6月

昨日は…
昨日は、「夏至の庭」と銘打ったキャンドルと燭台の展示を見に行った。まだ初夏の光が眩しくギャラリーに差し、その空間だけ時間が止まったようだった。一つも灯されていないキャンドルを一つずつゆっくり眺め、夏至が来るのを待つ心持ちに。一番小さなキャンドルを購い、巾着に入れてもらった。

その後はいつも行く場所へ。『荒地詩集1955』がまだ残っていたので、ありがたく購入。これだけで満たされた。日に灼けたページを見ると、かつてその本が置かれていた誰かの部屋に勝手に入ってしまったようなきまりの悪さを少し感じる。また、その光景は「二度目の夏休み」という言葉で飾れるような気もする。

音楽だけが流れる時間が続き、私はその中であらかじめ持ってきた本を読んだ。沈黙を破ったのは、隣の人が虫を叩き潰した音だった。なんて痛快なのだろう。水がなみなみと注がれていくように、本にカバーを黙々とかけたり値付けをする一人、と本を読む二人が過ごした、初夏の午後の一日。

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