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【聖杯戦争候補作】The Wrath of God in All its Fury

"神はまた言われた、「われわれのかたちに、われわれにかたどって人を造り、これに海の魚と、空の鳥と、家畜と、地のすべての獣と、地のすべての這うものとを治めさせよう」。神は自分のかたちに人を創造された。すなわち、神のかたちに創造し、男と女とに創造された。"『創世記』1:26-27

 昼下がり。とある団地の一室から、苦しげな声が聞こえてくる。涙まじりで、怒りと悔しさに満ちた声。そして、なにかが振動する音。

「ふぅーっ……ふぅーっ……! なんで? なんでぇ?」

 ヴィーン……ヴィーン……! おお、読者の皆様は目を閉じて頂きたい。

「なんで私はダメなの? なんでいつもいつもダメって言われるの? 好きな子を可愛がっちゃダメなの? 素直に好きって言っちゃダメなの? 家に連れて帰ってハグハグしたりチュウチュウしたりしちゃダメなのぉお?」

 ……若い黒髪の女性が、苦しみ悶えながら自らを慰めているのだ。その声や表情は、猥褻さというよりは、いたましさを感じさせる。彼女のバストは豊満であった。

 彼女の名はワタナベ。この団地の住人のひとりであり、左手薬指に指輪をしているが、現在は離婚している。彼女の夫と息子は、彼女の病的な小児性愛の性癖を持て余し、団地から出ていってしまったのだ。

「私の愛情表現を、歪んだ目で見て……! 私は子供を指導してるだけなのに……可愛がってるだけなのに……! 私を変質者扱いするなんて! 違う!私は! 断じて! なんで私ばっかり! ふぅーっ!……」

 彼女は涙を流しながら達した。だが、虚しい。可愛い少年を愛し、慈しむことの何が悪い。この団地の他の人妻たちだって、不倫したり、やましいことをしている癖に。彼女は、壁に貼られベッドに撒き散らされた少年たちの写真を見つめる。屈託のない笑顔、小さな体、汚れなき純粋な目。ああ、私の天使たち。何故、何故、彼らを愛してはいけないのだ!

「……それが、貴様の欲望か。愚か極まる、下劣な人間の女よ」

 いつの間にか、ベッドの傍らに男が立っていた。少年ではなく、筋骨隆々たる異形の大男が。

「きゃあっ!?」
「問おう。まことに、貴様が、この我の、マスターか?」

 ワタナベは―――思い出した。そうだ。自分は突然誰かに呼び出されて、よく似た団地に住まわされ、そして。

「そ、そうです! わ、私はワタナベといいます! あ、貴方は!?」
「まず服を着ろ、ワタナベ。貴様は神の前にいるのだぞ」

 大男は苛立った声をあげ、たくましい腕を組み、空中にあぐらをかいて傲然と彼女を見下ろす。赤いレオタードめいた服、鉤爪の生えた手袋やブーツを纏い、ヤギめいた二本の大きな角が生えた兜をかぶるその姿は、神というより悪魔を思わせる。どのみち、逆らうのは危険そうだ。幸い自分に劣情を抱いている表情ではない。むしろ嫌悪し、憤怒しているのはわかる。

「は、ハイ。すみません」

 ワタナベはいそいそとスカートを穿き、乱れた衣服を整えた。

「契約に従い、名乗ろう。我はこの宇宙を統べ、天上界に君臨し、人間と超人を創造せし神々の一柱、憤怒の神。今は下天し、超神バイコーンと名乗っておる。とは言え、ここにいる我はその影に過ぎぬようだが」

「影……?」

「我はかつて地上に降臨して戦い、敗れた。だが神は不滅ゆえ、本体は天上界に戻っておる。英霊の座とやらが我を記憶し、相当に弱体化した、かりそめの実体を与えたのであろう。腹の立つことだがな!」

 バイコーンは怒りを撒き散らす。憤怒の神である彼にとって、怒りと不満こそが力の源なのだ。その源となるべきマスターが、欲求不満のバツイチ女性だとは思いもしなかったが、そのことも彼を激怒させた。彼女を縊り殺すのは赤子の手をひねるより容易いが、それでは聖杯戦争に勝ち残ることは出来まい。ならば、せいぜい生き残らせてやるしかないだろう。

「それでは、その、よろしくお願いします」

「ああ。貴様の低俗な欲望などどうでもよいが、我には聖杯を獲得し、超人を滅ぼすという使命がある。そのためにせいぜい利用させてもらうぞ。我を崇めよ! 貴様の怒りと欲求不満が我の力となるであろう!」

 ワタナベは自然と膝を屈し、ひれ伏した。日本には八百万の神がいると言うが、彼は邪神のたぐいだろう。それでもいい。超人を滅ぼすというのも何のことかわからないが、どうでもいい。自分の欲望がかなうのならば、邪神にでも悪魔にでも魂を売ってやろう。

"そのころ、またその後にも、地にネピリムがいた。これは神の子たちが人の娘たちのところにはいって、娘たちに産ませたものである。彼らは昔の勇士であり、有名な人々であった。主は人の悪が地にはびこり、すべてその心に思いはかることが、いつも悪い事ばかりであるのを見られた。主は地の上に人を造ったのを悔いて、心を痛め、「わたしが創造した人を地のおもてからぬぐい去ろう。人も獣も、這うものも、空の鳥までも。わたしは、これらを造ったことを悔いる」と言われた。"『創世記』6:4-7

【クラス】
ランサー

【真名】
バイコーン@キン肉マン

【パラメーター】
筋力A 耐久A 敏捷B 魔力B 幸運E 宝具C

【属性】
秩序・中庸

【クラス別スキル】
対魔力:A
 魔術に対する抵抗力。Aランク以下の魔術を完全に無効化する。事実上、現代の魔術師では、魔術で傷をつけることは出来ない。彼は超神であり、特殊なオーラで肉体の表面を覆っている。魔力を込めた攻撃でこれに傷をつければ、突破口が開けるかも知れない。

【保有スキル】
超神:A+
 天上界から下天した神々の一柱。人の身では絶対に不可能なランクの筋力と耐久に到達している。「神性」「天性の肉体」「勇猛」などを含む。彼は神々が人類や超人の生殺与奪権を持つ上位存在であることを疑わない。

憤怒の神:EX
 「憤怒」を司る神として、他者の怒りや欲求不満を己の力とする。周囲からも敵意を向けられやすくなるが、向けられた負の感情はただちに彼の力へと変わる。他者の怒りを煽ることも好む。

【宝具】
『憤怒の二角獣(バイコーン・ホルン)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1-10 最大捕捉:2
 彼の頭部に生えた、長く太く鋭い二本の角。自在に動き伸縮し、相手を絡め取って拘束したり斬りつけたり突き刺したりできる。折れることはない。

【Weapon】
 己の肉体と自慢の角。角を利用した様々なプロレス技を使いこなす。

【人物背景】
 漫画『キン肉マン』の「調和の神」編に登場するキャラクター。天上界に住まう超人の神々の一柱・憤怒の神であったが、超人滅亡を企てる調和の神に賛同し、下天して受肉、超神バイコーンと名乗った。学研の図鑑『超人』では英国出身、身長232cm・体重157kg。超人強度は神である1億パワーより1万少ない9999万(図鑑では2600万)。笑い声は「フェフェフェ」。

 神らしく堂々たる姿をしているが、傲慢不遜で気性の荒い性格で、攻め一辺倒の苛烈で激しい攻撃を得意とする。しかし相手を格下と見るあまり、思わぬ反撃を受けることもある。本編ではプリズマンのカピラリア七光線によってほぼ相打ちで消滅し、他の超神から「しょうもねぇアイツ」呼ばわりされているが、相手がプリズマンでなければ勝てなかったかも知れず、決して弱くはないはずである。なおギリシア神話における憤怒の神は、復讐の女神エリニュス三姉妹(ローマ神話ではフリアエ)であるが、彼にはアヴェンジャーの適性もあるのかも知れない。バーサーカーの適性もありそう。

【サーヴァントとしての願い】
 超人の絶滅。

【方針】
 聖杯狙い。邪魔する者は容赦しない。

【把握手段】
 原作74巻。

【マスター】
ワタナベ@淫獄団地

【Weapon】
 リビドークロス「キッドナッパー」。手首に備わった手錠付きワイヤーを射出し、標的の手首や足首を拘束する。着用するとリビドーが全開になり、完全に変質者の姿になって目立つため、普段は使用しないでおく。警察に回収されたはずだが、なぜか手元に置かれていた。弱点は胸元の共振石。ワイヤーはペンチで切れる程度の強度なので、無力な人間にしか効果がない。

【能力・技能】
 特になし。

【人物背景】
 漫画『淫獄団地』に登場する団地住人のひとり。左手薬指に指輪をしているがバツイチの独身女性。ボブの黒髪でバストは豊満、可愛らしい顔をしているが、自分の息子に手を出すほどに病的なまでのショタコンである。

【ロール】
 とある団地の住人。

【マスターとしての願い】
 少年たちと思う存分愛し合いたい。少年たちと愛し合っても後ろ指さされない世界が欲しい。

【方針】
 聖杯狙い。可愛い少年を見つけたらお近づきになりたい。

【把握手段】
 原作1話。

【参戦時期】
 1話終了後。警察に逮捕され、団地に戻っている頃。

 タイムラインで流行っていたものを組み合わせた。かつてマンモスマンをランサーとして召喚してポイズンをマスターにしたりした。これはその焼き直しみたいなものだが気にするな。バイコーンは邪淫の象徴でもある。

 バイコーン=サンはああ見えても神なので、そんじょそこらの超人では敵わない強敵のはずだが、あいにく負けてしまったので仕方ない。神話上の神々は普通にめちゃくちゃ怒りっぽく、ソドムやトリプラを焼き滅ぼしたりして恐ろしい。ブッダは怒るなと言うし、あの男は神聖四文字に人類を滅ぼさないよう執り成してくれているそうだ。まあバイコーン=サンはビームを撃ったり巨大化したり災害や戦争を起こしたりはしないから比較的マシだ。神の時はやってたのかも知れないが。

【続く】

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