見出し画像

星組公演 「柳生忍法帖」「モアーダンディズム」

9月18日の初日から今日まで、狂ったようにムラヘ出向く。マチソワでダブルヘッダーの日もあり、結局星組公演は7回観劇という自己新。宝塚ファンの中には、1公演を何十回も観劇する人もいるのだから、自慢できるレベルではないと言われればそれまで。だけど私の中では、嬉しい記録なのだ。

複数観劇のよさ。日ごとに進化する舞台を観られる。ちょっとしたアドリブがツボにはまったりもする。主要メンバーだけではない。後ろにいる若手もチェックしてしまう。

9月の時点では、脚本通りに粛々と進行していく舞台だった。イープラスの貸切公演だっていつもなら、「イープラス」を入れたアドリブが入るんだけど。私が気付かなかっただけ?10月に入ると、なんだろう。唐突に思えた「ゆらは十兵衛様に恋をしました」の台詞がそう違和感なく受け入れられたし、ゆらの心情がわかるような気さえしてきた。おこがましいか。

さらに芦名七本槍もじわじわ心に迫ってきた。せおっち(瀬央ゆりあ)はもちろんのこと、顔に傷がついても麗しいかりんちゃん(極美慎)。「ミッション・インポシブル」でトム・クルーズが頬に傷をつけていたが、いい男は顔に傷があってもいい男なのさ、という私の論理。かりんちゃんにも当てはまる。

幕間休憩で周囲の会話に耳をそばだててみると、「柳生忍法帖」は好き嫌いが別れるようで「いいの。本命はショーだから」という声も聞こえてきた。そうかなあ。噛めば噛むほど味のある芝居だぞ。感想は人の数だけあるわね。

さて、私の贔屓、こっちゃん(礼真琴くん)。元々歌、ダンス、演技力、どれも安定の実力者だ。特に歌うとき、中音部から高音部への伸びが何とも言えない。ぶれないし、はずさないのだ。私がこっちゃんに魅せられた一番の要因は、この歌声だ。もちろんダンスも申し分ない。今回は低音のこっちゃんだ。「エル・アルコン」でも低音ボイスだったが、今回は低音プラス飄々として、ニヒルな味が加わっている。いいな、いいな、いいな。

「モア―ダンディズム」は過去の名作として伝説のショーらしいが、長年宝塚ファンをお休みしていた私にとっては新作と同じ。本当に宝塚らしいショーだ。長年のファンの方は、真矢みきさんや湖月わたるさんと比較する方もいらっしゃるようだが、初見の私としては、諸先輩方になる必要はない。「礼真琴のダンディズム」を出せばいいのだ。

ミッションのシーンが好きだ。ダンスだけでドラマが成立している。そして最後「僕の身は滅びでも想いは消えない」の台詞。3回目の観劇あたりから、妙に涙腺が弱くなるので困ってしまう。

ゴールデンデイズ。前座的に出てくる士官。まだまだ発展途上であろう104期生の世晴あさくん。笑顔がいい感じだ。このシーンは、あくまであいちゃんの王子様ぶりを堪能するシーンなのだが。くらっち(有紗瞳ちゃん)のソプラノが何とも言えない。

以下、アドリブの話

10月下旬のぴあ貸切公演の時には、プロローグで、ハードボイルドで、テンプテーションで、「ぴあ」を連呼するこっちゃん、あいちゃん、せおっち。「チケット買うなら」「ぴぃあ~」

前楽のプロローグでは、舞台狭しと踊るこっちゃん「Happy Halloween!」と叫ぶ。ハードボイルドのシーンでは、キザに踊りながら「お菓子をくれなきゃいたずらするよ」と低音ボイス。ギャップに萌え。テンプテーションでは「Trick or Treat」。

せおっちも刺激を受けたか「ラ・パッション」を歌いながら銀橋センターで「パンプキン大好き!」と叫ぶ。遊び心全開。こういうのは大好き!

そして千秋楽。ライブビューイング。大阪のど真ん中の映画館なのに、なこちゃんの歌が一部途切れる、美稀千種組長のご挨拶時には、やたら雑音が入る。お粗末な映画館だった。しかし、愛に溢れた千秋楽だった。泣き虫こっちゃん、一所懸命堪えていたね。そして組子愛、上級生へのリスペクトも忘れていない。

より深く沼にハマったことを、自覚した星組公演だった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?