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わかりやすいマーケティング用語メモ「プロダクトアウトとマーケットイン」

「プロダクトアウトとマーケットイン」とは?

「プロダクトアウト」とは商品を提供する側が自社の技術をベースに商品を開発・生産・販売すること、「マーケットイン」とは顧客のニーズを調査しそのニーズに合う商品を開発・生産・販売することです。

「プロダクトアウトとマーケットイン」の特徴

プロダクトアウトは自社の強みである独自の技術を元に商品を開発します。その技術がうまく戦略にマッチすれば市場において独占的な立場になれるため大きな利益を得ることができます。しかしそのためには持っている技術を活用して新しい商品を生み出す能力と、開発した新しい商品の価値を顧客に伝える能力が必要になります。

マーケットインは、まず顧客のニーズありきで商品を開発するので競合他社が真似をしたとしてもそれなりに規模の大きなマーケットでは自社の利益を確保することができます。しかし必ずしも自社の独自技術をベースにしているわけではないので他社に真似されやすく価格競争に陥ってしまう可能性があります。

日本ではマーケットイン

かつての日本ではマーケットインがもてはやされた時期がありました。高度経済成長が過ぎて日本経済が成熟し市場が飽和状態になり需要よりも供給が過多となっていた時期。良いモノをたくさん作るという考え方から、消費者が必要とするモノを提供するという考え方に多くの企業が方向転換したのでした。これらがマーケットインと呼ばれるようになりました。消費者が求める新しい機能をどんどん追加していき日本メーカーの家電製品はどんどん高機能化・複雑化していきました。

欧米ではプロダクトアウト

一方その頃アメリカやヨーロッパでは革新的な商品があってこそ新しい顧客ニーズが創造できる、どんどん新しい商品を作って市場に提案すべきだという主張が多く、実際にそういった考えの企業が業界で優位性を持つケースも多数見られます。米アップル創業者のスティーブ・ジョブズも消費者は素人でありニーズを聞いても答えられない、商品として形を提示されて初めてそれが欲しいのかどうか判断できると述べています。あまり消費者のニーズにこだわり様々な意見を取り入れすぎると誰のニーズに合致しているのかよく分らないぼやけた商品ができあがってしまうでしょう。

結局どちらが正しいの?

では結局日本でもてはやされているマーケットインが正しいのか、欧米で主流のプロダクトアウトが正しいのか、いったいどちらなのでしょうか。それぞれにメリット・デメリットがあり、一概にどちらが正しいとは言い切れません。そもそも比較すること自体が間違っているのかもしれません。

なぜなら純粋に自社技術だけを考慮して製品化することはあまりにもギャンブル的でリスキーだからです。どんなにプロダクトアウト型で商品開発をしている企業でも、やはり売れる見込みがなければ商品化に踏み切らないでしょう。つまり顧客のニーズを全く無視して商品開発をすることはあり得ないということになります。

マーケットインにおいても、顧客のニーズをベースに商品を開発するといっても、その商品に関して消費者はあくまでも素人であり企業の軸とも言える新商品の開発を委ねるというリスキーなことはできないでしょう。顧客の声を聞くこと自体は商品のプロモーションの一環としてあるでしょう。それでも顧客の声に頼りすぎるのはプロダクトアウトで自社技術に頼りすぎるのと同様ギャンブル的です。

以上のことから、プロダクトアウト・マーケットインどちらが正しいとか間違っているとかではなく、どちらもベースには顧客のニーズがあり、そのニーズをどう生かすかというアプローチの違いではないでしょうか。どちらのアプローチを選んでも結局は目的が同じです。つまり目的は「自社の商品を顧客に選んでもらう」ということです。そのための発想の出発点が顧客ニーズなのか自社技術なのかという違いだけなのです。これまで考えてきた通り自社技術が出発点であっても顧客ニーズを無視することはできないので、どちらにしても顧客ニーズを考慮することになります。そうなるとどちらが正しいという議論はやはり無意味です。これからは両方の良いところをうまく組み合わせて、まず自社の強みや技術を把握しつつマーケットリサーチから顧客ニーズを把握し、自社の強みと顧客ニーズが合致するポイントを追求するということが重要になってくるでしょう。

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