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女子が時代を創造する【XF CUP 2020/スポンサー応援型サッカーメディア】

■女性アスリートが一人の人間として発信する価値

女子サッカーが何を表現していくか?

私は、これによって秋から開幕する『.WEリーグ』が成功するかどうかが決まると考えている。理由は、これからの時代は「スポーツが社会を象徴する存在になること」が問われるからだ。そして、女性アスリートが新しい価値を生む時代に入る。

日本では、スポーツ選手が競技以外のことに対して意見を言うと「競技に集中しろ」などと批判する文化が根強い。それはスポーツ選手を一人の人間として見ておらず、競技という檻の中に入れることでしか評価できない人が大勢いるからだ。

最近は、日本のアスリートもSNSを使って社会問題や政治について言及する選手が散見される。

例えば、テニスの大坂なおみ選手。昨年アメリカで巻き起こった黒人差別問題について、彼女はSNSで言葉を発信し、全米オープンでは試合ごとに警察によって殺された犠牲者の名前が入ったマスクを着けるなどの行動を起こした。

もちろん日本だけでなく、他の国でも「アスリートが社会問題や政治について話すべきではない」という人は存在する。

ただ、その社会問題や政治のせいでプレーする環境を奪われたり、差別されてプレーし難い状態になったりする現実があることも認識しておかなければならない。スポーツ選手の競技以外での活動や言動に対して反射的に批判する人はその背景に目を向け、文脈をたどり、その価値観が他者に影響されたものではなく、自らの意見なのかどうかを吟味する必要がある。

■女子サッカーが新しい価値をもって行動すること

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サッカー界では、男子と比べて女子の試合をつまらないと発言する人も多い。

だとすると、『.WEリーグ』が男子を参考にしすぎて同じような道を歩むのは非常に危険だ。女子ならではの価値を示していかなければ、『.WEリーグ』を取り巻く環境は「男子より下」という立ち位置から脱することはできない。

『.WEリーグ』を取り巻く環境が拡張するほど、同時に『普及と育成』が前進していくため、「女子サッカーがどういう価値を生み出すか」を既存の仕組み、既存の常識を基に考えすぎると危ないと、個人的には思う。

私は、『.WEリーグ』の役割が主に3つあると捉えている。

1.女性が輝く社会づくりに貢献すること
2.サッカーと共に歩む環境を広げること
3.女性の価値を創造し続けていくこと

現在のサッカーリーグは男性が中心だが、正直ビジネスが氾濫しすぎてスポーツの価値を失いつつある。膨らみすぎた風船はやがて破裂する。例えばスーパーリーグ構想は、強者が自らの経済的負債を返済できず、苦肉の策で生み出そうとした瞬間型ウルトラCのようなものである。

だが、時間が経てば、結局はそのサイクルの中で強者と弱者のヒエラルキーができあがり、その価値は長続きしないだろう。

男子とは違う可能性も生み出していきたいなら、女子サッカーは同じ轍を踏んではならない。リーグ運営は膨大なお金がかかるため、『.WEリーグ』もそれをどう捻出していくかを試行錯誤することになる。

しかし、安易にエンターテインメント性だけに向かう舵を切れば、途端にスポーツとしての価値がなくなり、各クラブの収益は上がらなくなる。

女子サッカーにまつわる領域を想定し、まずはここに直接関係する人々が持続可能に幸せな生活を送る環境=土台を構築していくことが命題となる。

そもそもスポーツの価値は、競技の中に人間の感情を揺さぶるところにある。

この根幹にこそ「人々の喜怒哀楽が潜んでいること」を忘れてはならない。当然、リーグは興行収入を基本として循環していくものだから、試合そのものはショーとして成り立たなければならない。

が、完成品を提供するサーカスとは種類が違うのだ。

スポーツも見る人に失敗なき完成品を届けたいが、それが100%できないところに試合のショーとしての醍醐味、そして価値がある。完成品を出せるように全力で準備するのだが、あらゆるところに欠陥が現れ、それを試合中、シーズンを通して一丸となって修復しながら勝利を目指すところに多くの人が熱狂する。その中で戦前の予想を覆すからおもしろいのだ。

未完成な部分に対して選手と監督が抗い続け、チームを完成品にしようと挑戦し勝負にこだわるから応援したくなる。観戦するファン、そして、未来を担う子どもたちもこの姿に自分を重ね、明日も「がんばろう」と鋭気を養う。

女子サッカーは、ここを「各クラブがどのように構築し、商品価値を作るか、さらに女性らしく演出するか」に取り組むことが重要だ。

例えば演出する部分で、別に男子と同じデザインである必要はない。

身につけているユニフォームだって選手が気持ちよくプレーできれば、どんな形態でも構わない。発言だって女性の価値を高めるものだったら社会問題や政治に対して意見していい。これからはそうなっていかなければ、女子サッカーは可能性が広がらない。

むしろ可能性を広げていくからこそ男子に、他のスポーツに影響し、社会的な地位がより確かなものになる。なにも闇雲にルールを無視し、既存のものを壊せと言っているわけではない。既存の仕組みやルールを基準に物事を考えすぎると、女性の価値を示す機会が減ると感じているだけである。

女子選手の魅力をうまくファン、スポンサー、地域と共有できれば、各クラブが独自の収益構造を立てられる可能性は十分にある。

■既存の仕組みやルールに囚われない施策が重要!

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女性の魅力は、男性より表現豊かなところだ。

例えば、表情が豊かなので、ファンとの距離を縮めるのに男子ほど時間はかからない。2019年から始まった『日本クラブユース女子サッカー大会(U-18)』、通称『XF CUP』のSNSでは試合中のプレーカットだけでなく、たくさんのオフショットが掲載されている。選手の真剣な表情と笑顔とのギャップを楽しみに閲覧してくれるファンも数多くいる。

これは男子ではなかなか生み出せない演出だ。きっと『エモい』表現は女子の得意分野なので、オフショットもバリエーションが出せる。なにより見ていて飽きない。もちろん育成年代の写真を取り扱うため、性的ハラスメント防止に配慮をすることが大前提だ。

そういう問題を考慮しつつ、主催者である日本クラブユースサッカー連盟は「女子の魅力が伝わり、選手が思い出として喜んでくれるなら」と許可を出している。

このメディアに対する許容は、女子サッカーの可能性を広げることに一役買う結果となった。それはメインスポンサーを務めるフットボールブランド『XF』(エグゼフ)が2019年度から2年連続で『日本クラブユース女子サッカー大会(U-18)』を支援することになったからだ。

昨今、さまざまな企業がスポーツ支援から撤退している現実を鑑みると、『女子』『育成』という観点から判断し、2年連続で支援を受けたことは大きな価値がある。当然、企業にとってもメリットがなければ投資の意味はない。『XF』と日本クラブユースサッカー連盟との間に価値の等価交換が成立しているから2年目があり、今夏の3年目へと続くのだ。

1月の第2回大会は、2度目の緊急事態宣言直前というタイミングで群馬県前橋市での開催が決まった。そして、緊急事態宣言後に大会を実施し、一人の感染者も出すことなく、無事に終えることになった。

このことについて『XF』の早川利澄社長は次のように触れている。

「コロナ禍は今後も続いていくものです。この成功を第3回大会、そして、地域予選に生かすことが大事ですし、これを女子サッカーに限らず、サッカー界、スポーツ界全体に共有していくことが今大会の価値を高めることになると思います」

きっと早川社長は、誰も怖くて手をつけようとしない領域に対して日本クラブユースサッカー連盟が真摯に向き合い、挑戦する姿勢に共感しスポンサー契約を継続する方向に舵を切っているのではないかと想像している。

女子サッカーはこれから本格的に発展を目指すスポーツだ。

継続性を保つ上では、『普及と育成』を切り離すことはできず、日本クラブユースサッカー連盟が女子の領域で挑戦する取り組みは大きなカギを握る。だからこそ慎重かつ大胆にある程度は許容範囲を広く持ちつつ、いろいろな新しい施策を打ち出していくことが重要だ。

スポーツ本来の価値を見失うことなく、ファン、スポンサー、地域と共存共栄を図っていくにはどうしたらいいか?

ある程度の枠組みが定まりつつある男子サッカーでは難しい新たな価値を、女子サッカーがどう創造していくのかは「現在ここに関係している上層部の多様性を受け入れる許容範囲でその可能性が決まる」といっても過言ではない。

今後、このスポンサーメディアでは、選手だけでなく、監督やトレーナー、大会運営者やボランティアスタッフ、他のスポンサー、クラウドファンディング支援者などさまざまな立場の思いや考えを発信していきたい。

『XF』は女子サッカーを支援する一員として『脇役』にもスポットライトを当てた情報配信を行い、多様な思いや意見を多くの人と共有していくことを目指す。

【ぜひ一緒に女子サッカーを応援しましょう】
#女子サッカーを盛り上げ隊
#第2回日本クラブユース女子サッカー大会U18
#XFCUP

Presented by 『XF(エグゼフ)』
エグゼフは、Creative(創造)、Technology(技術)、Culture(文化)をテーマとしてフットボールにあらゆる価値を融合させ、進化を捧げるブランドです。

#XF1stuser
#スポンサーメディア

文責=木之下潤
写真=佐藤博之
協力=日本クラブユースサッカー連盟

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