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「間合い」で人から金を借りるスキルとは?(ふみまろの因数分解)『暇』2024年1月号


「山賊ふみまろナイトVol.1」東高円寺・たまりBAR(2023年12月7日)

 酒が枯れたら、きっと戦争ものでしょう。戦ってでも酒を手に入れ、飲みたい!僕はそう思ってます。最近は控えるようにしていますが、依然として好いています。僕のお気に入りです。人と飲む場合は人脈の輪を広げたり、人間の素の部分を見せ合えるところが酒の魅力と言えるでしょう。まさしく気の許しです。この気の許しの幅は、広ければ広いほどコミュニケーションの適応力が上がると思います。
 当然のこととして、気の許しの幅は人によりますねぇ。自分から見て気の許しの幅が狭いと感じる人と接する時に、さきに述べた適応力が生きてきます。自分が相手の感覚に可能な範囲で合わせることを、適応と言っているのです。このように気の許しの幅を広くやると、狭い幅の人とも接することができ、距離を縮められる人間の数が増えます。この利益は相当大きいものです。死ぬまで人と接しないといけないでしょうから。そのため、可能な限り気の許しの幅を広く設定しておきたいところです。 
 僕たちが普段行う会話は、双方向性という性質を持っています。そのため、相手の会話のペースにある程度は合わせる義務が発生します。この義務をどれくらい放棄出来るのかは、互いの気の許しの感覚次第です。まず場の空気を察することから始まるでしょう。その次に、相手に多少の失礼を働いて場の空気を壊し、相手に気に入られて許してもらう。この一連の流れは、自分と相手の心の距離である「間合い」を認識するスキルが必要になります。この間合いを取り扱うスキルは対人関係を作っていく上で、処世術の一種になると思ってます。間合いをやるスキルですねえ。
 肝心な点は、「間合いをやる」が単に人と仲良くなるだけではなく、精神的にも経済的にも孤立することを回避できるスキルである、ということです。
 精神的な孤独の回避、これを分かりやすく言えば寂しさを感じにくくなる、という意味になります。気を許し合って多くの人と接するため、孤独を感じることは少なくなります。
 経済的な孤独の回避、これは金回りがやばくなりパンクすることが減るという意味です。人に助けてもらうスキルにもなりうる、という事実が重要ですねぇ。
 多くの場合、人は金銭的なやり取りをすることを好まないでしょう。しかし、金のやり取りを渋る関係性を家族(ファミリー)と呼べるだろうか? 暇誌で度々扱う「家族をやる」という言葉の意味は、人間みな家族という意味が込められています。これを考えるに、金のやり取りを渋るのはシャバいという話になります。無論、金を渡せない時は本当に無理でしょう。しかし、人のために多少なりとも無理する覚悟を持ってこそ、真の意味でのファミリー、仲間と向き合うことが出来ると、私は思っています。 こうした対人関係のベースを踏まえた上で、間合いにより人との関係性を堅いものにしていく。そして「金よりもこの人間のほうが大事だ!」と相手に思わせたら、我々の勝利です。頼み事を断れない、すなわちデカい信用を得られたということですから。勝利と言わずしてなんと言うか。こうした流れで間合いをやることによって、経済的な孤立は避けられます。
 平たく言えば、間合いを管理して人から金を引っ張ってくるということになりますね。その際に、過度に遠慮するのはご法度です。債務者になる人間が遠慮すると、債権者になる相手に「ちゃんとしなきゃ」などと思わせてしまうでしょう。こういった、互いが堅い雰囲気になってしまったら、今までの友達としての関係性が金によって壊されます。それだけは100%回避しなければなりません。両者の間で恩の意識を感じることもご法度です。恩を売った、恩義に感じてる、こういった感覚が頭にあったとしても、なかったかのようにヘラヘラし合うのが友達でありファミリーです。本来、お互いがヘラヘラした雰囲気で金のやり取りをしたって問題はないんです。無論、借りるだけ借りて飛ぶのは論外ですけどね(笑)。ヘラヘラしつつも、互いの信頼関係には細心の注意を払うものです。
 まとまった金を借りる以外にも、金に関することで間合いは役立ちます。金欠状態でも問題なく人と遊べるのです。単に金を払わずに遊べるというよりは、人から好かれるという効果になります。
 ある日、数人で遊ぶ日があったとしましょう。全員で集まって少し高めの遊びに行こうと話がまとまった時に、1人が「おれ金無い(笑)」などと言ったらどうでしょう。しかもその言い方に申し訳無さそうな態度が混じっていたら。遊びには適さない微妙な雰囲気が場に漂うのは、想像に容易いでしょう。他のメンバーからは、あいつは気が遣えない、かつ面白くないやつだと、その場では思われてしまいます。人と遊んでる時に最も忌み嫌われる感覚は、この「申し訳無さ」だと思っています。この感覚を感じたら本当にテンションが下がると思いませんか?相手が申し訳無さそうにしてると、こちらだって気を遣わないといけなくなるから気疲れするんです。人に対して、こういった類のの気疲れをさせるというのは、間合いをやる人間としては3流以下です。「俺に奢らないで3人だけで遊ぶなんて、シャバすぎね?そーいうの嫌いなんだけど(笑)」これぐらい暴力的な発言をして、相手に気を遣わせないよう配慮せねばなりません。
 こういった発言をするとたまに人から怒られますが、相手に気を遣わせるよりも自分が怒られたほうが、相手のためだと思います。人から怒られるのが本当に嫌な人は、無理をしない範囲で無遠慮な言動を取ると良いでしょう。あくまで、主目的は相手に申し訳無さそうにしている態度を見せないことですから。
 先程の発言は粗暴ですが、暴力的な気遣いそのものです。本当の気遣いに関して深く考えて、金に関するトラブルが発生した時は申し訳無さを消してみてください。相手のためになると思いますよ。

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