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義時の花押

今年の大河ドラマは「鎌倉殿の13人」、いよいよ今度の日曜日から放送が始まる。久しぶりの鎌倉もの、それも北条家の面々にスポットライトを当てるのだから、楽しみにしている。

個人的には、鎌倉や北条家のことがどこか身近に感じている。学生時代に勉強のテーマの一つにしていたことがその理由だ。ただ、あらためて振り返ってみれば、これといった研究をこなしたわけではない。世の中は頼朝や北条の人々のことに大いに関心を寄せるだろうと思われるなか、ここで触れたくなるのは、北条の人々が残してくれた花押だ。

中世の、大きく言えば日本の政治を形で見せる代表的な存在の一つには花押がある。遠く東国にいて、当時の文化や伝統の中心である都から離れていた武士たちでさえ、政権を握るようになると、これを受け継いだ。一方では、そのような花押は、今日の視線からすれば、どうしても深いベールに包まれる。デザインは美しくてユニークだが、漢字や仮名と一線を劃し、どのように書かれたか、どこか神秘で近づきがたい。(絵巻三昧:「花押」)

だが、花押は繰り返し書かれ、複数に伝存している。しかも人間が筆で書いたものだから、自然と互いにずれが生まれる。このような視線から出発し、伝わる同一人間の花押を読み較べれば、筆の運びを見出すことができる。(絵巻三昧:「花押の書き順」)

以上の理由に基づき、執権となった北条の面々十六人の花押をGIF動画に仕立てた。制作の要点などは、「花押を動かす」に記した。

大河ドラマの主役は、義時。ならば、まずかれの花押をここに載せよう。この書き順を確定にしたのは、三つほどの違う形の記録に頼り、その様子を特設サイトの義時のページに添えた。

義時006303


なお、利用したのは、東京大学資料編纂所「花押カードデータベース」に収録された花押カードであり、画像ごとにカードへのリンクを添えた。上記の動画花押の元となるカードはつぎだ。

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大河ドラマには、花押を書く武士の姿はおそらく登場しないのだろうが、せめてその彼らが弓矢だけではなく、筆を操る場面を見たいものだ。

特設サイト:「動く花押


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