振込め詐欺にやられた!
1.ビットコインで儲かった!
若い頃、友人から「お前は人に騙されやす性格だから気をつけろよ!」と言われたことがあった。
その時はカチンときたが、今にして思えばよく分かる。
はじめ、友人から勧められた儲け話に乗り、そのうちのビットコインに300万投資して150万ほどの儲けが出た。
それに味をしめて、SNSでFXやアフィリエイトなど、5万~30万のノウハウ料を支払い始めたはいいが、どの案件もうまい話で最初は良くてもすぐにしっぽが出て損をする。
そこでやめればいいものを、皆が皆ダマす奴じゃあないはず、きっといい人はいるはずなどと半ば意地になってなおも続けた。
儲かる人も少しはいたのだろうが、ほとんどの人はあちこちにノウハウ料を払うだけのノウハウコレクターになっているという現実にやっと気づいた。
結果、儲け分はとうになくなり多額の借金を残して撤退したという苦い経験がある。
しかしそれほどの痛い目をみているにもかかわらず、すぐ忘れて懲りないのがまた私の性格なのだ。
2.ウクライナ戦争の悲劇
そんなその時の借金をまだ払い続けている最中の話。
ツイッターを始めたばかりの頃、エロ話の誘惑に交じって、外国人がしきりにDMを送ってくる。
始めは無視していたが、何度もひつこく来る。
会話の言葉遣いから、いかにも日本語慣れしないが外国人だとわかる。
なんでもウクライナ戦争に従軍している兵士で、まもなく任期満了となるのだが、国連から報奨金が出て、母国に帰る前に日本に寄ってその金を投資したいので、一時預かってくれないかという。
軍隊勤務中なので運送会社を通じて貴殿のところにお金を送るので預かってくれないか、という。
その額がなんと250万ドル。
1ドル150円として3億7千5百万円ときた。
さらに驚くべきは、そのうちの半分を謝礼するという。
ひえーそんなうまい話あるわけないっしょ!
預かったはいいが、先方に手渡したとたん全額もって逃げるか。
下手するとズドンか?
しかしそこはAI(その時はAIとは知らなかった)
日本で何度か投資していて今回も退役後は是非日本に寄りたい。
あなたにとっても願ってもないチャンスなので是非協力してほしい。
分け前を折半するのはアメリカでは常識。
自分はクリスチャンで神を信じる者、人をだますなどはとてもできない。
と、神を持ち出すのも私のツイッターの自己紹介で神について言及していることが、AIに入力済みなのであろう。
外国訛りで誠意が感じられ、このチャンスをお互いつかみ取ろうというスタンス。
これは二人にとっての神より与えられた大きなチャンスという設定にいつの間にかなっている。
億というお金の魔力か、冷静な判断がぼやけてきて目がくらんでしまったとしかいいようがない。
まあ、詐欺にせよ、預かるだけでお金を振り込むという話じゃないから、いいか?ということになり、承諾してしまった。
その後、運送会社の人間からメールが届き、今、預かったお金はヒース空港に着いている。税関を通りしだい日本に向かう、という連絡だった。
まさか、本当か?と半信半疑ながら住所も教えてしまった。
運送会社と何度かメールのやり取りをしたのち後、しばらくして、不測の事態が発生した、ときた。
書類の訂正箇所があったため、保険会社からお金の到着後に払う予定のお金の一部を事前に払ってくれと言われた。
この書類がないと税関をパスできない。
その額が1200ドルだという。
すぐにウクライナにいるアメリカ人にDMすると、軍隊の規則で入出金が禁止されている。
お金が到着しだい1200ドルは、私の分から差し引いてもらえばよいので、悪いが、それまで立て替えてくれないか、と言う。
『そら来た!』と思ったが、今から思えば信じられないが、結果その額を振り込んでしまったのだ。
AIの当たり前だが、落ち着いた口ぶりと、疑うことのこれっぽっちもないそぶり、私に対する全幅の信頼感を何度も匂わせて、こちらをその気にさせる手練のうまいこと。
疑いつつも、すっかりハマってしまったわけだが、その裏には億の金の魔力に完全にやられていた自分がいたのは言うまでもない。
3.AI の弱点
入力済みの情報から相手の性格を的確につかみ、相手をその気にさせる有能な営業マン顔負けのAIの実力。
当然のことに疲れを感じさせない会話量というか人間ならばそれが熱心さとして見られる。
私も最初の内はそれに関心したが、後にあることからAIにも弱点があることが分かった。
振り込んだ後も、会話は続いたが、明らかに詐欺と分かり、そのことを指摘してもそのことには答えず、同じことを繰り返すのみだった。
聞かれたことには答えず、分からないとか聞き返すこともせず、ただひたすら前に言ったことを繰り返すのみである。
人間ならそういう場合、しらばっくれたり、嘘をついたりとうまくかわそうとするのだろうが、AIにはそれができない。
入力された情報以外のことを聞かれても対処不能ということだ。
その辺りがAIの限界かと思った。
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