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聖杯戦争候補作

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つのが某所に投下した亜種聖杯戦争の候補作。落選多数。 鯖や鱒はご自由にお使い下さい。
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2021年7月の記事一覧

【つの版】地平聖杯候補作・ライナーノーツ02

 おれだ。前回の続きだ。ここからはエクストラクラスの七騎となる。 ◆◆讐◆ 08.Komm, süsser Tod  鱒はBAROQUEのアリス、鯖ははたらく細胞のがん細胞だ。マスターは人畜無害の浮遊少女だが、鯖が厄(ヤク)い。コケカキイキイを書いてて思い出し、ステータス表を作ってみたらアヴェンジャーにぴったりだったのでそうした。なんか別作品にこういうのがいた気がする。何しろがん細胞なので知名度は高いが、そんなもんが擬人化されて人類社会に復讐心を抱いて活動しているとはブッ

【つの版】地平聖杯候補作・ライナーノーツ01

 おれだ。地平聖杯の募集が終わり、なんか投稿者による自作語りが流れてくるので、おれもついでにやる。ライナーノーツだ。と言っても自作語りはすでに各記事でやっているため、改めて振り返ってみるということになる。多いので分ける。なおおれは聖杯戦争候補作を書く時、まず鯖と鱒のステータス表を考え、登場話は後から書くことにしている。かつては5000字ぐらい登場話を書いていたこともあったが、今では1000字ほどだ。 ◆  地平聖杯とはこのような企画だ。208作も応募があり、おれのはそのう

【聖杯戦争候補作】Sympathy For The Devil

 はっ、はっ、はっ、はっ。  逢魔が刻の街を、少女が息を切らして走る。人通りはない。彼女を追手から助ける者はない。スマホで助けを呼ぼうにも、警察でどうにかなる相手ではないことはわかっている。死人が出るだけだ。  少女は、自分が聖杯戦争の場に喚び出されたマスターであることを、先程知らされたばかり。そして、襲われている。サーヴァント、異形の存在が、別のマスターを襲って殺すのを目撃してしまった。必死で逃げるが、相手は人外の存在。逃げ切れるわけがない。せめて自分が無関係だと叫びた

【聖杯戦争候補作】King of the Monsters

 夜の東京。ビルの屋上から看板ひしめく繁華街を見下ろす美少女は、困惑のため息をついた。 「……わけがわからないわ。これが"懲罰"ってこと?」  少女は白い肩出しワンピースを纏い、白いつば広帽を被っている。髪は薄紫色を帯びた白で尻まで伸び、三つ編みおさげが二本。睫毛も白く、長い。瞳は赤く、瞳孔は十字型。口の中には爬虫類じみた鋭い牙が並ぶ。彼女は戦場で失態を犯し、祖国へ強制送還された身だ。これまでを振り返り、状況を整理する。  あんな事態は想定外だったが、言い訳は出来ない。

【聖杯戦争候補作】Dancing Mad

 夜空を見上げれば、無数の星々が見える。視線を下げれば、地平線の彼方まで続く大都市が放つ光の群れ。どちらも、界聖杯(ユグドラシル)が作り出した幻影なのだろう。  東京。以前住んでいたことはあるが、どうやらだいぶ様変わりしているらしい。2021年、ということは、1999年から20年以上も未来。確かに見たこともないものが氾濫してはいるが、フィクションが思い描いていたような姿でもない。腕時計を指でいじる。応答なし。 「……宇宙船を呼ぶのも、無理そうですね……」  少年は、ため

【聖杯戦争候補作】Choose Your Destiny

 それは何時代(いつ)から存在していたのか……そもそも地球上(この世)のものなのかもわからない……。  ただ一つ言えることは――食うことと子孫を残すことしか欲望が無かった人類が、それを目にした瞬間(とき)から――歴史(ラグジュアリー)は始まった! それはただの鉱石(いし)なのか、それとも―― 13万年前、それを初めて所有(テニ)した人類の脳に"声"が響いた!  贅(ラグジュアリー)に目覚めよ!! 贅(ラグジュアリー)を極めよ!!  かくして所有者(オトコ)は、その圧倒的