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弦遊歌

 本の背表紙を撮りたかったのか、背表紙に映る花の影を撮りたかったのか分からないのだ。少し前に、背表紙に種をまく詩を書いたからなのかもしれない。静かにひろげた手のように影となった。
見なくていいものを示してくれる地図を求めていることを、教えてくれたのだろうか。

 たくさんの旗がはためいている。支柱にくくりつけられた連結部分のつよさを明らかにしていく。視線が散り散りになることだけを知っている。未だ巡礼の途中。死者とばかり話す時間に、一点の “ここ” は眩く輝くばかりだ。

対極ではなく、同列に語る。語れる。


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