精神保健福祉援助技術各論 (技法や推薦図書等)

3 浄化法 catharsis

対象=禁欲的・自己制御的な人自分の気持ちの多くが抑制抑圧されていることに気付かない

身体に症状(コンバージョンヒステリー:皮膚、袋状のところ、血管上、筒状)↓中>≪表面上≫働きたい!→≪裏≫言われるように働きたくない

自己決定:人間の複雑な気持ちを統合したうえで決めること。全部吟味した上で“それではどうしましょうか?”というようにしましょう。・額面通りにやってもうまくいかない。・いろんな気持ちがあります。

効果 自己決定への援助対象喪失 自分の大切なひと、愛しているひとを失ったひと。一定期間、mourning work ― 喪の仕事{悲嘆の仕事、怒りの仕事}を要する。

発病人生計画×⇔大切なものを失った体験・人生そのものを失うような体験

一度話せば済むようなものではない。何度も話して共感してもらうことが必要。それだけ聞く人がいる。その時の感情が重要!感情に共感すること。

どんなことが起こってくるのか?①否認―もう一度自分の描いた人生に戻ろうと足掻く(進学・受験・就職)②怒り―子→親③悲しみ―発病した初期の自殺④援助を求める(SOSを発信)⑤その人の人生の再計画

誰もこのプロセスに対応してくれないと何年も何年も①~⑤のどこかに留まってしまう。

【参考図書】対象喪失 中公新書 小此木圭吾→SWの事例がたくさん載っている。

精神科のスタッフで誰がやってくれてもいいのだけれどまだ誰もやっていないとき、PSWがプロセスで何が起きているのかを自覚しながら、プロセスにつきあうことが必要。

ただひたすら聞く!

EX)愛するひとを失ったひとのケース50代後半、60歳に近いのに強迫症状。手洗い、戸締り、火を消したか?旦那さんを亡くした。あの夫はいてもいなくても同じ。モーレツ社員だから母子家庭と一緒。何でもない。と表面上の発言をしている。←裏にいろんな感情!

◎悲嘆の感情を誰も聞いてくれないという二重の苦しみを味わっている。【悲しみ】と同時に強い夫に対する【怒り】妻は、怒っていた。定年になったらかまってほしかった。怒りを旦那と解消しようと試みたが先立たれてしまった。

三日三晩仏壇へ怒りをぶつけた。

もっと症状の重い人は治療者に怒りをぶつけてくる。

★大なり小なりの別れや諦めを誰かの力を借りながら乗り越える。

4 全体関連についての話し合い

【焦点】 事実認識の歪曲
【事実】 客観的事実と主観的事実

差が大きい→歪曲→[目標]歪曲の是正
かならず感情が伴う⇒感情の修正

個人がもつストーリー⇒周りとの軋轢、適応上の問題⇒新たなストーリーをつくっていく

われわれのなかにある事実、客観的事実とそれほどズレていないとき⇒事実検討ができている

妄想や幻聴が起こった方→この認識をなんとか修正していこうEx)夫 「妻が浮気をしているに違いない!」いろいろ勘ぐる

ホリス 修正感情体験→人間関係が変わる    事実がわかった!「あーそうだったのー!」→関係が修復されていく。

それでは、具体的にどうするのか?難易度順で示してみましょう。

a)初級いちばんはじめに、Clの現在の状況について話し合う 
いくつかの道具 バージニアサティアの考案した≪ジェノ・グラム≫を一緒につくりながら、そのなかの関係はどうなっているのか?本人との関係について客観的事実をみて修正していく≪エコマップ≫、マグワイヤの≪ソーシャルサポートネットワーク図≫矛盾をついたり、明確化を行ったり、コンフロンテーション←技法

b)初級~中級
Clの意思決定とその結果について話し合う歪曲している主観的事実結果を予測してやめさせたりする

Ex)教員が生徒を殴る→教員が学校を辞めさせられる結果の予測⇒悪循環を切ったり、失敗回避をする

c)中級~上級Clの隠された感情(話のなかの矛盾)とその反応 前意識のなかのさらに表面
☆仕事がしたい→決まりそうになると他の用事ができたり
☆子どもに尽くしたい…←「この子さえいなければ…」という罪悪感から生じている。
≪アンビバレント(両価性)≫だからあって当然。

d) 中級~上級【奥の手】 
W⇔Cl関係へのClの関与の仕方 (前意識の表層のなかでどういうことが起こっているか?)

Ex)どこへ行っても仕事に受からない。―どうしてでしょうか?

このClはWにたいしてどんな態度を示しているのか?不遜でWを召使のように使っている。だとしたら、W側から、「わたし(W)はこんな気持ちになった。だから、面接でも同じ態度で、それで×になってしまうのかも知れないのでは?」と率直に伝えてみる。信頼関係ができていればできる。
不信⇒以前とどう違う?

5 力動的発生的要因の話し合い

前意識や無意識を扱う技法 (無意識―精神分析)解釈…言語化して伝えること、洞察を促進するための道具洞察の促進…自己理解不適応の原因→主として精神内界の問題

どういうひとがイメージできますかねー?いわゆるパーソナリティ障害―社会に不適応Wもボーダーラインのひとたちに対応できるように!現場で対応できなくて困っている事例、星の数ほどある。

パーソナリティ障害感情が不安定数分~数時間ごとに変化

DSMⅣ(力動的)パーソナリティとの関連で診断を下している。ICD10とは少し異なる。ひとつの状況を維持できない。アイデンティティの問題。

BPD(ボーダーライン・パーソナリティ・ディスオーダー)パーソナリティの歪み

“この、≪歪み≫というのは、その人が生まれもった性質よりも…環境との相互作用がうまく形成されるのか…いつごろのどういう…”

では、健康なパーソナリティって何?
健康な人はどういう進路を辿るか?-もふのキャリアになるの?

歪みをもたない人はいない。必ず歪みはもっている。歪み⇒パーソナリティオーガナイゼーション

NPD、BPD、PPD、SPD、APD、HPDなど10いくつかある。

そのなかでも中核的なのがBPDと反社会性

☆★☆覚えておくと便利☆★☆
1980’sガンダーソン BPDの本を出した。全人口の4割はBPDに入っている。ですから、普通にあるということです。

社会的適応その時の状況、感情による変動が激しい。落差がある。その人を支持してくれる人がいるかどうかで変わる。

・存在すると思える時―機能水準㊤↑一般の人よりすごい支持されている。
・そのひとの存在が不確かなとき―機能水準は不安定

・(自分が見捨てられるんじゃないか…)不在―精神病水準→保護

歪みの問題が不適応を起こしているとき有効

EX) ここ何年かなかなか仕事に出られない。もともとは就労できていた。

その人が一生懸命世話する対象がいたとき→世話しても世話しても立ち直らない男性。もし立ち直れば、一緒に立ち直るかも!(ほんと?)

☆世話する対象の存在≪=必要とされている≫⇒機能水準㊤↑
★世話されている自分は無価値≪=苦しみ≫という状況に耐えられない。⇒機能水準㊦↓かなり高度な防衛機制を使っている。

本人の願望は?何?
なぜこんなに世話をして、今、苦しみながら世話されているのか?
世話をされたいという願望の反動形成。

世話をし続けていても自分は成長できない
∵自身が世話をされたい願望がある。
=世話をされることに非常にアンビバレント(両価性)な感情。

人生の中で世話を受けている時間の方が多い。生活歴を紐解いてみると…1~3歳の時世話されてなかった!

生活解釈→発生的要因がわかってきた同じものを受けても満足する人と不満足を抱く人がいる。人によって欲求は違いますよーEx)家庭内―兄弟平等に育てたのにー

今できることは何でしょう?働きたい、でも働けない。アナタ、もう少し素直に世話を受けたら?甘えたらいいんじゃない?

そのひとが不適切に使っている防衛機制や抑圧から解放してあげる
☆どういう技法を使って何を提供するか?

強迫―1~2歳
統合失調症―生まれて~1歳
パーソナリティ障害―8か月~1歳

これらの生活歴を徹底的に聞く!

使用上の注意直接的指示と同様に(1)Clが参加し、希望し、利益を得るときに限る。Wの興味本位で行ってはならない。(2)支持的技法により関係を強化したうえで使ってください。抵抗などに破壊されない関係。(3)他の技法優先 簡単に解決ができるようならばそちらを使ってください。(4)精神力動の理論に精通

【教科書】G.O.ギャバード著『精神力動的精神医学(1)(2)(3)』(岩崎学術出版) とてもいい本です。第1巻が理論編。1巻でいいかなー

(5)感情についての共感的理解。実は巻き込まれていて沈没していたりすることがある。池に一緒に飛び込める。しかし、溺れない。

(6)揺さぶられないこと。巻き込まれながら崩れない。
(7)定期的に精神科医の助言

1960’s ホリス 力動精神科医―アメリカではもう古い。精神分析の教育を受けた者 in Japan 0.5%ほんの僅か。
∴少なくとも自分は知らないが、意義があるかも知れないな…と考えられるお医者さんを見つける。沸き起こる感情をどういうふうに捉えてどのように活用するか。転移と逆転移をきちんと勉強する。

6 環境調整≪間接援助≫本人の周囲の人たち、周囲の環境これもひとつ課題がある。一見素人にもできる仕事。制度。⇒未熟なWほど安易に行う。⇒×これが問題!

20~30年前 妙な援助の時代Ex)不登校→それでは転校してください。職場不適応→配置転換⇒非常に安易

決して単独で実施すべきではない。綿密に計画されたものでなくてはならない。問題そのものは内要因と外的要因との相互作用の結果=問題

本質的に問題がない時不況で失業→職業の紹介

本人のパーソナリティと環境が絡み合っている。∴個別に対応。Ex)ある人は休養、ある人は…『その問題がどういう関連によって、この人には何が必要か?』を考える。

パールマンホリス  間接援助+直接援助≪直接援助を充実させるために間接援助が使われる≫

リッチモンドには触れていないが、同じことを言っている。

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