イールドカーブ・コントロール、実質賃金、コストプッシュ型、期待インフレ率、GDPデフレーター、ピューリタン

【イールドカーブ・コントロール】(いーるどかーぶ・こんとろーる)

「yield curve control(YCC)」。イールドカーブとは、座標の縦軸に利回り(金利)、横軸に償還期間(満期年数)を取ってつないだグラフのこと。「利回り曲線」などとも呼ばれる。各償還期間ごとに(長期金利も短期金利も)目標金利を定め、中央銀行がこのイールドカーブをその目標値に誘導して制御することを「イールドカーブ・コントロール」という。

【実質賃金】(じっしつちんぎん)

名目賃金(実際にもらえる賃金の額面金額)に対して、インフレ率を考慮した値。名目賃金指数を消費者物価指数で除して求める。物価の変動を加味した数値なので、賃金所得者の実際の購買力を知ることができる。例えば、名目賃金が1割上昇しても、同時に物価も1割上昇すれば、購買力(財やサービスがどのくらい買えるか)は同じなので、実質賃金は同じということになる。名目賃金が下がったとしても、物価がそれ以上に下がれば、購買力は上がるので、実質賃金は上昇する。

【コストプッシュ型インフレ】(こすとぷっしゅがたいんふれ)

通常、物価高騰は需要と供給の関係において需要が供給よりも多いことによって起こる。それが過度に生じるとインフレ(デマンドプル型インフレ)になる。ただし、物価高騰要因は他にもある。材料や原料、エネルギーなどの輸入コストが高騰することによって、その価格を商品に上乗せせざるを得なくなって商品価格が高騰するケース。

これが過度に起こるとインフレとなるが、それをコストプッシュ型インフレと呼び、デマンドプル型インフレと区別する。区別すべき理由は、デマンドブル型インフレは、価格高騰分が国内の生産者の所得となり、GDPを押し上げるのに対して、コストプッシュ型インフレは価格高騰分の所得が海外の事業者のものとなり、日本のGDPをむしろ引き下げる要因となるためである。

【GDPデフレーター】(じーでぃーぴーでふれーたー)

物価指数を測る指数の一つ。国内で生産されたすべての財やサービスの価格水準の指標。GDPに計上されるすべての財やサービスが対象なので、消費者物価指数や企業物価指数と比べて包括的な指数。また、消費者物価指数や企業物価指数は輸入品も含んでいるが、GDPデフレーターは国内生産品のみが対象。名目GDPから実質GDPを割り出す際にも用いられる。一定期間での変化を見て、プラスになっていればインフレ傾向、マイナスならデフレ傾向だと言える。よく「GDPデフレーター=名目GDP /実質GDP」という式が示されるが、GDPデフレーターから実質GDPが割り出されるので、この式はほぼ意味をなさない。

【ピューリタン革命】(ぴゅーりたんかくめい)

17世紀中頃、イギリスで起こった革命(内戦)。「清教徒革命」とも。年代についてはどこまでを含めるかで諸説ある。狭義には1642年から始まり、1649年に王政が倒れ、イングランド共和国が誕生するまでと考えるが、その後 も内戦は続いた。ジェントリと呼ばれる富裕な下級地主層が中心となって起こり、彼らにピューリタン(清教徒) が多かったことから「ピューリタン革命(清教徒革命)」と呼ばれる。国王チャールズ1世は処刑され、イングラン ド共和国が樹立される。1653年。クロムウェルが護国卿となって政権を運営するがわずか5年で倒れ、1660年には 王政復古。その後、1688年の名誉革命へとつながっていくことになる。

【期待インフレ率】(きたいいんふれりつ)

今後、予想されるインフレ率のこと。「フィッシャー方程式(実質金利=名目金利-期待インフレ率、あるいは、 名目金利=実質金利+期待インフレ率)」を変形して求められるが、経済学者の岩田規久男は「インフレ連動債と普通の国債との利回りの差でほぼわかる」としている。ただし、一般の人はほぼ気にしていないので、実体経済への影響は非常に限定的である。

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