忍殺TRPGリプレイ【ライズ・オア・フォール】05
前回のあらすじ:仲間から分断され、オナタカミの追手を逃れた若き「鷲のニンジャ」たちの次の標的は、メイライ社の専務シロウ・イスヒ。因縁深きオナタカミと手を結んだ彼を見つけ出して暗殺し、メイライ社をボスであるアシッドウルフの手に取り返さねばならない。カラダニキヲツケテネ!
◆
『『ホノオ!』』「ザッケンナコラー!」残るトルーパーたちがアースハンドへ一斉射撃!BRAKAKAKAKA!「グゥワーッ!」ナムサン!躱しきれず被弾!無視できぬダメージだ!「フフフ。私と彼らは生体LANによって繋がっています」シロウは目から血を流しつつ笑い、こめかみを指で触った。
「ブラックソーサラー=サンが始末され、ニルヤ・トルーパーのカラテは衰えました。ですが、こうして補ってやればよい」「クソッ……!」アースハンドは歯を食いしばる。なんたるウカツ。「私を殺しても代わりはいる。メイライ社はもはやアシッドウルフ=サンの手には戻りません。無駄ですよ」
戦闘ヘリは銃口をこちらに向けている。遠くから、さらに多くのローター音。敵の数は多い。アマクダリ・セクト……!「あなた方をこのまま死なせるのは惜しい。我々の仲間になりなさい」シロウは目を細め、手を差し伸べる。「さもなくば、力づくよ」『コーッ、シュコーッ……!』ナムサン!
どくん。どくん。アースハンドのサイバネ腕から、再び黒い液体が肉体に注ぎ込まれる。思考がぼやけ、クリアになる。立ち上がるか、倒れるか。恐れるな。なすべきことをなせ。立たなければ、死ぬ。『AAARGHHHH!』アースハンドは獣めいて吼え、立ち上がる!一撃必殺アトモスフィア!
戦闘続行
3ターン目
「kill-9 U!」ZZTZZTZZT!アースハンドはシロウへ飛びかかりハッキング攻撃!『ヌウウーッ!』プラズマワスプはデン・ジツで弾く!「キエーッ!」『アバーッ!』サイバーメイヘムが飛びかかり、電磁ダガーでニルヤ・トルーパーの首を刎ねる!ワン・インチ距離で戦えばヘリからの射撃は来ない!
『イヤーッ!』プラズマワスプは距離をとり、アースハンドへプラズマ・クナイを射出!ZZTZZTZZT!「グワーッ!」命中!もはや瀕死だ!「位置取りは、こうよね。イヤーッ!」トスカーナは残像を発生させながらバックステップし、プラズマワスプの斜め後ろで空中へセイケンヅキ!拳が光る!
「悪鬼覆滅!ディバイン・カラテミサイル!」BOBOBOBO!高威力のカラテ衝撃波が発射され、アースハンドへ迫る!「イヤーッ!」サイバーメイヘムは必死にかばう!どちらかがやられればオシマイだ!「ハハハ、オーテ・ツミですね」シロウと残るニルヤ・トルーパーも後ろに下がり銃口を向ける!
BRAKAKAKAKAKA!……どくん。アースハンドはニンジャアドレナリンを過剰分泌させ……どくん。どくん。どくん。SMAASH!「グワ……アバーッ!」ナムアミダブツ!アースハンドはまたも銃弾を食らい、重金属酸性雨の水たまりに仰向けに倒れた!「手こずらせてくれたわね。これで勝ち目なしよ」
「くっ……!」サイバーメイヘムは下唇を噛む。デッドリーパーがいたら。ブルームキャットやライトニンググローブと合流していれば。否、タラレバは言うまい。このままイクサを続け、アースハンドを見殺しにしてでもシロウ・イスヒを仕留めるか?だが、それでメイライ社が取り戻せるのか?
オナタカミ・トルーパーとヘリコプターの銃口は、まだこちらに向いている。サイバーメイヘムは……ため息をつき、ハンズアップした。「仕方ないわね」「そう、良い子よ」トスカーナは目を細めた。だが、その時!
???
「うっ?」シロウ・イスヒは目を見開き、のけぞった。口の端から、鼻の穴と眼窩から血の糸が垂れ、ぶくぶくと泡立つ。首が、背後から切断された。誰によって?『フー……お疲れ様』暗殺者はステルスを解き、姿を現した。「ドーモ、ブルームキャットです」その腕からは毒の刃が伸びている。
「そして、ライトニンググローブです!助けに来たぜ!」オナタカミ・トルーパーの首を背後からへし折りながら、金髪のニンジャがアイサツした。エレベーターや階段が使われた様子はない。おそらくメガヒンジのジツでここにエントリーしたのだ。「これは私の任務だもの。フー……殺ってやった」
アースハンドからは、すでに彼女たちに連絡が届いていた。ギリギリで間に合ったのだ。手段を問わず、暗殺はなされた。「ゴボッ……アバーッ……」シロウ・イスヒの首がずり落ち、ブルームキャットの手の中におさまった。ニルヤ・トルーパーも同時に崩れ落ちる。「証拠品、貰ってくわね」
4ターン目
「キエーッ!」ブルームキャットは猫めいてライトニンググローブの傍らへ飛び跳ね、サイバーメイヘムもアースハンドを背負って後を追う!三人の周囲に多数のブルームキャットが出現!ブンシン・ジツだ!『小賢しい!イヤーッ!』プラズマワスプは激昂し、多数のプラズマ・クナイを投擲!
ZZTZZTZZTZZT!POPOPOPOM!ブルームキャットたちは煙と化して消え去る!「逃がさないわよ!」トスカーナがカラテを構えた、その時!
KRAAAACK!ビル屋上ヘリポートの床の中央に突如亀裂が生じ、斜めに裂ける!『なッ』「え」バキバキバキバキ……!床はそのまま二つに割れ、折れて、跳ね上がる!KRAAASH!『うおおおおッ!?』「ンアーッ!?」ナムアミダブツ!これぞメガヒンジのグレーター・ドンデンガエシ・ジツだ!
「『イヤーッ!』」プラズマワスプとトスカーナは必死で跳躍し、上空のヘリコプターに掴まった!だがブルームキャットたちは、崩壊する床の瓦礫に紛れて姿を消した。『クソッ……下だ!奴らを追え!』
戦闘終了
エピローグ
カスミガセキ・ジグラット。ネオサイタマ知事室。
「……わかった」知事代行のシバタ・ソウジロウは部下の報告を受け、無感情に答えた。メフィストフェレスからの報告もすでになされている。充分な収穫だ。シロウ・イスヒが死のうと代わりはいる。メイライ社の技術はすでにオナタカミによって回収された。問題ない。「下がってよし」「ハイ」
シバタは、雲の上に突き出したジグラットの窓から星空を見る。下界で何が起きようと、雲の上には及ばない。「アシッドウルフ=サンか。興味深いが、つまりは裏切り者に過ぎん」彼の心は波風一つ立たない。天の彼方、月の上で待っている『アルゴス』が機能を完全に回復すれば、全て片付く。
アシッドウルフもこの事は知っていよう。ならば彼が次に狙うのは、このカスミガセキ・ジグラットだ。これを守りきり、アシッドウルフを始末したのち……自分が月へ行き、アルゴスと再会して、電力供給を万全とすればよい。それで全てがうまくいく。「いつのひか/てんからくだる/あまくだり」
シバタは月を見上げ、思わずハイクを呟いた。アルゴスとの思い出を懐かしむように。「待っていろ。じきにそこへ行く」
【ライズ・オア・フォール】終わり
リザルトな
つのにサポートすると、あなたには非常な幸福が舞い込みます。数種類のリアクションコメントも表示されます。