忍殺TRPGリプレイ【スリープ・ウォーキング・オーケストラ】04
前回のあらすじ:ネオサイタマの大迷宮「地下下水道」に、ある裁判案件の重要参考人タケシ・タカハシが逃げ込んだ。彼の救援要請を受けて派遣されたのは、借金返済に追われるアウトロー傭兵チーム。タケシを確保し脱出しようとした彼らに、ソウカイヤの邪悪なニンジャたちが襲いかかる!
◆
「アワレに泣き叫ぶがいい。一部始終を撮影してやるぞ!」スキャッターは興奮している。オフェンダーは両手にダガーナイフを構え、ナミに下劣な視線を向ける。ナミは尊厳を守るためにセプクの覚悟を決めた。チャカガンでこめかみを撃って汚水に身を投げ、バイオ白ワニに食われた方がマシだ。
……その時!
「Wasshoi!」禍々しくも躍動感に溢れるシャウトとともに、汚水の滝から何者かが飛び降りてきた!それはゴミを踏み台にして跳躍し、クローンヤクザの死体を踏みつけ、タケシの傍らに降り立つ!「「「え」」」3人はそちらを振り向いた。そこには、死神がいた。赤黒の。それはアイサツした。
「ドーモ、ニンジャスレイヤーです」
「アイエエエ!?」ナミは絶叫!「「なんだと!?」」2人のソウカイニンジャは驚愕した!ニンジャスレイヤーといえば、かつてソウカイヤのニンジャたちを殺しまくったという狂人だ。確か半年ほど前、シックスゲイツの「6人」によって倒され、それ以来行方知れずになったと聞くが……!?
「アイサツせよ、サンシタどもめが」ジゴクめいた声が下水道に鳴り響く。ニンジャはアイサツされれば、アイサツを返さねばならない。古事記にも書かれている。2人はおずおずとオジギし、アイサツを返す。「ど、ドーモ、スキャッターです」「オフェンダーです。貴様は何をする気だ!」「殺す」
「「ナンデ!?」」「オヌシらが、ニンジャだからだ」ニンジャスレイヤーはそう言い放ち、ジュー・ジツの構えを取った。「私はジゴクから帰って来た。オヌシらソウカイヤのニンジャは、一人として生かしておかぬ。ニンジャ、殺すべし!」大気にカラテが満ちる!一撃必殺アトモスフィア!
戦闘継続
マップ
5ターン目
「お……オタッシャデー!」スキャッターは瞬時に状況判断し、連続側転で撤退!命あっての物種だ!「イイイヤァアアアーーーッ!」ニンジャスレイヤーはジゴクじみたシャウトをあげ、逃げ遅れたオフェンダーめがけて飛びかかる!どくん……オフェンダーはニンジャアドレナリンをSMAAAASH!
「グワ……アバーッ!?」ナムアミダブツ!ニンジャスレイヤーのポン・パンチが直撃し、オフェンダーは背後の鉄格子に激突!だがニンジャ耐久力でぎりぎり耐える!「ヌウッ……!」ニンジャスレイヤーが本調子であれば、この一撃でオフェンダーは爆発四散していたであろう。しかし、今は……!
「ブッダファック……!」ナミは涙や鼻水を垂れ流しながらショットガンを構えた。セプクするためではない。するものか。今こそ、このクソッタレの脳天に鉛玉をブチ込む時だ!「死ねーッ!」BLAMN!「アッバーッ!」命中!オフェンダーは白目を剥き、ぐらりと横に倒れ込み、汚水へ落下した。
「GRRR……!」汚水の底からバイオ白ワニが顔を現し、オフェンダーに近づく。「アバッ……ヤメロー!ヤメロー!」ニンジャ耐久力により、彼はギリギリ生きていた。だがもはや抵抗する力もない!「ヤメ……ゴボボーッ!」バイオ白ワニは彼を汚水の底へ引きずり込んだ。ナムアミダブツ!
「サヨナラ!」KABOOOOM!オフェンダーは水中で肉体を噛みちぎられ、爆発四散した。インガオホー!
6-7ターン目
「アイエエエ!」スキャッターは恐怖に怯えながら全速力で通路を逃げる!オフェンダーを身代わりにして生き延び、この情報を報告せねば!「どこへ逃げても無駄だ!イイイヤァアアアーーーッ!」ニンジャスレイヤーは瞬時に追いつき、カラテを繰り出す!「い、イヤーッ!」必死で回避し脱出!
「チクショ……!」ナミは彼らに追いつけない。ニンジャ。あんな連中が、この世に存在するなんて……罪罰罪罰罪罰……否、ニンジャなどいない。それは想像上の怪物だ。重度のサイバネ化で自我を損傷した傭兵たちがそう名乗っていただけだ。バイオ白ワニに食われないうちに、ここを脱出せねば。
ナミはタロを助け起こし、濃縮バリキドリンクを飲ませてキツケする。ZBRを血管に注射するよりは穏やかだ。幸い、あのクソ野郎は嬲り殺すのが目的だったようで、致命傷ではない。「う……!」「生きてるね。あいつらはどうにかした。逃げるよ」「あ、ああ……!」タロは立ち上がった。
……2人はクローンヤクザの死体を下水へ投げ込み、バイオ白ワニへの撒き餌にしながら、ワカとタケシのもとへどうにか駆けつけた。ワカは生きていたが、タケシは……事切れている。ナムアミダブツ。ナミは彼の死体からハンドヘルドUNIXを剥ぎ取った。あとはバイオ白ワニが始末するだろう。
戦闘終了
エピローグ
「オツカレサマデシタ」廃ホテルの地下駐車場。マンホールから這々の体で帰還した3人に、ヤクザ・バウンサーが声をかけた。「実際死にかけたわ。追手に襲われて。なんとか撃退したけど……バイオ白ワニもいたし」「生還できて何よりです。では、そのUNIXはこちらが引き取ります。報酬を」
ヤクザ・バウンサーはハンドヘルドUNIXを受け取ると、淡々とIRC端末を操作し、笑い爺に連絡をとった。程なくして傭兵たちのIRC口座に報酬が振り込まれる。「アリガトゴザイマシタ」彼は事務的にオジギし、ヤクザリムジンに乗り込む。傭兵たちはほっと一息つき、奇跡的な生還を称え合った。
……あの迷宮の奥で出会ったのは、果たして何だったのか。彼女たちは忘れることにした。命拾いし、カネが手に入った。それが全てだ。
【スリープ・ウォーキング・オーケストラ】終わり
リザルトな
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