コストプッシュ型インフレ、アダム・スミス

【コストプッシュ型インフレ】(こすとぷっしゅがたいんふれ)
通常、物価高騰は需要と供給の関係において需要が供給よりも多いことによって起こる。それが過度に生じるとイ
ンフレ(デマンドプル型インフレ)になる。ただし、物価高騰要因は他にもある。材料や原料、エネルギーなどの
輸入コストが高騰することによって、その価格を商品に上乗せせざるを得なくなって商品価格が高騰するケース。
これが過度に起こるとインフレとなるが、それをコストプッシュ型インフレと呼び、デマンドプル型インフレと区
別する。区別すべき理由は、デマンドブル型インフレは、価格高騰分が国内の生産者の所得となり、GDPを押し上
げるのに対して、コストプッシュ型インフレは価格高騰分の所得が海外の事業者のものとなり、日本のGDPをむし
ろ引き下げる要因となるためである。
【アダム・スミス】(あだむ・すみす)
1723 〜 1790。イギリスの哲学者、倫理学者、経済学者。グラスゴー大学教授。『国富論』を著し、「経済学の父」
などと呼ばれる。他に『人間本性論』『道徳感情論』などの著書がある。
【セイの法則】(せいのほうそく)
フランスの経済学者ジャン=バティスト・セイ(1767 〜 1832)が唱えた経済学上の法則(仮説)の一つ。「供給
は自ずと需要を生み出す」すなわち「生産物は必ずすべて売れる」とする経済学上の考え方。市場では価格調整が
起こるので(売れなければ売れる価格になるまで値が下がるので)、やがて必ず売れると考える。しかし、これは物々
交換を前提としており、生産性の低い、モノが常に不足していた時代の考え方である。モノ余り状態になっている
とき(例えばデフレ期)には成り立たない。製品在庫を抱えて苦労している企業がたくさんあるという現実を見れば、
「供給は自ずと需要を生み出す」などというセイの法則が成り立たないことは明らかである。
【オイルショック】(おいるしょっく)
1970年代に二度発生した、原油価格高騰による世界経済の混乱。1973年の第四次中東戦争を機に起こったのが第1
次オイルショック、1979年のイラン革命を機に起こったのが第二次オイルショックと呼ばれるが、特に第一次オイ
ルショックを指す場合が多い。第四次中東戦争勃発で原油価格が高騰。先進工業諸国は軒並み、この影響を受け、
物価が高騰。日本では「狂乱物価」という言葉も生まれ、原油価格とは直接的には関係のないトイレットペーパー
や洗剤の買い占め騒ぎも起こった。
【予算制約式】(よさんせいやくしき)
消費できる金額の合計は稼げる資産の額以上にはならないという方程式(不等式)。「商品単価×個数」の足し算は、
収入予算以下になるという式だが、これは(将来、必ず死ぬことが前提で、一生涯に稼げる金額には上限がある)
個人の家計には当てはまっても、(死を前提としない)企業や政府には当てはまらない。にもかかわらず、この考
えを政府に当てはめてしまうと、「プライマリーバランス黒字化」という間違った発想が出てきてしまう。
【WTO】(だぶりゅうてぃーおー)
「World Trade Organization」の略。世界貿易機関。自由貿易促進を目的として、1995年に設立された国際機関。
本部はスイスのジュネーヴ。

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