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夕遊の厨房

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おいしそうな本、写真、旅で出会った素敵なお店など、食いしん坊が喜ぶあれこれをまとめています
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#台湾グルメ

スリリングでミステリーでおいしい小説は反則『炒飯狙撃手』張國立(玉田誠訳)

狙撃手(スナイパー)のイメージといえば、孤高。人付き合い苦手。無駄なことしない。無口。ストイック。百発百中の仕事人。なのに、本書のタイトルは「炒飯」+「狙撃手」。炒飯ですよ、チャーハン!!! この矛盾率高過ぎな言葉の並びだけで、中華好き&言語好きの10人中7.3人は本を手にとってしまうはず。 主人公の狙撃手「小艾(シャオアイ:艾礼)」は、組織の指示通り、ローマで東洋人のターゲットを射殺しました。あちこちにある防犯カメラを想定して、変装と移動を繰り返し、完璧な仕事をしたはずな

かわいくて、楽しい。グルメの基本。映画『祝宴!シェフ』2013年、台湾

ひさしぶりに楽しい映画を見たくて、選んでみました。主人公はいかにも台湾っぽい、ゆるい現代っ子。料理人だった父親が嫌いで、家を出て、芸能人をめざしている。でも、オーディションに落ち、彼氏にふられ、借金を抱えて母親のところに逃げるけど、母親も借金取りに追われている。借金を返すため、母親や成り行きの協力者たちと、料理コンテストにチャレンジ! 台湾的なギャグをこれでもかと詰め込んだストーリーに、登場人物も多いのですが、これがとっても笑えました。なんだかわからないうちに協力する羽目に

台湾グルメと鉄道の旅と百合。『台湾漫遊鉄道のふたり』楊双子(三浦裕子訳)

予告されたときから、すごく楽しみにしていた本。『台湾漫遊鉄道のふたり』というタイトルもそうですが、表紙のデザインがレトロかわいくてステキ。台北駅がモチーフになっていて、昭和のおしゃれな女性2人が楽しそう。広告のキャッチコピーも「グルメ、鉄道、百合」って情報量多すぎで、わくわくしかありません。 舞台は昭和13年5月、作家の青山千鶴子は台湾の講演旅行に招かれます。妖怪と言われるほど食いしん坊な千鶴子は、台湾の珍しい食べ物に興味津津で、片っ端からチャレンジしたがります。でも、当然