忍殺TRPGリプレイ【インセイン・ラッシュ】
邦題:猪突猛進爆進中(Insane Rush)
ドーモ、三宅つのです。これはラブサバイブ=サンのソロシナリオ「ハナミ妨害任務」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意ください。
ヤクザ・オヤブンのメンツを潰すため、咲き誇るサクラの木を打倒する任務です。ニュービーのソウカイニンジャが挑むことが想定されていますが、どこの組織でも構わないでしょう。今回は、新たなニンジャを派遣します。
だいぶ前に公式のニンジャメーカーで作っていたやつがいたのを思い出しました。少々ニューロンが低めですが、カラテが高いのでなんとかなるでしょう。ニンジャネームがゴールデンで実家のカネがあり、オーガニックスシを持っているなど出自は裕福そうです。ゴールデンクイーン=サンとかぶりますが、同じくザイバツニンジャとしてみましょう。
ジツがないのでスキルを入れます。1D6[3]=ランスキック。サイバネは入れません。初期知識スキルはD66[16]=貴族の流儀。やはり良い身分の出身であるようです。ニューロンとワザマエが低いためウカツそうですが。能力値などを整理するとこうです。
◆ゴールデンウルフ(種別:ニンジャ)
カラテ 6 体力 6
ニューロン 2 精神力 2
ワザマエ 3 脚力 3/N
ジツ 0 万札 10
DKK 0 名声 1
攻撃/射撃/機先/電脳 6/ 3/ 2/ 2
回避/精密/側転/発動 6/ 3/ 3/ 2
即応ダイス:5 緊急回避ダイス:0
◇装備や所持品
◆オーガニック・スシ:体力3回復(使い切り)
◇ジツやスキル
◉ランスキック:脚力値で近接攻撃判定(N、回避N)
命中すると殺伐出目1(痛打+弾き飛ばし) 殺伐が出たら殺伐出目D6も可
脚力7以上で連続攻撃2可能 迎撃回避不能
○生い立ち:実家のカネ
初期所持万札+10、余暇ごとにD6を振り2~6で万札+1 出目1で尽きる
◉知識:貴族の流儀、高級嗜好品
能力値合計:11
即応ダイスもありますし、なんとかなるでしょう。では、始めます。
◆◆◆
序
キョート共和国首都、ガイオン。時は立春。寒さは未だ厳しいが、そこかしこに春の兆しが見られる。没落貴族オホカミ家の狭い庭にも、オーガニック梅のつぼみが少し膨らんでいるのが見受けられた。「ミヤビな……」当主オホカミ・エミタメはそれを観察し、ハイクを詠もうとした。その時だ。
ひらりとオリガミが庭先に舞い込んだ。オホカミは慌てて駆け出し、それを受け取って押し戴く。古式ゆかしいオリガミ・メールである。急いで家の中に戻り、床の間でゆっくりと開くと、馥郁たる梅の香りが広がった。「アナヤ……!」それは彼が所属するニンジャ組織ザイバツからのものである。
差出人は、グランドマスター・パーガトリー。オホカミのような新入りの下級ニンジャにとっては雲上人だ。本来は依頼人か使いの者が訪れて口頭で伝えるところだが、彼がこのような家を訪れれば大いに目立つ。オリガミ・メールによる間接的な伝達はむしろ奥ゆかしく、ミヤビさを感じさせた。
「お心遣い、感じ入りましてございます」オホカミは再び手紙を押し戴き、内容を確かめた。ダイゴン・テンプルに最近寄贈されたバイオ桜を襲撃し、破壊せよとの指令である。寄贈主のドオヤマはネオサイタマから来た新参者の成金で、ソウカイヤに繋がるヤクザクランのオヤブンでもあるとのこと。
「承知仕りました」オホカミは深々と床の間にオジギし、オリガミ・メールをロウソクの火にくべた。馥郁たる梅の香りが室内を満たす。ガイオンの景観を汚す様々なバイオ植物に対して、オホカミは常々けがらわしく思っていたところだ。いずれ駅周辺のバイオ桜並木も一掃されねばなるまい。
醍醐之寺
しめやかに家を出たオホカミ……ザイバツニンジャ・ゴールデンウルフはダイゴン・テンプルを見下ろす位置に近づいた。ガイオンの東、フシミ地区に位置するこの名刹は、平安時代より桜の名所として知られている。そのボンズまでもがバイオ桜の移植に賛同するとは、マッポーというほかない。
周囲には複数のボンズがおり、銃を装備して警戒している。悲しいかな、よく見れば皆同じ体格、同じ顔、同じサイバーサングラス。クローンヤクザボンズなのだ。「アナヤ」ゴールデンウルフは思わず落涙し、袖で涙を拭った。あれらを排除して正面から堂々と進むか、物陰から潜入するか。
ステルス潜入は回避・脚力・ニューロンなどを重点なので、正面突破する。
ゴールデンウルフは正門前へ堂々と姿を現し、アイサツした。「ドーモ」「「ドーモ」」クローンヤクザボンズたちはアイサツを返す。「通らせてもらいます」「「スミマセン、本日は貸切で入れません」」「どちらの貸切ですかな」「「ドオヤマ=サンです」」「通ろうとすれば」「「殺します」」
階段の脇には、撃ち殺された参拝客の死体が転がっている。ゴールデンウルフは眉根を寄せ、カラテを構えた。「よろしい。押し通るぞよ」一触即発アトモスフィア!
戦闘開始
1-2ターン目
イニシアチブ:ゴールデンウルフ/GW(2)→クローンヤクザ/CY(1)×2
GWはカラテ、6D6[561455]成功。CY1体を倒す。CYはチャカガンで反撃。GWは回避、6D6[654463]回避。GWはカラテ、6D6[442124]成功。
「イヤーッ!」「アバーッ!」ゴールデンウルフの前蹴りがクローンヤクザボンズの顎を捉えた!即死!「スッゾコラー仏敵!」残るクローンヤクザボンズがチャカガンを発砲!BLAM!「イヤーッ!」「アバーッ!」ゴールデンウルフは優雅に銃弾を躱し、掌底で敵の内臓を破壊!ナムアミダブツ!
ゴールデンウルフは衣服の埃を払い、悠々と山門を潜った。だが境内にも複数のクローンヤクザボンズがおり、侵入者を排除すべく向かってくる!「「「ザッケンナコラー仏敵!」」」
3ターン目以後
イニシアチブ:ゴールデンウルフ/GW(2)→クローンヤクザ/CY(1)×3
GWはカラテ、[612436]殺伐。CY2体はドス・ダガーで攻撃、回避判定成功数4以上で迎撃可。GWは6D6[534632]通常回避。GWはカラテ、[611434]成功。CYは攻撃、GWは[122634]回避。GWはカラテ、[321336]成功。
「イヤーッ!」「アバーッ!」ゴールデンウルフはヤクザの懐へ飛び込み、首を刎ねる!「「ドカマテッパダラー仏敵!」」二人のヤクザがドス・ダガーを構え突撃!「イヤーッ!」「アバーッ!」難なく回避し反撃!「テメッコラー仏敵!」「イヤーッ!」「アバーッ!」たちまち全滅!
戦闘終了
合計万札5を獲得。
「ふう」ゴールデンウルフは無傷だ。ニンジャにとってこの程度の戦闘は肩慣らしにもならない。もう少しカラテを鍛錬すれば、もっと素早く始末できたであろうが。彼は悠然と歩を進め、本堂を見上げた。
境内探索
目的のバイオ桜の木までは、テンプルの内部を進んでいく必要がある。廊下は枝分かれしており、中央の本堂、右側の倉庫、左側の寺務所へのルートがあるようだ。ニンジャであれば屋根の上へ登ることもできよう。
本堂を進む。
「テンプルへ参るなら、本尊を拝まねばなるまい」ゴールデンウルフはつぶやき、慎重に本堂への廊下を進む。やがて本堂にたどり着くと、中から人の気配を感じる。老人が二人、話し合っているようだ。「わ、私は断れなかったんだ……あんな……あんな恐ろしいものを!」「ブッダの怒りでは……!」
服装を見るに、ひとりはこのテンプルを預かるアークボンズであろう。もうひとりは、成金じみた服装だ。「ドオヤマ=サン!そもそもあなたが!」ボンズが成金を叱責する。あれが問題のヤクザ・オヤブンか。「いっそのことぶった切るか、焼いちまうか」「テンプルが焼けたらどうしてくれる!」
なにやら、くだんのバイオ桜は何か問題がある代物らしい。ということは伐採しても焼き尽くしても、むしろ問題解決となるのではないか。これはおそらくブッダの差配、否、ロード・オブ・ザイバツの思し召しではないか。いっそ姿を現し、ドオヤマやボンズたちに事情を聞いてもいいが……?
立ち去る。
ゴールデンウルフは合掌して瞑目し、その場をしめやかに立ち去った。これは秘密の任務であるし、モータルがニンジャに遭遇すればNRSを起こして良くない。後のことはパーガトリー=サンが取り計らってくれよう。
櫻華満開
ゴールデンウルフは、目的のバイオ桜の木へ到達した。季節は立春、2月の初めというのに、すでに満開の花を咲かせている。不自然なのだ。樹の下には重装備クローンヤクザボンズが二人おり、周囲を警戒している。
ニューロン判定、難易度N。2D6[12]失敗。特に何も起こらない。
まずは、ヤクザたちを排除せねばなるまい。ゴールデンウルフは無慈悲なカラテをみなぎらせ、彼らの前に降り立った。一触即発アトモスフィア!
戦闘開始
GWはランスキック、3D6[513]成功。2ダメージを与えCY1体を倒す。CYは反撃、GWは6D6[565151]回避。GWはランスキック、3D6[344]成功。
「イヤーッ!」「アバーッ!」ゴールデンウルフのヤリめいたサイドキックがヤクザを弾き飛ばす!即死!「スッゾコラー仏敵!」BLAM!「イヤーッ!」「アバーッ!」銃弾を回避しトビゲリ!即死!
戦闘終了
「シューッ……」ゴールデンウルフはザンシンし、周囲をカラテ警戒した。クローンヤクザにしては多少歯ごたえがあったが、真のニンジャのカラテの敵ではない。後はバイオ桜を破壊するだけだが……その時だ!
回避判定、難易度H。6D6[524524]成功!
「イヤーッ!」ゴールデンウルフは頭上から攻撃の気配を感じ、連続バック転で飛び離れた。木の枝の上に潜んでいた者によるアンブッシュか。否!攻撃を仕掛けたのは、バイオ桜の枝そのものだ!『アバー……!』ナムサン!全ての枝がざわめき、うごめき、幹には人めいた顔が現れたではないか!
『アバー……ドーモ、リビングツリーです』
ナムアミダブツ!幹の顔がアイサツをした!そして、バイオ桜全体から、ニンジャアトモスフィアが放たれているではないか!これは、ニンジャ……巨大なバイオニンジャだったのだ!「ドーモ、リビングツリー=サン。ゴールデンウルフです」ニンジャならば、アイサツを返さねばならない。
おそらくはヨロシサンのバイオニンジャだろうが、なぜここに。あるいはバイオ桜に偶然ニンジャソウルが憑依したというのか。どのみち生かしておけばろくなことになるまい。一触即発アトモスフィア!
戦闘開始
1ターン目
イニシアチブ(一騎打ち):リビングツリー/LT(3)→ゴールデンウルフ/GW(2)→LT(2)→GW(1)
LTは1D6[3]=吸血根攻撃。回避N。3D6[235]回避!GWはランスキック、3D6[341]成功!LTは回避不能!2ダメージを受け残り体力6!
『アバー!』ボゴンボゴン!リビングツリーの根本から多数の根が突き出してゴールデンウルフに襲いかかる!桜の木の下には死体が埋められる……古いコトワザの通りだ!「イヤーッ!」ゴールデンウルフは華麗に跳躍回避、空中で身を捻ってトビゲリを繰り出す!KRASH!『アバーッ!』命中!
LTは1D6[4]=花粉攻撃、回避H。3D6[113]命中!次のLTの攻撃が終わるまで回避ダイスが1減少する。GWはランスキック、3D6[231]失敗!
『アバババ……!』リビングツリーは身を震わせ、無数の花から花粉を飛び散らせる!「グワーッ!?」目や鼻に花粉が!ゴールデンウルフはなおもキックを繰り出すが、花粉攻撃の影響か命中せず!ウカツ!「アナヤ!」
2ターン目
LTは1D6[3]吸血根攻撃、3D6[512]回避!GWは連続側転、3D6[526]成功。即応ダイス2をつぎ込みランスキック、5D6[63153]成功!LTの残り体力4!
『アバー!』ボゴンボゴン!リビングツリーの根本から多数の根が突き出してゴールデンウルフに襲いかかる!「イヤーッ!」ゴールデンウルフは優美な動きでこれを躱し、キアイを振り絞る!「Wasshoi!」KRASH!『アバーッ!』トビゲリが命中!所詮回避もできぬ敵だ!『アバババ……!』
LTの攻撃時の出目が+2。1D6[4]+2=クローンヤクザ1体出現。GWは即応ダイス2をつぎ込みLTへランスキック、5D6[25245]成功!LTの残り体力2!CYはGWへ攻撃、GWは3D6[124]回避!
リビングツリーは生命の危機を感じ、不気味に体をうねらせる。危険な兆候だ!「スッゾコラー仏敵!」物陰からクローンヤクザボンズが飛び出し、ドス・ダガーを構え突進!「イヤーッ!」回避!
さらに空中で身を翻し、リビングツリーにキックを叩き込む!『アバーッ!』身悶えするリビングツリー!もう少しだ!
3ターン目
イニシアチブ:リビングツリー/LT(3)→ゴールデンウルフ/GW(2)→クローンヤクザ/CY(1)
LTは1D6[6]+2=突撃、回避H。GWは4D6[5435]回避。GWは即応ダイス1をつぎ込みLTへランスキック、4D6[1554]成功!
『アバーッ!』ボッゴン!ボッゴン!リビングツリーはついに自らの体を土からもたげ、根を無数の脚となして立ち上がった!『AAARGHHH!』満開の桜がゴールデンウルフへ驀進!轢殺せんとす!「イヤーッ!」ゴールデンウルフは見事に回避し、リビングツリーへトビゲリを放つ!KRAAASH!
『AAARGHHH!』リビングツリーは断末魔の叫びをあげた!『サヨナラ!』KABOOOOOM!爆発四散!「アバーッ!」クローンヤクザボンズはリビングツリーの破片の下敷きになり即死!ナムアミダブツ!
戦闘終了
「シューッ……!」ゴールデンウルフはザンシンした。油断ならぬ相手であった。だが殺した。見回せば、あたり一面に舞い散る桜の花びら。倒れ伏すクローンヤクザボンズたち。バイオといえど、なかなかに風情のある光景を醸し出している。「アナヤ……!」彼は思わずハイクを詠んだ。
ニューロン判定H、貴族の流儀で+2。4D6[2165]成功。
「散る桜/バイオなれども/ショッギョ・ムッジョ」……なかなかの出来だ。彼は懐の短冊にそれを筆でしたため、携帯IRC端末でセルフィーした。
エピローグ
「さすがはゴールデンウルフ=サン。見事であった」パーガトリーの自邸。偉大なるグランドマスターは手を叩き、労をねぎらう。ゴールデンウルフは下座で深々とドゲザしている。「下賤のやからを懲らしめるつもりが、思わぬ恩を売ってしまうとは。これもロードの思し召しであろう」「ハイ」
「そなたの働き、ロードも喜ばれるであろう。オーガニック桜が咲き誇る頃には、改めて我が家のハナミの席に招待いたそう」「勿体のうございます」「然様か。まあ都合もあろうが、どうか」「いやいや」「ブッダも怒りましょうぞ」「ありがたき幸せ、お受けいたします」奥ゆかしいやり取りだ。
キョート貴族は大地主や大株主として莫大な資産を所有し、日々の労働からは解放されている。彼らの仕事とは社交であり、奥ゆかしく振る舞いつつ権謀術数を巡らし、派閥争いで有利に立つことだ。ただカラテが強ければ良いというものではない。「して、このハイクであるが……」「ハイ」
パーガトリーは首を傾げた。「良い出来ではあるが、少々物足りぬ。ここをこうされてはいかがか」「ありがとうございます」ゴールデンウルフは恐れ入った。グランドマスターにハイクを添削されるとは、なんたる名誉か!「ザゼンなどなさり、ゼンを磨かれるもよかろう」「ヨロコンデー!」
【インセイン・ラッシュ】終わり
リザルトな
評価:A+ リビングツリーを爆発四散させ、ドオヤマに恩義を売った。パーガトリー派閥のハナミへの出席が許され、パーガトリー自ら盃にサケを注がれる。万札15と名声1、余暇4日を獲得。クローンヤクザたちから万札5を獲得しており、合計万札20。
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