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長野刑務所の凍死事故が他人事じゃない訳〜以外と身近に潜む危険〜

 今、ニュースで昨年10月に長野刑務所で受刑者が「凍死」したことが話題になっている。冬の寒さが厳しい時期でもないのに、しかも屋内で凍死することを意外に思う方も多いかもしれないが、実は「凍死」は一年中起こりうることなのだ。
 ちなみに、ホリエモンが収監されていたことでも知られる長野刑務所は長野市のお隣の須坂市にある。須坂市の10月の最低気温は10℃前後だ。超絶寒い訳ではないし、屋内ならもう少し暖かい筈だ。雪国の人なら、大したことない寒さだと思うだろう。それでもこうした事故が起こってるのだから、寒さを甘く見てはいけない。

 凍死とは、正確に言えば低体温症によって死亡することである。人間の場合、直腸温が35℃以下になると低体温症と診断され、その状態で死亡することが、いわゆる「凍死」である。日本における凍死者の数は、年間で1,000人程といわれる。近年、温暖化の影響で熱中症ばかりフォーカスされるが、実は熱中症による死亡者より2倍ほど多いのだ。また、低体温症というと雪山をイメージしがちだが、搬送された者の殆どが室内に居ながら低体温症になっている。
 低体温症になる原因はいくつかあるが、代表的なのは寒冷環境だ。その他、アルコールや薬物中毒、病気などに起因する体温調節機能の低下などが挙げられる。低体温症で死亡に至るケースは気温11℃以下の場合に多いが、アルコールで酩酊状態の場合は気温19℃でも死亡例が報告されている。これから花見の季節だが、酒に酔って仮眠のつもりが永眠なんてことにならない様に注意したい。また、就寝時に暖房を消す方も多いと思うが、気温の低い室内にも低体温症のリスクが潜んでいることに留意されたい。寒いのを我慢するのは健康上良くないのだ。

 さて、長野刑務所に話を戻すが、あそこで起きた凍死に関しては明らかに防げた事故だ。長野刑務所は居室に暖房が無く、布団と毛布のみでは寒いということを受刑者は訴えかけていたというのだが、その声を黙殺した挙句、当初「病死」と公表した。
 凍死した受刑者は、人身事故の罰金を支払えないため、刑務所内で軽作業に従事する労役場留置に収容されていたそうだ。受刑者とはいえ刑務所は命を預かる場所の筈。法に変わって命を奪って良い訳がない。この凍死事故の他にも、長野刑務所は受刑者イジメを隠蔽していたことが明らかになるなど、かなり闇が深い。


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