なぜライブ中の無音や静寂中に声や音を出してはいけないのか。


・はじめに

最近、XのTL上で
「〇〇のブレイクで家虎入れたやつ許さん」
「〇〇の静かなところで声出すやつなんなん?」
等々の苦言をたくさん見かける。
筆者も最近参加してきたライブで、静寂なシーンで演者の名前を叫ぶ客と遭遇し度肝を抜かれた。

一度、逆の立場になってみた。
「なんで静かだからって声出しちゃダメなん?」

知らないならしょうがない。(と、本当は思いたくはない。)
では、何故いけないのかを大雑把にお伝えしていこう!

・無音は音楽である。

まずお伝えしたいことは、「休符(無音)は音楽である。」

は?音無いじゃん。と思う人もいるだろうが、音が無くても楽譜上音楽は進行している。
演者は音が流れていない間も、テンポ(BPM)を体内で刻んでいる。

つまり、無音状態で音楽に乗り続けているのだ。
もちろん難しい。だからこそ高度な集中力が必要。

集中している人に、でかい声かけられますか?

・無音は音を出すより難しい。

音を出さずに食事をする。移動をする。
想像するだけで難しい。

基本的に、何か動作をすれば音は出てしまう。

「息を殺す」という言葉がある。
じっと、呼吸すらおさえて可能な限り無となる。

ステージ上の演者はまさにその状態だ。

しかもタイミングを間違えたり、ミスをしてしまえば無音は壊れてしまう。

例えるならば大縄跳びだ。

そして、その縄は客席側まで飛んでくる。

無音中に客席の誰かが声を上げる。

その時点で、演者としてその表現は「失敗」となる。

この緊張感を、感じたことはあるだろうか?

・事例

では、実際に起きた悲しい事例を上げていきたい。

身近に起きた事例は、fripSideというユニットの white forces という曲だ。
サビ前に4拍も唐突な無音(ブレイク)がある。問題はここで起きた。

ライブ演奏中に、アニクラ界では常識となっているイェッタイガー(家虎)をする輩が現れてしまった。

作曲者兼プロデューサー兼シンセサイザー奏者の八木沼は、ライブ中のMCでも「その家虎はやめてほしい。」と語った。

「ここは無音にしてる意味がある。」

それでも完全な無音空間が完成することは無かった。
八木沼は諦め、その後のライブはブレイクをやめてシンセとギターを入れてしまった。

大変心苦しく、悲しい話だ。

・まとめ

その無音を表現するために、想像以上の努力があることを知ってほしい。

その無音を表現するために、緊張感があることを知ってほしい。

その無音は表現者にとって、とても大きな意味があることを知ってほしい。

その無音を、あなたにも楽しんでほしい。

以上が、今回お伝えしたいことでした。

もし、この文章を読んで「申し訳ないことをしたな。」と感じた人がいたら、次から一緒にブレイクを楽しみましょう。

でも、絶対にやってほしくないことは対面での強要です。

こんなに優しい文章を読んでも伝わらない人に、正面から向き合うことは不可能です。
相手は別の問題を抱えていることがほとんどです。
あなたがそれに巻き込まれる必要はありません。
ライブ中明らかに度を超えている輩を見つけた場合は、スタッフさんを呼びましょう。

・最後に

1人でも、無自覚に演者やキャストの邪魔をしてしまう人がいなくなれば嬉しいです。

演者が求めた表現を、100%守り切れる日が来ますように。


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