーっと抜けました。
同時に、今までやりたかったけど出来なかったこと、してみたかった事を少しずつでもやっていこう、どんな小さな事でも…と、思いました。

等身大の心強さ

「何だってできる、やっていいんだ」と思えるようになった私は、日々を楽しめるようになりました。
している事は前日と何も変わりません。子供のごはん作って、仕事に行って、家事をして。
でも、不思議な事に「何でもやっていいんだ」と思える気持ちは、私の事を想像以上に勇気づけ解放していました。
最近は、なにか個性がないと埋もれてしまう、主張できるものがないと。と常に何かに追われながら暮らさないと焦りを感じたり、息苦しい思いを抱え暮らすことが多い気がします。

この映画の人々は、何でもない普通の日々を普通に暮らして、自分をそのまま受け入れて暮らしています。こんな普通は、つまらない暮らしだね、と言われてしまう事も多いと思います。

自分を受け入れ等身大の日々を過ごせるって、簡単そうで難しい。どうしても、実際の自分より良く見て欲しいという気持ちに動かされながら暮らすから。それはそれで悪い事ではないけど、もしそんな自分に疲れてるのならこの映画を見て、見ている間だけでもそのままの自分でいてください。

そのままの自分の心地よさに、きっと気がつくと思うから。



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