感想 "変身"

"変身"
フランツ・カフカ 訳/高橋義孝  新潮文庫 345円


読書レベル ★★
状況の書き方が面白かった、漢字が少なく、ひらがなが続けて使われていたりして読みづらかった。


・感想


 始まりの虫になる部分しか知らなかったので購入した。
読んだ感想としては、質の悪いファンタジー小説の漫画化版を読んだ後のような気分になった。
世界観の説明を省かれ、それに登場人物達も合わせてくるもんだから感情移入も出来ないし、そんな状態で頭の中でイメージしてしまうもんだから、どうしても無料マンガサイトで配信されいてる中身の薄いWEB小説の漫画化版を読んでるような気分になった。
小説の舞台である世界も、その中に存在する社会も、グレゴール・ザムザが働いている会社の存在も、妹が兄の為に走った医者と鍵屋も、グレゴール・ザムザとその一家、使用人、三人衆が住むその一室以外の物がすごくイメージし辛い作品だった。

 カフカの他の作品も読んだことないし、そもそも小説をしっかり理解しながら読み始めたのが23年間生きてきて最近なので、この小説がどのように世間に読まれ評価されているのかを調べてみた。
この”変身”という小説は、最序盤の「虫になる」部分が様々なテーマに置き換えられる事が高く評価されているらしい、もし虫ではなく精神疾患、身体的障がい、引きこもりに突然なってしまったら、みたいな感じで社会問題と関連付けられて考察されている。
ただこれは虫になった場合だし、そりゃあ虫になって意思疎通が取れなくなったら家族からこういう反応されても仕方がないよね、もしこれが虫じゃなかったら父親もりんごを投げてこないし、母親も気絶しなかったし、妹にも”これ”なんて呼ばれなかっただろうし、真剣に向き合ってくれただろうとしか思えない。
ただ最後の、いつまで続くかわからない苦しみの中で虫が死に、開放された家族3人が仲良く外出し、何も変わらない現状から、希望のある未来を感じ物語が終わる流れはとても良いと思えた。

 薄まっていく余韻の中で思うことは、こういう小説はある程度教養のある人達か、考察や深読みが好きな人達が著者の気持ちを察しながら、考えを膨らませて楽しむ小説なのかなと感じたし、昔から国語のテストでそういう類の問題は苦手なうえ、どちらかというと文面や描写をストレートに受け取ったほうが気持ち良いと思っちゃうタチの私では、この小説の魅力に気付くことはできなかった。 想像することは好きなんだけどね。

・最後に


勉強不足感は否めないので、この作品をより理解する為にも、カフカの他作品を読んだり彼自身について調べてみることにする!

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