見出し画像

忍殺TRPGリプレイ【タックスマン、ミスター・シーフ】02

 前回のあらすじ:ネオサイタマを牛耳る暗黒組織ソウカイ・シンジケートには、外交部門が存在する。今回の彼らの任務は、集金部門で不正を行っている悪徳ニンジャの摘発だ。小さな不正を見逃せば、積もり積もって組織全体の損となる。組織の利益を守るため、戦えソウカイヤ外交部門!

 フューネラルは顎を手で擦る。「……で、君たちがヤクザクランに詫びを入れて、それを返却するので?ソウカイヤが、ニンジャが、モータルに?」ブルータルライオンが空気を読み、目を細める。「……それでは、好ましくないかと」「そうとも。我々は支配者で、モータルは被支配者です!」

 パンパン、とフューネラルは手をたたく。「モータルは生かさず殺さず。ヤクザやカチグミ、暗黒メガコーポがカタギを搾取するのなら、我々ニンジャは彼らからさらに上前をはね、搾取する存在です。謝罪も返却もしなくてよろしい。ただ、不正を働き組織に害なすニンジャを処罰すればよい!」

「「「ハイヨロコンデー!」」」三人はフューネラルの意向を受け、ただちにツチノコ・ストリートへ向かった。悪徳ニンジャを捕縛してソウカイヤに罪状を報告し、然るべき罰を与えさせるのだ!

ヤクザの事務所

 ここはネオサイタマの掃き溜め、ツチノコ・ストリート。その濁流の中に浮かぶ、薄汚いビルディングの13階の一室。ここに零細ヤクザクラン「エレファントヘッド」の事務所がある。伝統主義的な事務所の応接室には、背広を着たグレーターヤクザのカワセマが、のっぴきならぬ表情で座っている。

イメジは元シナリオより。ヤマヒロを反転してカワセマです。

「ザッケンナコラー!」カワセマはクリスタルデスクを叩く。「このままじゃあ、百年続いたエレファントヘッドは終わりだ!」生き残ったレッサーヤクザたちは沈痛な面持ちでうつむき、すすり泣く。「ソウカイヤめ!血も涙もねェ!ニンジャさえ!ニンジャさえいなけりゃあよォ!チクショウめ!」

 その時。「オジャマシマス」「アイエッ!?」カワセマは飛び上がり、ドアを睨んだ。「ドーモ、ソウカイ・シンジケートの者ですが」「アイエッ!お、お早いお着きで!ドーゾ!」三人はドアを開け、応接室にエントリーした。「さ、三人……」「終わりだ……」ヤクザたちはガックリと膝をつく。

「ドーモ。カワセマ=サン」「ドーモ……」カワセマは椅子からまろび出てドゲザした。「た、ただいま手下たちに必死で上納金をかき集めさせております!どうか!お寛ぎ下さい!」どうやら上納金の準備が間に合っていないようだ。三人は上座に腰を下ろした。「ええ、その件ですが……」

交渉判定、難易度は調査成功によりUH2→H。能力値から得られるダイスの最大値は6。MOが挑む。「交渉:共感」で+2され8D6[31145542]成功。

 ……マキーナが冷静に事情を伝えると、カワセマたちは滂沱の涙を流し、深々とドゲザした。「よ、よかった……!これで安心だ!」「助かった!」「こっちもメンツあるから、謝罪や過剰分の返還はしないね。あなたたちがカタギにカネ返さないのと同じ。以後の上納金額が通常に戻るだけね」

「じゅ、充分でございます。アリガトゴザイマス」カワセマは泣きながら頷いた。「タックスマン=サンはこっちで捕まえて処分するね。あなたたちは手出し無用。ニンジャがヤクザにナメられたら困るね」「承知いたしましてございます」ヤクザたちはブッダに対するように、五体投地して平伏する。

「まあ、WIN-WIN関係にしないとお互い損です。経営体力を取り戻し、これからも上納金を適切に納めていただければ、それで結構」ブルータルライオンは微笑んだ。「「「ハイヨロコンデー!」」」「……で、タックスマン=サンはいつ頃ここへ来るの?」「も、もうすぐ来られる予定でして……」

ニューロンかワザマエ判定、難易度H。能力値から得られるダイスは6。[132253][144564][632662]成功。

 フォーコがドアを振り返る。「来るよ。隠れて」「「了解」」ニンジャ第六感だ。三人はニンジャ野伏力で姿を隠し、ヤクザたちは頷き立ち上がる。「……ドーモ、カワセマ=サン。タックスマンです。万札とトロ粉末は用意しましたか?」ノックもなくドアが開けられ、タックスマンが入ってきた!

イメジは元シナリオから。元シナリオではバーグラー=サンだが、彼はもういない。
◆タックスマン(種別:ニンジャ)
カラテ       4    体力        5
ニューロン     4    精神力       4
ワザマエ      4    脚力        3/E
ジツ        0    万札       12

攻撃/射撃/機先/電脳  5/ 5/ 4/ 4
回避/精密/側転/発動  4/ 4/ 4/ 0
即応ダイス:2 緊急回避ダイス:2

◇装備や所持品
◆ZBRアドレナリン注射器

◇ジツやスキル
◉常人の三倍の脚力
◉滅多打ち
◉ランスキック
◉ニンジャソウルの闇(1)

能力値合計:12

「アッハイ、ドーモ!」カワセマとヤクザたちは深々とオジギする。「このアタッシュケースの中に」「足りませんね。二つ要るはずですよ」タックスマンは無慈悲に告げ、ツカツカと歩み寄る。……その時だ!

戦闘開始

1ターン目

イニシアチブ:ブルータルライオン/BL(8)→マキーナオスクラ/MO(7)→マーノディフォーコ/MF(6)→タックスマン/TM(4)

アンブッシュによりPCたちの攻撃・射撃難易度-1。

BLは側転&カラテ[215645][43363]2成功。TMは[56]回避!MOは側転&カラテ[444612231][2555]3成功。TMは[25]回避!MFは側転&カラテ[16126114][52163]2成功、TMは緊急回避ダイス2を消費し[36]回避!スゴイ!

「「「ハイヤーッ!」」」三人のニンジャは物陰から一斉に飛びかかった!「う、うおッ!?イヤーッ!」だがタックスマンはとっさに跳躍回避!ワザマエ!彼の脚力は常人の三倍にも達する!「フン、少しはやりますね。ドーモ、我々はソウカイ・シンジケート。私はブルータルライオンです」

「マキーナオスクラね」「フォーコでいいよ」「ど、ドーモ、タックスマンです。ソウカイヤだと!?私は仕事をしていただけだ!」動揺したタックスマンはクロスカタナ紋のバッジを見せる!「あなたの不正が露見したのですよ。おとなしく投降しなさい。口を利いてあげます」「う……ウオーッ!」

TMは…逃走を選択!連続側転しながら1D6[4]=MFへスリケン![6415][52116]成功。MFは[532342111]回避!

 タックスマンは雄叫びをあげ、常人の三倍の脚力で窓へ側転!逃げながらスリケンを投擲!「イヤーッ!」フォーコは跳躍回避!「逃がすか!」

2ターン目

BLは側転&カラテ[516152][62552]3成功。TMは[4]回避!MOは側転&カラテ[321412311][5623]2成功。TMは[6]回避!MFは側転&カラテ[66143263][61526]3成功&殺伐[3]急所破壊!「タツジン:アイキドー」により「ワザ:ソードブレイカー」発動!殺伐出目5の両腕破壊を回避Hで与え、任意の自分の隣接マスへ再配置。TMは[64]回避!スゴイ!TMは瞬時行動でZBRアドレナリンを使用し脚力+1、側転&1D6[6]MFへスリケン![3534][36312]1成功。MFは[134441346]回避。

「「「ハイヤーッ!」」」三人は一斉にタックスマンへ飛びかかる!マキーナとフォーコはカンフーのタツジンだ!「う、ウオーッ!」タックスマンは死物狂いで躱し、首筋にZBRアドレナリンを注射!脚力をさらに強化する!「キエーッ!」KRASH!窓をブチ破って逃げながらスリケン投擲!

「イヤーッ!」フォーコはブリッジ回避!「まずいですね。逃がせば敵組織と合流するかも」「追うね!フューネラル=サンにも連絡重点!」「前みたいにクスリを盛ればよかったなぁ」三人は窓から飛び降り後を追う!「す、スゴイ……」カワセマたちは唖然としてニンジャ同士のイクサを見送る。

3ターン目

BLは脚力3なので追いつけない。側転&スリケン[262454][4162631]2成功。TMは[2]命中!残り体力4!MOは脚力4で側転&カラテ[53166161][3523]1成功。TMは[3]命中!残り体力3!MFは脚力4で側転&カラテ[21353154][23123]攻撃失敗!TMは側転&1D6[1]BLへスリケン[1161][15453]成功、BLは[366243224]回避!

「「「ハイヤーッ!」」」KRASH!「グワーッ!」タックスマンの背にスリケンが突き刺さり、マキーナのトビゲリが命中する!だがタックスマンは死物狂いで跳躍し、ブルータルライオンへスリケン!「イヤーッ!」「ハイヤーッ!」ブリッジ回避!ワザマエ!「どこへ逃げても無駄ね!」

4ターン目

大気にカラテが満ちる!ハードモード突入!

BLは側転&スリケン[1614112][536526]4成功。TMは[3]命中!残り体力2!MOは側転&カラテ、即応ダイス3をつぎ込む![23665231][6616313]3成功&ナムアミダブツ[1]弾き飛ばし!フランケンシュタイナーに置き換え回避難易度+1、UH3!TMはアドレナリン・ブーストし(残り精神力3)[114]命中!頭部痛打&マウントタックルを食らい2ダメージ、昏倒!

「イヤーッ!」ブルータルライオンは側転しながらスリケン投擲!「グワーッ!」命中!タックスマンはバランスを崩す!「好機!イイイ……!」マキーナは大きく身を縮め、全身のバネを使って跳躍!「ハイヤァアアーッ!」タックスマンの肩に飛び乗った!「グワーッ!?」「キエーッ!」

 そのまま両脚で頭部をホールドし、思い切りバック転!アスファルト道路に頭頂部を叩きつける!SMAASH!「アバーッ!」ナムアミダブツ!これは古代ジュー・ジツの流れをくむカンフー・カラテのヒサツ・ワザ、フランケンシュタイナーだ!「ゴボッ……!」タックスマンは白目をむいて昏倒!

「シューッ……!」マキーナは立ち上がり、呼吸を整えつつザンシンした。油断ならぬ相手であった。「でかしました!」「ヤッター!キンボシ・オオキイ!」ブルータルライオンとフォーコが駆け寄り、標的を捕縛する。

戦闘終了

「アブナイでした。ニチョームやザイバツのアジトに逃げ込まれていたら大変でしたよ」「私たち、まだまだカラテが足りないね」「鍛えましょ」「ともあれ、一件落着です」ブルータルライオンはIRCでフューネラルに連絡する。「モシモシ。タックスマン=サンを無事に捕縛しました」

『ご苦労。ヤクザクランはどうかね』「交渉の結果、謝罪も賠償もしなくてよいとのこと」『ご苦労。では、不正は正された。彼を速やかに連れ帰りなさい』「ハイヨロコンデー!」通信終了。三人は捕縛したタックスマンをカワセマらに示し、改めてソウカイヤに忠誠を誓わせると、アジトへ戻った。

???

 ……数日後。ソウカイヤでの拷問まじりの取り調べにより、タックスマンは横領した資金の一部を、ザイバツの関連施設に横流ししていたことが明らかになった。ソウカイヤに対する完全な背信行為だ。彼は処罰としてリー先生のラボに送られ、いなくなった。そして問題は、資金の送り先である。

調査判定、難易度UH。能力値から得られるダイスの最大値は6個。知識スキルでダイスは増加する。MOは知識「ドラッグ」「高級嗜好品」で+2され8D6[51613656]成功。BLは6D6[433553]失敗、MFは6D6[523431]失敗。全員が即応ダイスと緊急回避ダイス+2。

 タックスマンからの資金の送り先のひとつは、とある地下秘密クラブだ。幸いニチョームではなかったが、二人のソウカイニンジャ「バイコーン」と「ゼブラ」のアジトだという。つまり彼らも資金横領に関わり、ザイバツと内通している疑いがある。しかしデータによれば、二人はかなりの手練れ。

「どうする?」フォーコが眉根を寄せる。おそらく、彼らがタックスマンを手下にしてカネを集めさせていたのだ。だがこちらはカラテにやや乏しく、三人がかりでもタックスマンにさえ苦戦する有様。となると……「威力部門か顧問にお出ましいただきましょう。我々は暴力が本業ではないので」

「そうするね」三人はIRCで連絡する。『了解しました。ただちに現場に急行します。フォハハハハ!』フューネラルは二つ返事で了承した。『たまには私も戦わないと、腕が鈍ってしまいますのでね!それにザイバツが関わっているとなると、君たちだけでは少々危険だ!』「アッハイ」

『では、君たちは先にそのクラブへ踏み込み、ニンジャたちを誘き出しなさい。逃げ場がなければネズミ袋、イチモ・ダジーンです!』「「「ヨロコンデー!」」」これはサイオー・ホース。背信ニンジャたちを捕らえるのだ!

【続く】​

つのにサポートすると、あなたには非常な幸福が舞い込みます。数種類のリアクションコメントも表示されます。