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10 PDCA-1-4 興味のあることと結びつける

 学習に気乗りしないというのは、面白いと思わないから、ですよね。「自己効力感」についてのところでもお話しましたが、できそうだと思えなければ面白くないですし、面白くないものはやる気になんかなりません。
 ということは、皆さんご存知のように、興味あることだったら子ども達は誰に言われるまでもなく自分でどんどん調べて詳しくなっていきます。まあ、ゲームなんていうのはその最たるものですよね。
 だったら、その興味関心を持っていることと、学習内容を結びつけることが出来たら、少しは気持ちが前向きになってくれるんじゃないでしょうか。
 逆に言うと、子どもが学習内容に興味関心を持ってくれないのは、それが子ども達の世界と離れてしまっていることが、大きな要因だとも言えるのではないでしょうか。

 もし、身近なものが、学習内容と繋がっているって思えば、興味が湧いて好きになってくれるかもしれないですよね。
 アニメやSFと理科なんて、「空想科学読本」なんていうのが一時流行ったように幾らでも結びつけることが出来ます。
 一見無関係に見える古武術を力学や生理学を使って解明したり、落語を化学的に解説した書籍も出版されています。
 数学は全ての科学の基礎とも言っていいものですから、実は身の回りにあらゆるところに数学は隠れています。

そればかりではなく、文系科目もで繋げることは可能です。
 大河的な物語だと、フィクションでも何かしら事実をモデルにしているところがあります。
 例えば「宇宙戦艦ヤマト2199」では、敵である大ガミラス帝国の政治体制は古代ローマ帝国をモチーフにしています。ヤマトをきっかけにローマに興味を抱くこともあれば、ヤマトを例えにして、その政治体制を語ることで興味を持たせることも出来るかもしれません。

 そうした方向に、ちょっと方向修正してあげればいいわけです。後は興味と勉強を本人が結び付けてくれればいい。

 これを突き詰めたのが、本山勝寛氏の『頭がよくなる! マンガ勉強法』 (ソフトバンク文庫)でしょう。この本では、政治・経済・歴史などの分野を題材にしたマンガがまず大きく紹介され、後で関係した小説・一般書・専門書が紹介されます。マンガで興味を持ち、小説で深く楽しみ、一般書に手を伸ばし、専門書で探求するという流れです。本山氏自身がこの方法で幅広い分野を極めていったそうです。だれもがそこまで行くかは疑問ですが、取っ掛かりとしてマンガを使うというのはいい手だと思います。

 そのマンガ自身の中にも、興味。関心から勉強へという手法が描かれているものがあります。荒川弘氏が農業高校を舞台に描いている『銀の匙 Silver Spoon』(小学館)です。
 この中で、主人公の八軒勇吾は、クラスメイトの御影アキの受験勉強を手伝います。しかし、これがなかなかにとんでもない成績なんです。興味がないからなんですね。そこで八軒は、御影が好きな馬の話につなげて説明をします。すると、それをきっかけに事件や人物に興味を持って覚えるようになるんですね。

 この「技」は子ども自身が使うとは行っても、先ほども少し言いましたように、保護者や指導者の側からのアプローチという面がどうしても必要です。
 また、この方法はもう1つのPDCAとも強い関係を持っています。学習効率の向上、ということですが、自分が好きなこと、つまりしっかり頭に入っていることと結びつければ、当然新しいこともしっかり頭に入って理解できるはずだからです。詳しくは改めてお話しますが、少し例を挙げておきましょう。
 例えば、理科の「オームの法則」と、カメラのシャッター速度と絞りの関係はよく似ています。カメラ好きの子どもなら、置き換えて考えることで、きっと理解しやすくなるはずです。


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