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忍殺TRPGリプレイ【ゴスペル・オブ・ザ・スロットル】01

邦題:スロットルの福音(Gospel Of The Throttle)

ドーモ、三宅つのです。これは、マスクドエンジン=サンのシナリオ案「反抗組織排除」及び原作小説「スシ・ナイト・アット・ザ・バリケード」を元にしたリプレイ小説です。ネタバレにご注意下さい。

イッキ・ウチコワシのニンジャに煽動された労働者たちを屈服させ、弾圧する、比較的邪悪なシナリオです。ソウカイヤのニンジャを派遣してもよいのですが、つの次元にはオムラ所属のオリジナルニンジャがいます。

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◆ナイトフライト(種別:ニンジャ)
カラテ       4>5  体力        4>6
ニューロン     5    精神力       5
ワザマエ      6    脚力        3
ジツ        0    万札       17>1
DKK       2    名声        2

◆装備や特記事項
▶生体LAN端子LV1:ニューロン判定ダイス+2、イニシアチブ+1
○オムラ兵士(電子戦争退役軍人扱い):生体LAN端子を初期装備
 ◉知識:サラリマンの流儀、サイバネティクス、重工系メガコーポ
◉交渉:理路整然
◆タクティカルスーツ:体力+1

能力値合計:15>16 回避ダイス:6
◆忍◆
つの版ニンジャ名鑑
【ナイトフライト】
墜落したマグロ・ツェッペリンに搭乗していたオムラ兵士モンド・スミダにニンジャソウルが憑依し脱出。オムラ・インダストリ所属の企業ニンジャとなった。手練のニンジャ・ヴォルテージの部下である。
◆殺◆

覚えておいででしょうか。そのような経歴を持ちます。前回の新人研修バトルロイヤルで生き残り、万札17と名声1、余暇2日を獲得しました。とりあえずカラテを万札6で鍛錬し2D6[42]=6>4=成功。2日目は万札10でタクティカルニンジャスーツを購入します。あっという間に残り万札は1です。能力値はぼちぼちですがジツもなく、まだまだ駆け出しニンジャです。

時系列的には、2034年の8月にニンジャとなり、それからしばらくして新人研修に参加したことになります。9月も何かしていたでしょう。

彼だけではキツいので相方をつけましょう。前回の新人研修で共闘したのちカラテを交わした、このニンジャです。

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◆フェリクローム(種別:ニンジャ)
カラテ       3    体力        4
ニューロン     3    精神力       4
ワザマエ      4    脚力        2
ジツ        1    万札        5
DKK       0    名声        1

◆装備や特記事項
☆ムテキ・アティチュードLV1:精神力1を消費し発動(NORMAL)
 回避判定の代わりに使用し、ダメージ軽減1を得る

▶クロームハートLV1:体力と精神力+1
◆カタナ
 ●戦闘スタイル:強攻撃 攻撃難易度+1、痛打+1、連続攻撃上限3
 ●戦闘スタイル:精密攻撃 ワザマエで攻撃判定、痛打なし
  出目666で殺伐、出目6666でナムアミダブツ

○サイバネ賞金稼ぎ:重サイバネの死体から万札1、ボス級なら5
 ◉知識:重工系メガコーポ、サイバネティクス
 ◉交渉:威圧

能力値合計:12 回避ダイス:4
◆忍◆
つの版ニンジャ名鑑
【フェリクローム】
タケダチック・アガキ社の企業ニンジャ。ムテキ・アティチュードの使い手。サイバネ賞金稼ぎ出身で、愛社精神に満ちている。
◆殺◆

前回生き残りましたが、ナイトフライトに成績では負けました。しかしガッツが認められてかケジメもなく、タケダチック・アガキ社の企業ニンジャとして活動を始めています。余暇は与えられず、成長もしていません。

長いのでタケダ社と勝手に略称します。オムラと同じく兵器製造業系のメガコーポと思われ、原作ではエレクトリックイール=サンとバズキル=サンが所属していました。どの程度の会社かもわかりませんが、少なくともオムラよりは小さいでしょう。敵対企業のヤナマンチはAoMでも国際的企業として存続していますが、タケダ社は滅んでしまったのでしょうか。

駆け出し2人では心もとないので、もうひとりつけます。原作ではエクスプロシブ=サンひとりですが、公式データが特にないため別の現場に行ったとして、ソウカイヤからうってつけの人材を出しましょう。彼です。

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◆フレイムスローワー(種別:ニンジャ)
カラテ       3    体力        3
ニューロン     3>4  精神力       3>4
ワザマエ      6    脚力        3
ジツ        3    万札       16>7
DKK       1    名声        3

◇装備や特記事項
☆カトン・ジツLV3:隣接した3×3マス内の敵に1ダメージ(回避NORMAL)
 中心点の敵はD6ダメージ(回避HARD)
▶生体LAN端子:ニューロン判定ダイス+2、イニシアチブ+1

○生い立ち:テッポダマ
 ◉挑発:手番終了フェイズに精神力1を消費し、同じ部屋にいるボス級1体か、
  自分よりイニシアチブが低い雑魚全員の攻撃を1ターン引きつける
  ボス級の敵はニューロンで抵抗判定可能(NORMAL)
 ◉知識:ストリートの流儀
 ◉交渉:威圧
○立ち位置:全能感や野望
◆カラテ鍛錬蓄積+2

能力値合計:18>19 回避ダイス:6

前回の冒険で借金を返済し、余暇4日を獲得しました。万札6でカラテとニューロンをそれぞれ鍛えましょう。2D6で[12][34]、ニューロンは成功しましたがカラテ鍛錬は失敗です。残り万札が4なので万札3で再挑戦し[2]+1=3、これも失敗。次回は2以上を出せば成功します。仕方ないのでサンシタらしくモータルハントを行い、ワザマエ+ジツ=9からD6の出目を引いた数の万札を獲得できます。出目は[3]、万札6を獲得しました。残り万札は7です。

各々の所属はバラバラですが、駆け出しとはいえ3人ものニンジャが投入されました。暴徒を鎮圧するには十分でしょう。では、始めます。

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ネオサイタマの西、フジサン麓の鉱山町へ通じるハイウェイ。道沿いには廃村やダム湖が連なり、「ダム建設猛烈反対」「粉砕骨折」「鬼怒川」といった文言がかすかに残る、朽ちた看板が立ち並ぶばかり。高架の下には僅かな数の老人が先祖伝来の土地にしがみつき、細々と暮らしているだけだ。

夜11時。そのハイウェイには大渋滞が起きており、輸送トラックが長蛇の列をなしていた。「暴動だとよ!迷惑な話だぜ!」「ダム建設に反対してる住人が、ハイウェイを封鎖しやがったってよ」「クソッタレ!車中泊かよ!早く積荷届けてマイコ・センターしてえってのに」口々に不平不満。

「なんかよォ、もうちっとでカタがつくってよ」「マジか?ナンデ?」「前の空が明るいだろ。アレ、燃えてんだと。俺さっき前まで行って聞いてきたんだわ。オムラが鎮圧のために戦闘兵器投入するって」「物騒だな!まあ、それならいいや。さっさと排除してくれや」男がそう言い終えない時。

VRRRRR……!上空にジェット機の飛行音が鳴り響く。続いて、何かの落下音。推定落下地点は……真上だ!KRAAASH!荷台が上空から落下した巨大質量によって踏み潰された!「「「アイエエエ!?」」」車ほどもあるその鉄塊は、不運な人間を押し潰し、ネギトロめいた状態に変えた!

続いてやや離れた位置のトラック車両部、道路上にも次々と落下!ピピピピ、チチチチ……電子音を発しながら鉄塊はサーチライトを点灯し、頭部を高速回転させて周囲の状況をサーチする。『着地点、座標補正、アリガトゴザイマス。ご迷惑おかけします』不快な合成音声。

胴体部分から蒸気を吹き上げ、カンガルーめいた逆関節の両脚部がボディを持ち上げた。腕部にはショック・サスマタとガトリングガン。背中にはオムラ・インダストリの雷神紋があり、『モーターヤブ』と書かれている。『モーターヤブは賢く強い。これよりアナキストの排除に向かいます』

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「モーターヤブ」たちは跳躍を繰り返し、車を飛び石のように踏み潰しながら坂を降りて行く。その先にはオレンジ色の空。激しい銃撃音と、阿鼻叫喚の悲鳴!一方的な殺戮が始まったのだ!

「おー、やってるな。俺らは飛び降りなくていいの?」近くを飛行する武装ヘリの窓から、モヒカンヘアーの男が見下ろして言った。

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ダンゴウ

「ハイ。こちらは我が社の戦闘兵器モーターヤブが鎮圧します。我々はここから数十キロ離れた、トットリという村に向かいます」オムラ社員モンド・スミダ、ニンジャネーム「ナイトフライト」が書類を読み上げる。「そこにレジスタンスがいる、と」タケダ社のニンジャ、フェリクロームが言った。

「クソアナキストのイッキ・ウチコワシか。俺、こないだチームを組んで、あいつらのアジトをひとつ潰してやったんだ」モヒカン男、フレイムスローワーは誇らしげに笑う。「大規模テロを未然に食い止めてやったぜ。感謝しろよ」「「アリガトゴザイマス」」ふたりの企業ニンジャはオジギ。

彼らの所属組織はバラバラで、序列にもやや差がある。フェリクロームの所属するタケダ社は、ナイトフライトの所属するオムラ社の傘下にある企業のひとつだ。フレイムスローワーの所属する暗黒暴力組織ソウカイ・シンジケートは、オムラとも提携関係にあり、ネオサイタマの裏を牛耳っている。

だが所詮、彼らはニュービーであり、各組織の末端の存在だ。与えられた命令を着実にこなし、生き残り、上司や同僚に認められて出世していく……それは互いに変わりはしない。「ま、組織間の上下関係は抜きだ。新入り同士楽しくやろうぜ」「「ヨロコンデー」」「……リラックスしろって」

フレイムスローワーは肩をすくめる。ソウカイ・シンジケートも一応企業と言えるが、サラリマンというよりはヤクザだし、自分はストリート育ちのテッポダマだ。文化が違う。バラバラバラバラバラ……武装ヘリは一路、アナキスト・レジスタンスの根城であるトットリ村へ飛んでいく。

「トットリ村の上空は、磁気嵐と密林で直接降りることはできません。どこかで降下し、攻め込むことになりますが」「レジスタンスは何人ほどです」「100人足らずですね。他の住民数百人は要介護の老人ばかりで、戦力になりません。プロジェクトに収容すれば厄介払いできると提案したのですが」

ナイトフライトはため息をつく。「理解を得られませんでした。健康な労働力である彼ら自身のためだとも思うのですが」「理解に苦しみますね」「まったくだぜ!ジジイやババアのために人生を棒に振るってのか?」3人は苦笑いした。彼らに家族はいない。「まあ、俺も強制収容はイヤだがよ!」

「それだけなら、モーターヤブを数機投入すればカタがつきました。しかしながら、ニンジャが相手では話が別です。また、このニンジャはレジスタンスの鍛錬や鼓舞・指揮にも当たっており、フーリンカザン……地の利もあって、残念ながら数度に渡り排除に失敗しています。そこで、我々です」

オムラの社章バッジに手をあて、ナイトフライトは胸を張る。「本来なら弊社のニンジャだけで事に当たるのですが、少数精鋭のため多忙を極めています。そこでソウカイ・シンジケート様、同業他社のタケダチック・アガキ社様にご助力を仰ぎ、私が派遣されたという次第です」「アイアイ」

フレイムスローワーは小指で耳をほじる。「殉職しない程度に頑張ろうや」「そのニンジャの名は?」「ええとですね」ナイトフライトは慌てて書類をめくる。末端兵士あがりの彼は、まだこうした職務には慣れていない。

ニューロン判定、難易度HARD。「知識:重工系メガコーポ」で+1、生体LAN端子で+2され8D6で[36664242]=3成功&ナムアミダブツ。全員に緊急回避ダイス+1、即応ダイス+2。

「彼の名は『ラプチャー』。イッキ・ウチコワシ所属のアナキストで、見つめた者を魅了するジツを用いるそうです。また、なんらかのサイコキネシスを使うといいます」「囲んで殴ればいいな。モーターヤブとかで支援はねえのか?」「ニンジャ戦力が3人もいれば不要、との上司の判断です」

「そりゃまあそうだな」顔写真や情報がIRC端末で共有される。「美形ってほどでもないが、正義感が強そうなツラだ。ムカつくぜ」「ニンジャは一人だけですか?」「報告されている限りでは。増援が来る可能性もあります。気をつけていきましょう」「了解」「了解」……その時だ!

ヒュルルルル……KA-BOOOOM!ナムサン!携帯式の地対空ミサイルだ!

「うおおおッ!?」間一髪でAI操縦自動機銃が撃ち落としたが、このままでは危険だ!「よ、予定を変更し、ここから降下します!パラシュートを着用してください!」「ヨロコンデー!」「喜ばしくねえよ!クソッタレ!」

ワザマエ判定、難易度NORMAL。ナイトフライト(NF)とフレイムスローワー(FT)は6、フェリクローム(FC)は4で判定。[314526][652413][1354]=全員成功。

「「「イヤーッ!」」」武装ヘリから3人のニンジャが降下!黒いパラシュートが空中で開き、密林へとゆっくり落下していく。「言い忘れましたが、上空を覆う磁気嵐の影響で、密林や村の周辺ではIRCは使いにくいです!」「先に言えや!」武装ヘリは回頭し、ネオサイタマ市街地へ去っていく。

「じゃあ、帰りはどうすんだ?」「現地で車を調達して、ハイウェイまで戻れと上司から」「どケチのクソッタレ!」

トットリ村付近

……ともあれ、着陸した3人はトットリ村を目指す。細いながら道はついているし、標識も一応ある。「ここいらはレジスタンスの巣です。トラップなどに気をつけて」3人はニンジャ第六感を研ぎ澄ませ、危険を探る。

ニューロンで察知判定、難易度HARD。5D6、3D6、4D6で[11224][134][3544]=FTのみ成功。

「おっと、待て」フレイムスローワーが感づいた。「よく見ろ、ナリコ・トラップだ。その糸に触ると警報機が作動して、毒矢とか飛んで来るぜ」「おお、危ない」「感謝です」前回の冒険でトラップをいくつか潜り抜けた経験が生きた。「解除してみる。下がっててくれや」「「ハイ」」

ワザマエ判定、難易度HARD。6D6で[536623]=成功。

インヴィテーションのやり方を見様見真似で思い出し、どうにか解除に成功した。ニンジャ器用さの賜物だ。「よし、いいぜ」「「ドーモ、アリガトゴザイマス」」トラップの存在が予測される場所なのに、トラップの発見や解除に長けた人材がいないとは。フレイムスローワーは連携の悪さを感じた。

ニューロンで察知判定、難易度U-HARD。[66551][466][1552]=今度はサラリマンふたりが成功。

「今度はピット(落とし穴)ですか」ナイトフライトが罠を見つけた。「では、私が」「気をつけろよ」

6D6で難易度HARD、[316413]=成功。

ナイトフライトはピットの上に板を渡し、強度を確かめる。「OKです」「よし」3人は茂みをかきわけ、なるべく音を立てないように道を進む。「トットリ村は、山の斜面に棚田……段々状のコメ畑を作っており、背後には大きなダムがあります。それを破壊すればイチモ・ダジーンだとのことで」

「モータルはそれでいいとして、ニンジャはどうだろうな」「爆破用のダイナマイトとかは?」「上司から高性能バクチクを預かっています。これを仕掛ければOKです」「そうか。あんたが仕掛けろ。俺たちは陽動に回る」フェリクロームは敬語をやめ、山刀めいてカタナを振るい、草を刈っている。

「タケダ……シンゲン……フーリンカザン……」暴力的な目つきで、何かをブツブツつぶやいている。「どうしたんだ」「彼は武田信玄の埋蔵金を信じているとかで……探しているのでは」「マジで大丈夫か、この作戦」「まあタケダ社員は全員信じているとの噂もありますし」ナイトフライトは動じない。

やがて、竹製バリケードに取り囲まれたトットリ村レジスタンスのアジトが見えてきた。正面から向かえば、ニンジャといえども機銃掃射でオタッシャだ。イッキ・ウチコワシから十分な軍事支援を受けていることは明らか。ならば背後からアンブッシュだ。3人のニンジャはしめやかに闇を走る。

【続く】

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