フィリピン人ESL教師招聘の壁(1)

外国人労働者の受け入れを進める前にの続き。

近年、フィリピンが英語留学先として人気なので「逆にフィリピンから東京にESL教師を呼び寄せてしまえ」というコンセプトの英会話スクールが九段下にあったものの、先ごろ運営を停止しました。

理由は新しいフィリピン人教師を呼び寄せられなかったから。ある女性教師に対してスクール側が書類を万全に整えて就労ビザも取得し、航空券も買っていざ迎え入れようとしたものの、セブ国際空港の出国管理で係員から「君の書類には不備がある。このままでは逮捕されるぞ」と脅されたそうな。彼女は動揺して心を折られ、来日を諦めることになり、それがスクールの営業停止の引き金となってしまいました。

聞けばフィリピン人の間ではよくある話だそうです。脅された側が「どうにかならないか?」と尋ねようものならすかさず賄賂を要求するという。中には払ってしまう人もいるのでしょうね。

フィリピン人の気質を表す言葉に「Crab mentality」というものがあります。直訳だと「カニの真理」。籠の中のカニが1匹なら逃げ出せるのに複数だと互いに足を引っ張り合って共倒れするという例えです。どうやらフィリピン人の中には「自分よりも恵まれた人の足は引っ張ってやれ」という考えの人も多いそうで。空港の出入国管理官ですらそうだというのだから呆れてしまいます。それが日本企業の命運を左右してしまったのだから噴飯ものです。まったくもう。

よって、まともな価値観を持ったフィリピン人には「日本にもう一回植民地化してもらったほうがいいかも」などと自虐ジョークを飛ばすこともあるけど、それにも頷けます。国のあり方や社会システムは発展途上国から脱却できそうな気配すらないので。

とはいえ日本は外国人労働者を必要としているし、とりわけ全国の小学校に派遣するESL教師の確保は急務。主な供給元はフィリピンにならざるを得ないと思うので、そのためには制度設計からして日本側が主導権を握る必要があります。

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