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義足で楽しく走るために(3) xXiborg Talk vol.3

この記事は2020年7月23日に行われたオンライントークイベント xXiborg Talk vol.3「義足で楽しく走るために ④義足の付け替え方」の一部を記事化したものです。

義足の交換って誰でもできるもの?

為末大(以下、為末):
自分で義足の交換をするのって、誰でもできるものなんですか?免許みたいに練習すれば。

遠藤謙(以下、遠藤):
僕はできるんじゃないかと思ってるけど、やっぱり怖い人とか、そもそも自分で交換するものじゃないと思っている人もいて。難しいなと思いながらも、簡単に交換出来るような装置やコネクタを新しく作ったら出来るんじゃないかとも思ってやってるんですけども。

山本篤選手は「そんなの自分でやれよ」っていうくらいの勢いで話してくれるので、多分みんなが思ってるよりは簡単でリスクは低いんじゃないかなっていうふうに、最近は思うようになりました。

為末:
これ、山本さんに聞きたいんですけど、自分で替えてるんですよね?

山本篤(以下、山本):
はい、もちろんです。
パラリンピックに出るような人たちはほとんど自分で交換してると思います。でも、交換していない人もいますね。例えば、足入れ部分から全部そのまま一式持ってたりとか。この部分だけを自分で履き替える場合もあるので、そういった場合は自分では交換しないっていう人もいますね。

為末:
なるほど。

山本:
でも僕にとって、交換することは覚えてしまえば簡単なのかなと思います。知るか知らないかの問題と、あとは触っちゃいけない気がする、、、みたいなところかと思いますね。

為末:
なるほど。どんな形になってるんでしたっけ?

山本:
こんな感じで、僕は今履いているソケットに六角レンチを使って、、、ちょっと実演して見ましょうか。

為末:
あ!お願いします。

山本選手の義足交換動画

山本:
30秒~1分弱ぐらいで、付け替えられますね。

為末:
なんか見た感じだと、覚えちゃえば出来そうな気がするんですけど。

山本:
そうですね。しっかりと緩める場所と締める場所を自分で覚えておけば大丈夫です。リスクとして、ちょっとでも緩んでいるとガタガタしてきちゃうんですね。締める量は決まってて、、、遠藤さんいくつくらいでしたっけ?

遠藤:
15ニュートンメートルです笑

山本:
らしいです。
どれぐらいなのか僕は分からないですけど、まあ人間が一生懸命ギュっと締めれば大丈夫だと思います。しっかりと締めれば、緩むことはない。でもちょっとでも片方が浮いてたりとか、変な形で締めてしまうと緩みやすくなるので、僕は全部一気に締めないで途中である程度締めたらまた違う方向から。2回くらいですね。増し締めをしています。

為末:
今のを見るとスキー靴を履くぐらいの時間に見えるけど、慣れてくるとそんなものなんですね。

山本:
はい、やり方としてはそんなもんになりますね。そういうふうにやれるように義肢装具士さんとセッティングをしておけばいいのかなって思います。しっかり固めた状態で、取らないネジは全部ロックタイトっていうネジを固めるものが、ホームセンターに売ってるんですけど、それを付けてしまえば簡単には緩まないですね。

あと一つ難しいのが、日常用義足に足の形をしたスポンジをはめている人たち。そういう人たちは義肢装具士の方に「こういうふうに付け替えたいのでスポンジを下ろせるようにしてください」と伝えないといけない。義肢装具士の方は安全や日常の使いやすさから、動かないように固定してしまうことが多いから。
やっぱり走りたい欲がある人たちは、自分で付け替えできるようになると気軽に走れるようになるのかなと思いますね。

為末:
自分で交換するようになってから、走ってて外れちゃったことはありますか?

山本:
外れちゃったのはないですね。
ソケットが抜けたのはあります。汗をいっぱいかいて足がびょんと抜けた。でもネジが取れて外れて転んだっていうことはないです。基本的にはこれやってしまったなーっていうことはない。

為末:
はいはい、なるほど。ありがとうございます。

為末:
ちょっと今日は義肢装具士の沖野さんが来てるので、、、
おっきー、聞こえてますか?
こういうの、勝手に患者さんがやったら嫌?笑

沖野敦郎(以下、沖野):
あのー、私の個人的な意見としては、先ほど山本選手が言ったみたいに、最初に付け方とか注意点をお伝えすれば、ほとんどの方が自分で出来ると思います。実際使っている工具もホームセンターで普通に売っている。皆さん思いっきり締めれば、頑丈に締まるとは思いますね。

為末:
なるほど。ありがとうございます。
義足のランナーの方たち、ランナーになろうとしている方たちが自分で付け替えをしたりするのに、抵抗感がある人はいらっしゃいますか?

遠藤:
何個か抵抗があって、、、。

・自分で交換することの恐怖心
自分で触るものではないと思うとか、アライメントが狂ったら日常生活も歩きづらくなるかもしれないとか。確かにそれはすごく理解できるし、安全にやらなきゃいけないなと感じます。
・他の人の目を気にする
ギソクの図書館では楽しく走るけど、学校など他では走りたくない。他の人の目線を気にしてしまう人もいます。
・外で走ることの恐怖
タータンの上だったら安全安心だけど、屋外は道路があったり、水はけが良くなるようにちょっと傾いていたりする。そういうところで走ることに対して恐怖を感じるので、安全なとこで走りたいと感じる人もいる。

走るための課題は交換するとか以外にも、人によってそれぞれの課題があったりもする。僕が知らないところでもまだまだ色々あるんじゃないかなと感じてます。
そもそも走りたくないっていう人もいたりする。
でも「走れないから走らない」のか「走れるけれども走れない」とはまた違う。僕はとりあえず皆走れるようになるところまでは出来た方がいいと思ってます。

次の記事:義足で楽しく走るために(4)xXiborg Talk vol.3をご覧ください。

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日時:2020年9月22日(火・祝)13:00〜16:00
会場:静岡県草薙総合運動場このはなアリーナ
参加費:無料

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