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「誰」がアートを読んでいるのか -その1

表紙の写真はオランダ国立美術館、レンブラントの《夜警》前。

こんなに騒がしい美術館は今まで観たことがなかった。

子どもが叫びながら団体で名画の前を走り回り、それを誰も咎めないどころか大人たちも声を抑えることなく隣の人とああだこうだと話をしている。世界でも他にここまで騒々しい美術館はないんじゃないだろうか。

30時間に満たないアムステルダムの滞在の中で、こんなカルチャーショックを味わうとは思わなかった。日本国内でおとなしく看視員の目を気にしつつ、子どもを連れるのも気を遣う雰囲気の中歩かなければならない環境を思い出すと、建物の名称が「美術館」として一緒とは思えなかった。

単に観光客が寄ってたかって名画の前でスマホをかざして、一眼レフを構えているだけではない。個人の解説者が団体や富裕層の顧客を連れてツアーをしているところをよく通り過ぎた。よく、というよりもそれが来場者のほとんどだ。

解説に熱心に耳を傾け、作品をじっくりと観察する、そして同行者と自分の解釈を議論する - その所作こそ、文化度の違いとして見せつけられた気がした。

国を代表するキャラクターを、ここまで二次創作できる度量が日本にあるか、そんな環境のためになにをすれば変えられるのか、意義ある行動を起こせるのか、メディアのひとつとしても深く考えさせられる契機になった。

というわけで、つれづれとアートとその周囲にまつわるトピックについてこれから書いていこうと思う。

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