忍殺TRPGリプレイ【アゲインスト・ブラック・シャドウ】02
前回のあらすじ:オヒガンの彼方、異世界の王国ワドルナッケングリアに漂着したハウスバーナー。彼が現世へ帰還するためには、隣国ソマシャッテ共和国を支配下に置いた「魔王」を討伐し、そのアミュレットを奪わねばならない。走れ!戦え!勇者ハウスバーナー!カラダニキヲツケテネ!
◆
「イイイヤァアアアーーーッ!」『『『『アバババーッ!』』』』ゴウランガ!ゴウランガ!ハウスバーナーのサソリ・カラテが、手練れのオーガ戦士たちを容易く薙ぎ払う!まるで平安時代のニンジャ戦士だ!だが無人の野を行くが如き勢いの彼の前に、油断ならぬ影が立ちはだかった!『ドーモ』
それは、ヤギめいた角のある仮面を被った男であった。全身から黒く邪悪な闇のオーラを漂わせ、実際悪魔めいている。彼は周囲にオーガ戦士たちや謎めいた黒山羊の群れを従え、不吉にくぐもった声でアイサツを繰り出す。『……レオナールです……!』
「ドーモ、ハウスバーナーです」アイサツを返す。オーガ戦士たちとは一味違う手練れ。ニンジャだ。ソマシャッテの魔王に従うニンジャ戦士というわけだ。『ここより先へは進ませぬ……』「じゃあ、押し通らせてもらうぜ」大気に暗黒のカラテが満ちる!一撃必殺アトモスフィア!
戦闘継続
4ターン目
レオナールまでは距離があり、オーガ戦士たちが前衛となっている。まずは雑魚から殺すべし!「イヤーッ!」ハウスバーナーはサソリ・ファイティング・スタイルで飛びかかる!SLASHSHSH!『アバーッ!』『グワーッ!』1体が即死、1体が負傷!『GRRRAAGGGHH!』レオナールは獣じみて咆哮!
メキメキメキメキ……!彼の肉体が膨れ上がり、黒山羊と人間を混ぜ合わせた異形の怪物へと変身する!まさに悪魔だ!『AAARGHHHHH!』『『『『『GRRRRAAAA!』』』』』生き残ったオーガ戦士たちとともにハウスバーナーへ突進!土埃と地響きをあげてジゴクの軍勢が迫りくる!
「イイイヤァアアアーーーッ!」ハウスバーナーはサソリの構えで迎え撃ち、俊敏に躱す!躱す!躱す!「アミーゴ!」SLASH!SMASH!『『グワーッ!』』オーガ戦士2体に反撃!だが頑強なオーガ戦士たちはなお健在だ!
5ターン目
「イイイヤァアアアーーーッ!」ハウスバーナーはオーガ戦士の群れの中で嵐のように回転し、暴れまわる!SLASHSHSH!『『『アバババーッ!』』』サツバツ!3体のオーガ戦士が首を刎ねられた!なんたる強さ!『ヨギスミカテ……ソルナガバレ……!』レオナールは不気味なノロイ・チャント詠唱!
『ノロイ!』ZOOOOM!レオナールは両眼から異様な視線を放つ!ラピッド・ノロイ・ジツだ!「ヌウッ!」ハウスバーナーは回避!だがその隙に、レオナールとオーガ戦士たちが殺到!『AARGHH!』『『GRRAAA!』』「うおおーッ!」致命的な猛攻を躱す!躱す!躱す!実際アブナイ!
6ターン目
7ターン目
「イイイヤァアアアーーーッ!」SLASHSHSH!『『アバババーッ!』』ハウスバーナーは必死でオーガ戦士たちを薙ぎ払い、ついに全滅させた!だが周囲に控える黒山羊たちはこちらを遠巻きに監視し不気味!『ノロイ!ノロワレ!』BOOMBOOM!レオナールはジツを飛ばしながら猛攻!猛攻!猛攻!
「ヌウウーッ!」ハウスバーナーは必死で躱す!躱す!躱す!単独でのカラテ勝負なら、ヘンゲ込みでもこちらに分はある!魔王と決戦前に消耗は避けたいが、手加減すればこちらが殺られる!強敵だ!
8ターン目
「クタバレ!」ハウスバーナーはレオナールへ斬りかかる!SLASHSHSH!狙うは心臓だ!長引けばこちらが危険!『GRRRRAA!』レオナールはアドレナリンを過剰分泌し、これを……SLASH!『AARGHH!』一撃を食らうが紙一重で致命傷を躱す!ゴウランガ!その傷口にじゅくじゅくと肉が盛り上がる!
『ノロイ!』BOOMBOOM!レオナールは邪悪な視線を放ちつつ、黒山羊の脚で恐るべきキックを放つ!ハウスバーナーはこれを……SMAASH!「グワーッ!」ウカツ!視線を受けて怯んだところにキックが命中!近くの岩に叩きつけられる!「ゴバッ!」メンポの隙間から吐血!無視できぬダメージだ!
「ナメ……やがって!ドグサレッガー!」ハウスバーナーはマントラめいたヤクザスラングを放ち、ダガーを構えて飛びかかる!『AAAARGHHHH!』レオナールは躱そうとSLAAASH!『グワ……アババババーッ!』ナムアミダブツ!渾身のカラテを込めた炎の刃が腕を、頭を、心臓を、切断した!
『サヨナラ!』KABOOOOOOM!レオナールは爆発四散した。
戦闘終了
『『『MYYYYYYY!』』』様子を伺っていた黒山羊たちは、軍勢とともに蜘蛛の子を散らすように逃げ去った。レオナールの爆発四散跡からも黒山羊めいた影が飛び去っていった。魔王のブンシン、使い魔といったところか。強敵だったが殺した。負傷や疲労は……さほどでもない。スシを食えば治る。
ハウスバーナーは死体を踏み越え、スシを食べながら魔王の城へと歩を進める。おそらく相手はアーチ級、神話級のリアルニンジャ。以前ゴグウ・ニンジャに不覚をとったが、あれと同格かそれ以上。今さらながら自分一人で倒せるだろうか。……やらねばならぬ。せめてアミュレットを奪わねば。
現世は、ネオサイタマは、日本とキョートは、どうなっているか。ポイズンバタフライ、ヤモト、シルバーキーは。インパーミアブルは。ソウカイヤは。そして……ニンジャスレイヤーは。対ザイバツで共闘できればいいが、それが終われば次は……。「とにかく、行くしかねェ」道は前にしかない!
???
岩山に聳える城を覆う節くれ立った植物は、壁の亀裂や窓から城内へ這い進み、厳粛な聖壁画を背に、古代の玉座に腰を下ろした強大な存在に繋がっている。枝の一筋一筋、葉の一枚一枚が「ソマシャッテの魔王」……すなわち有角のリアルニンジャ、偉大なるクロヤギ・ニンジャの感覚器である。
植物は地衣類と融合し、樹木と結びつき、その狭間より黒いヤギが這い出し、忌まわしい声で歌い踊る。異界のエルフが作り上げた「アミュレット・オブ・ハヤシ」の力は、不安定なクロヤギ・ニンジャの存在を補い、比較的安定させている。彼女は古きエルフの築いた城と国を奪い、穢した。
クロヤギ・ニンジャは、段上を広間と隔てる御簾の奥、玉座に肘を置き、かすかに首を傾けて、なかば閉じかかった瞼の下、横向きの瞳で、彼方の地平を見ていた。彼女は知覚した……。彼女の愛し子レオナールが、敗れた。現世より来訪した手練れのニンジャ、ハウスバーナーによって。
フジサンでヌンジャの影「サツガイ」によって召喚され、キンカク・テンプルから現世に彷徨いでたクロヤギ・ニンジャであったが、その顕現は不完全であった。ヒャッキ・ヤギョが乱され、サツガイが連れ去られ、彼女は現世とオヒガンの狭間へ放逐された。レオナールに召喚されたのはその後だ。
その召喚も不完全なものとなり、レオナールを手に入れたものの、現世から撤退することになった。残る一人を狙っていた時、彼女は異界のエルフの国に招き寄せられたのだ。それを行ったのは……「来るか、ハウスバーナー=サン。歓迎してやろうぞ」御簾の傍らに侍る小柄な影が呟いた。
彼女は、魔王に仕えるエルフの戦士。現世より異界に漂着し、クロヤギ・ニンジャを招き寄せた女魔術師。そして、ハウスバーナーとの因縁ある者。ザイバツ・シャドーギルドのマスター級ニンジャ、バンブーカッター。
【続く】
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