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忍殺TRPGリプレイ【ダーク・ブルー・デイ】01

邦題:暗く青い日(Dark Blue Day)

STRAIGHTENER"Dark Blue Day"

 ドーモ、三宅つのです。これはnyamotomo=サンのソロシナリオ案「ケミカルブルー・アタリメ・チップス」および原作小説「バトル・ウィズアウト・オナー・アンド・スシ」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意ください。

 ソウカイニンジャ・ブルースクイッドを始末し、彼が隠していた未公開株券を奪うシナリオです。28ポイントスクラッチビルドの手練れニンジャがソロで挑むことが想定されていますが、サンシタが複数で挑むなど調整も可能でしょう。とりあえずブルースクイッド側を主人公としてみます。

midjourney:White background cool illustration, whole body, Cyberpunk ninja squid guy, wearing cyber karate wear. black belt, blue body --niji --ar 2:3
◆ブルースクイッド(種別:ニンジャ)
カラテ       4    体力        7
ニューロン     8    精神力       8
ワザマエ      5    脚力        3/N
ジツ        4    万札        5

攻撃/射撃/機先/電脳  5/ 8/ 8/ 8
回避/精密/側転/発動  8/ 6/ 6/13
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:0

◇装備や所持品
▶サイバネアイLV1:ワザマエ判定+1、射撃時さらに+1

◇ジツやスキル
☆イカ・ニンジャクラン、ジツLV4
 ☆ポイズンブレス・ジツLV3(カナシバリ読み替え)
 ★ポイズンインク・スリケン(ドク・スリケン読み替え)
  手番開始時に精神力1消費し瞬時発動(N)
  戦闘終了まで術者のスリケン/ナガユミによる射撃に毒属性ダメージボーナス+1

◉スリケン乱射:回避ダイス2つ消費し発動
 手番中にスリケン/ナガユミによる2種類の射撃スタイル使用可能 連射上限無視
 集中乱射:連射+1、バースト3×3、時間差可、マルチ不可
 回転乱射:連射+2、マルチ 1体に対し2発以上の射撃を割り振ることはできない
◉頑強な肉体:体力+2
◉ニンジャソウルの闇(1):体力および攻撃・射撃・発動+1
●時間差、マルチターゲット

能力値合計:25

 ステータス表を整理するとこうなります。ニューロンとジツとスリケンを重点しており、カラテは心もとない程度です。イメジはNIN-210ことデストパス=サンの召喚呪文を改変してみました。octpusをsquidに、redをblueに変えただけですが、偶然にも強化ハチマキとサイバネアイが再現されていますね。

 まあまあの手練れですが、未公開株券隠匿のため誰にも助けを求めることができません。彼に挑むのは誰になるのでしょうか。では、始めます。

◆◆◆

 貪婪の暗黒都市ネオサイタマ。時刻はウシミツ・アワー。空中のマグロツェッペリン群から投下される執念深いサーチライトを、水の中を泳ぐイカのように巧みに掻いくぐり、高層ビルの谷間の秘密の竹林へと音もなく回転着地する者あり。無論、ニンジャである。その名はブルースクイッド

 そのまま暗い竹藪へと進んだ彼は、サイバネティクス・アイで油断なく周囲を見渡し、追手がいないことを確かめてから、手に持ったルイ・ヴィトン製の耐重金属酸性雨ボストンバッグを開いた。中身が何一つ失われていないことを、自らの目で確かめるために。無論、どこにも傷はついていない。

 中身だけがこぼれ落ちるはずはない。重みも少しも減じてはいない。だが喪失を恐れ、彼は何度もその中身を確認してしまうのだ。この血塗られたボストンバッグは彼を軟弱にした。それを手にする前よりも、彼を遥かに軟弱にした。彼はバッグのチャックを開き、そこに期待通りのものを見つけた。

 ブルースクイッドは、にやりと笑みを浮かべた。だがそれは野心に満ちた残忍なる略奪者の笑みではなく、己の所有物が今なおそこにあることを確認するだけの、弱々しい安堵の笑みであった。「オオッ……まさに黄金の如き輝きよ……!」その中に収められていたのは、大量の未公開株券……!

 時価にして一億円相当の現物であった。どこで、いつ、どうやって手に入れたかは問題ではない。彼によるこの確認作業は、夜のネオサイタマをパルクール疾走しながら、あたかも闇の中で息継ぎをするかの如く、およそ十分に一度のペースで行われてきた。だがそれも間もなく終わる。

 彼はそれを、ここに埋ずめに来たのだ。「次の四半期決算が終わるまで隠し通せば、この一億が俺のものに……!」彼はゴクリと唾を飲み、ボストンバッグを傍に置いて、携帯式シャベルを展開した。じゃきんと音が鳴り、両手に冷たい鉄の感触が伝わった。彼はそれで足元の土を掘り始めた。

 土を掘りながら、彼は思考を巡らせる。一億の未公開株券は闇へと消え、日本経済界に暗い影を落とすだろう。そしてほとぼりが冷めた頃を狙って、狡猾なる彼はこれを再び掘り出し、手にするつもりなのだ。この秘密の竹藪には、ネオサイタマ市警のサーチライト光すらも届かない。

 ソウカイ・シンジケートの他のニンジャにも、近隣のヤクザクランにも、決して気づかれはしない。絶対に安全な隠し場所だ。……だが、たとえそうだとしても……己はきっと、このボストンバッグの中身が失われていないか調べるために、たびたび掘り出しに戻るのではなかろうか?

 ブルースクイッドはふとそう考えた。眉をひそめ、自嘲気味に笑おうとした。己はどれだけ軟弱になってしまったのかと。そしてボストンバッグ一個、あるいは生首一つをちょうど埋められるほどの深さまで土を掘り終えた。……その時である。「穴を掘るのが、随分と得意なようだなァ……!」

 竹林の暗闇の間から、何者かの声が聞こえた。それは地獄の底から響いてくるかのような冷酷さと、不快な卑しさを帯びていた。「何奴!?」ブルースクイッドは目を見開き、そちらを振り向いた。彼のサイバネティクス・アイが捉えたのは、「極」「悪」と刻まれた鋼鉄メンポと、青黒い装束!

 青黒のニンジャは両手を合わせ、オジギした。その背にはゴルフバッグが背負われている。「ドーモ、ニンジャスレイヤーイビルです!」

midjourney:white background illustration, whole body, cyberpunk ninja guy, wearing traditional dark blue ninja wear, black iron mask, wielding a huge chainsaw. --niji --ar 2:3
◆ニンジャスレイヤーイビル(種別:ニンジャ)
カラテ      13    体力       13
ニューロン     7    精神力       8
ワザマエ     10    脚力        7/N
ジツ        0    万札      -12

攻撃/射撃/機先/電脳 13/10/ 7/ 7
回避/精密/側転/発動 14/10/10/ -
即応ダイス:3 緊急回避ダイス:1

◇装備や所持品
◆パーソナルメンポ:精神力と緊急回避+1
◆伝統的ニンジャ装束:回避+1
◆**ダラク・チェーンソー**:2ターン目以後の手番攻撃時、ニューロン判定UHで使用可に
 大型近接武器、装備時側転難易度+1、ダメージ2、基本攻撃難易度H
 ●戦闘スタイル:切断攻撃 出目65+で殺伐発生 ナムアミダブツは666
 ★◉青黒の炎:ニンジャへの近接攻撃に火炎ダメージ+1
  攻撃フェイズ開始時に精神力1消費すると手番中の火炎ダメージを+2にする
  精神力2消費すると火炎ダメージを+3にする
 ☆◉肉体破壊:装備時のみ連続攻撃+1、出目55で殺伐発生

◇ジツやスキル
☆ダラク・ニンジャソウル
 ☆◉即死耐性:即死効果を無視し、痛打2D6とみなす 超過ダメージを受けても気絶のみ
 ☆◉ダラク・ウィズイン:体力0以下でも爆発四散せず、カイシャクできない
  行動不能状態からD3ターンが経過するとダラク・ニンジャとして復活、逃走する

◉◉タツジン:ツルギ 大型近接武器装備時の攻撃出目6成功時に痛打+1か装甲貫通1
 ●ワザ:トータルマサカー 出目665+で発生 命中すれば続く連続攻撃は回避不能
  ダメージ2、回避H、装甲貫通・痛打・殺伐なし(解体攻撃あり)
 ●戦闘スタイル:精密刺突 連続攻撃上限2、ワザマエHで攻撃判定
  ダメージ1、装甲貫通D3 出目666で殺伐、6666でナムアミダブツ
 ●戦闘スタイル:解体攻撃 連続攻撃上限3、出目65+で特殊殺伐
  出目1-2で頭部、3-4で脚部、5-6で両腕破壊
◉ヒサツ・ワザ:ペインキラー
 大型近接武器装備時に、精神力1か回避ダイス2を消費し発動
 ナムアミダブツ発生時に置き換えてもよい 回避H、痛打+3D3
●連続攻撃3、連射2、時間差、マルチターゲット
◉ランスキック

能力値合計:30

 久しぶりの登場です。フジキドは不在なので彼が出現しました。カチグミたちに恩を着せて金づるとしていましたが、ソウカイヤに脅されて追い出されたのでしょうか。イメジはmidjourneyで作ってみましたが、ninjaに引きずられてか「wielding chainsaw」と入れたのにチェーンソーが出ずカタナ二刀流になったので、「wielding a huge chainsaw」と入れるとチェーンソーが出ました。まだカイゼンしようがあるかも知れません。

事前調査:ニューロンかワザマエで判定、難易度N。10D6[6135226644]成功。即応ダイス+1。出目66、弱点を掴む。戦闘中任意のタイミングでブルースクイッドの回避ダイスを1つ減らすことができる。

「貴様、なぜここに……!」ブルースクイッドは震え上がった。強化ハチマキの下からダラダラと脂汗が流れた。「状況判断だ、ブルースクイッド=サン。そこのバッグが気になってなァ」ニンジャスレイヤーイビルは、邪悪に目を細めた。「よこせ。俺はカネが要るんだ……競馬でスッちまってよォ」

「貴様、なぜ俺の名を……!」「アイサツしろや」ゴクリ。ブルースクイッドは唾を飲み込んだ。ニンジャはアイサツされれば、アイサツを返さねばならない。古事記にも書かれた礼儀だ。だが、ニンジャの戦闘に大切なボストンバッグを巻き込むわけにはゆかぬ。これまでの全てが水の泡となる。

「マッタ」ブルースクイッドは片手を広げ、青黒のニンジャと睨み合ったまま、ボストンバッグのチャックをゆっくりと閉めていった。その指先は、緊張でかすかに震えていた。……そして、チャックを閉め終えたバッグを、少し離れた竹藪の間に置いた。「よこせ、っつったぞ。死にてぇのか?」

 ニンジャスレイヤーイビルは苛立ち、声をあげた。ブルースクイッドは名残惜しむように、あるいは情婦か何かを扱うように、バッグの表面をぽんぽんと叩いた。勝利し、すぐに迎えに来るとでも言いたげに。……誰にも、少しでも、その中身を分け与える気はなかった。己の命を賭けてでも。

 これを終えると、ブルースクイッドの目つきは背水の陣を敷いて覚悟を固めたサムライめいて、強く厳しくなった。先ほどの僅かな動揺も、ボストンバッグを抱えていた時の軟弱さも、跡形もなく消え失せていた。そして隙の無い動きで横歩きし、ついに青黒のニンジャと向かい合ってオジギした。

 重金属酸性雨が強く降り始めた。竹林に妖気と剣呑なアトモスフィアが満ち、空気がミシミシと鳴った。「……ドーモ、ニンジャスレイヤーイビル=サン。ブルースクイッドです」一触即発!

戦闘開始

【続く】

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