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女子は発信が武器になる【XF CUP 2020/スポンサー応援型サッカーメディア】

■『.WEリーグ』により女子も普及が進む

時代が変革期を迎えている。

スマートフォンの普及により情報化社会がより一層進み、コロナ禍も相まって人々の情報感度が高まってきた。スポーツ情報も、これまでは新聞やテレビ、専門誌を中心に配信されてきたが、ここ数年は多様化している。

試合結果は終了直後にSNSで発信され、その日の夜、あるいは翌日のメディアを通して知る時代ではない。

そう捉えると、あらゆるスポーツにチャンスがある。野球、サッカー(男子)など既存のメジャースポーツだけでなく、プロバスケットボールリーグ『Bリーグ』や卓球の『Tリーグ』といった新興リーグ、バドミントンなどの個人スポーツにも大きな可能性があるのは間違いない。

ただし時代として必要なのは「競技性だけでなく、応援する人々が見てわかるようなITテクノロジーとの融合性とテンターテインメント性、そして、いかに多様な価値観を受け入れて表現していくか」だ。ここに対する取り組み方よって多くの人を巻き込み、競技の認知とファンの拡大を図れるかが変わってくる。

秋から開幕する女子プロサッカーリーグ『.WEリーグ』も、「この多様性に対する答えをどう出していくか」で初年度のスタートダッシュが決まってくるだろう。

ただ女子サッカーの継続的な発展に目を向けると、決して競技者人口が多いわけではない。引き続き、『育成と普及』を同時に行うことが急務だ。そこで、2019年に一つの施策として『日本クラブユース女子サッカー大会(U-18)』が立ち上げられた。

日本クラブユースサッカー連盟が日本サッカー協会と共に「女子サッカーも根づかせよう」と育成カテゴリーの整備に着手し始めた。初年度よりフットボールブランド『XF』(エグゼフ)をメインスポンサーに迎え、新たな価値の創造に挑戦している。

日本クラブユース女子サッカー大会(U-18)はパートナーメリットを作るため、第1回大会からネーミングライツを活用している。

呼称は『XF CUP』。1月に第2回大会を終え、メインスポンサーとして継続的に女子サッカーの育成と普及に貢献している『XF』。この2年間で女子サッカーの現状をどう感じたのか?

早川利澄社長は次のように語る。

「女子サッカーは秋から『.WEリーグ』が始まり、ちょうど変革期を迎えているのではないかと思っています。『めぬまカップ』『XF CUP』『全⽇本⼤学⼥⼦サッカー選⼿権⼤会』を通じて、女子サッカーを支えてくださる方々に接することがたくさんあり、熱い思いや優しさを感じています。

1月に群馬県前橋市で開催された第2回大会は、このコロナ禍のなか、選手の立場になって試合する機会を大切に『何とか大会を開催できないか』と多くの方が尽力され、私たちは安心・安全を担保しながら動いている様子を間近で見てきました。

これこそが女子サッカーの強みです。

どうしたら女子サッカーに貢献できるかを考える上で、この2年間は非常に価値ある大会になりました。まだまだ知らないことがたくさんあります。関わるすべての方々とパートナー関係を持ちながらサッカー界のさらなる発展に寄与できればと考えています」

ただ、コロナ禍の影響は大きい。

2020年度の『XF CUP』も、本来は昨年の夏に開催される予定だった。それが半年間延長されて、1月に実施されたが、2度目の緊急事態宣言の直前に開催が決定し、もしクラスターが発生すれば批判が殺到する可能性は大いにあった。

「当時は、いつ中止になってもおかしくない状況でした。

そのような状態のなか、日本サッカー協会と日本クラブユースサッカー連盟が開催を決断したのは称賛すべきことです。中止にすれば、世の中からの批判も起きることはありませんから。

しかし、選手、保護者の立場になって安心・安全と向き合った上で準備を進めて大会を実施し、結果として『大会を開くことがこんなに意義あること』だと実感することができました。

これまで当たり前のように開催されていたスポーツの大会が『こんなにも大切なものなんだ』とあらためて気づかせていただきました」

■全国大会は理解と協力があって開催可能

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スポーツの全国大会は団体がGOサインを出したからと簡単に開催できるものではない。なぜならグラウンドという施設を使っており、さらに大会中に出場する選手たちを大勢受け入れるための宿泊場所も必要になるからだ。

つまり、大会が開かれる地域の行政、宿泊施設などの民間企業、大会運営をサポートするボランティアスタッフなど地域住民の理解と協力が欠かせない。

「第1回大会から全国大会が開かれる様子を見てきて、初めて知ったことがたくさんあります。群馬県と前橋市の協力、ホテル、審判団、ボランティア、医療スタッフなどの協力が必要なことを、日本クラブユースサッカー連盟さまを通じて実感することができました。いかにして地域全体に理解をいただき、全国大会が開催されているものなのかを本当に勉強させていただきました。

今後もコロナ禍は続きますので、より地域全体に理解と協力が求められます。

うがいと手洗い、そして、体温のチェックはスポーツ界全体を見渡してもすでに切り離せない感染対策です。あの第二波到来の厳しい時期に全国大会を無事に開き、感染者を出さなかったことが勇気ある決断、勇気ある実行でした。これが今夏予定されている第3回大会に蓄積され、生かされることは間違いありません」

2020年は社会全体が思うように流動せず、スポーツ界はサッカーに限らず、すべてが一定期間停止した。

地域によって違いはあるが、自粛宣言解除後もスポーツ活動は制限され続けている。そのため、小学6年生、中学3年生、高校3年生、大学4年生とそれぞれの節目だった選手たちは悔しい思いをすることが多かったはずだ。

そういう経緯があり、1月の『第2回 日本クラブユース女子サッカー大会(U-18)』(XF CUP 2020)では、選手たちがこの一年の鬱憤を晴らすかのようにハツラツとプレーしていた。勝負がかかった全国大会で笑顔あり涙ありのシーンがたくさん見られたが、すべての選手、関係者に共通するのはスポーツ本来の価値を再認識できたことだった。

「2020年度は試合どころか、練習すらできず、全選手が不自由をしたと思います。

今大会に出場したチームは苦しい時期に予選からの流れがあって全国大会へ勝ち進んできました。その選手たちが喜んだり悔しがったりする姿を間近で見ていると、大会自体は半年間延長になりましたが、全国大会が開催できて本当によかったと感じています。この大会はそれぞれの選手にとって始まりだったり、過程だったり、終わりだったりします。

ただすべての選手に言えるのは、大変な時期に開催された全国大会を経験したことが、きっとかけがえのないものになったと思うので、これを地域に、クラブに伝えていくと新たな文化になっていく気がします」

スポーツ情報は試合結果にまつわる内容が主になる。

それは主役が選手だから。しかし、試合結果だけが扱われる環境がこのまま続いても、日本にスポーツが文化として根付くには遠くなる気がする。時代が多様化しているように、選手目線の情報だけでなく、関わる人々が見つめる世界を知ることが多様性につながる。

その情報に触れた人が『どれだけ一つの大会、試合に生まれるさまざまな物語をもとにコミュニケーションをとったか』が、その競技の可能性を広げることになる。

「私は、情報の知り方によってスポーツの印象が随分変わると考えています。得た情報によって認識や見方が変わることは一般社会においても多々あります。例えば、サッカー情報も結果だけでなく、選手のコメント、監督の意見、保護者の思い、サポーターの応援…さまざまな立場の方が発信する情報をもっと広く深く知ることができたらサッカーの見方や捉え方が変わるはずです。

幸いにも、私たち『XF』(エグゼフ)は直接サッカーの奥深さ、感動を味合わせていただいています。

だから、メインスポンサーとして試合に間接的に関わっている脇役の方々の声を発信することによって女子サッカーに興味を持っていただける方が増えるのではないかと考えています。

『あの時代にこんなことがあったけど、たくさんの人の思いが集まって全国大会が開かれた。日々に感謝してプレーしよう、応援しよう、支えよう』。

こんな多角的な思いが広まれば、サッカー界のさらなる発展、日本、世界と社会の発展にもつながっていくのではないかと思います。それでXFは『メディア発信』という領域に挑戦する決意をしました。

みなさんのサッカーを捉える領域が少しでも広がればと思っています」

■メディアは女子の可能性を広げる武器に!

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第2回大会となった『XF CUP 2020』より試合が動画配信された。ITテクノロジーの発展によりスポーツはより身近なものになりつつある。プロスポーツでなくとも、試合をリアルタイムで観戦することができる。

今大会は選手たちの熱い戦いが全試合ネット上に流れ、現在もYouTube上で閲覧することができる。

「女子選手たちが活躍する姿をリアルタイム観戦できたのは非常に価値が高いことです。女子サッカーに新しい熱量を生めたのではないか、と。今大会の動画を見て『応援したくなった』という声を、私たちもたくさんいただきました。

これが新しい文化なんだと思います。

今大会の動画配信にあたってはクラウドファンディングを通じてたくさんの支援をいただきました。これが今後多くの方の応援、企業の支援につながり、女子サッカーの発展につながっていくのではないかとワクワクしました。

引き続き、動画配信が継続されることを期待しています」

ここ数年は大手メディア、専門メディアも経費削減し、取り扱う情報がメジャースポーツ、メジャー大会に偏りつつある。

さらにコンテンツもアクセス数を稼げるかが基準になり、本当に「競技のため」「ファンのため」であるかは懐疑的な目を持ちつつ情報を得ていかなければ、ユーザーの価値観も偏り、結果として競技の発展もない。

当然、マイナースポーツが情報配信するには自費で、予算が必要になる。

『日本クラブユース女子サッカー大会(U-18)』(XF CUP)はSNSを通じた情報配信に予算を投じ、選手、女子サッカーの魅力を伝え続けている。

今大会の動画配信は、クラウドファンディングによって支援を募り、女子サッカーを応援したい人々の熱い気持ちが成就し動画として形に残った。

「女子サッカーに関わらせていただいてから、私たち『XF』はたくさんの方々が応援していることを感じていました。今回のクラウドファンディングは応援の形が目に見えてハッキリし、150万円以上の支援がいただけました。たくさんの方の支援金が集まり、動画配信などができたことは喜ばしいことでした。

こういう出来事を通じて選手と運営の方々にとって人生が豊かになったのではないかと思いますし、私たち『XF』も心が満たされました。みんなで協力し、共感しあうことのすばらしさを体験させていただけたことに感謝をしております」

フットボールブランドとして、『XF』はさまざまな大会との関わり合いを持つことでメディアが果たす役割と影響力を実感している。今回、自ら立ち上げるスポンサーメディアについて何を思うのか。

「コロナ禍により人と出会うことが制限され、私たちが『何を考えて行動しているのか』を知ってもらう機会は減っています。

例えば、大会中から『XF CUP 2020』で思ったことを配信する必要性を感じていました。私たちにとってこのスポンサーメディアは今大会で何を感じ、何を発信し、次にどんな行動すべきかを振り返る機会になります。

正直、私たち『XF』はこれまで情報発信に力を入れていたわけではありません。

しかし、ここに注力することで女子サッカーに興味がなかった方にも『そうだったんだ』などの接点を作れるのではないかと思いました。クラウドファンディングとも関連しますが、さまざまな方々の応援をいただく背景を彩りよく描いていくためには、私たちも発信することに力を注いでいかないといけないなと、少し使命感みたいなものが生まれました」

2018年以前はバスケットボール・ウエア『VAYoreLA』(バイオレーラ)を中心に取り扱うブランドだった。そして、3年前から新しくフットボールブランド『XF』(エグゼフ)を立ち上げ、未開の地に足を踏み入れた。その心には「スポーツで日本を元気にしたい」との思いがあり、さまざまな失敗と成功を繰り返しながら一歩ずつ女子サッカー界とも歩みを続けている。

そして、4月から『メディア』という新たな挑戦を始めた。

「スポーツをプレーする場所は、選手にとって成長の場、学びの場です。現在、日本のスポーツ人口は3%ほどだと言われていますが、これを6%にすれば日本の未来はきっと変わります。私自身は『子どもたちがスポーツに触れる機会を増やす』一つのきっかけ作りが発信だと捉えています。

私たち『XF』がこれまでと行動を変えなければ、そこに届く量を変えられないと思いました。

サッカー情報もまだまだ知られていない側面がたくさんあります。もちろん現存するメディアにも大きな意義があることは重々承知していますので、そことは違った視点から情報を配信いたします。結果としてサッカー情報の枠組みが大きくなるので全体の情報量を増やせると思っています。

私たちは専門的な配信ができないからこそ選手を応援する同じ立場として『脇役』の思いや意見を顕在化することに一役買えると考えています。そうすれば、ユーザーも選ぶカードが増えます。当然、私たちにとっては試行錯誤しながら行う挑戦です。

私も子を持つ親ですが、子どもには『挑戦しなさい』と言いつつ、実は知らない世界に挑戦することは大人でも大変なことです。私たち『XF』もそういう挑戦をしていこう、と。時に失敗もあるでしょうが、それも糧として、成功の道筋の中で起きた出来事に変えていけばいい。

そこも大人として、社会人として子どもたちに背中で見せられたらと思って決意したのが、今回のメディア挑戦です」

今は個人がメディアになる時代だ。

ビジネスとして立ち上がるメディアを含め多様化が進む。しかし、大切なのはメディアから発信されるメッセージであり、多様性を受け入れたコンテンツ配信ができるかどうかである。

例えば、テニスの大坂なおみ選手が発信するメッセージ。

スポーツの枠を超えた社会に対する声を自分らしく配信する。日本ではまだ受けられ難い環境があるが、彼女のように自分の意見を伝えることは選手の領域を超え、競技の価値そのものを高めることにもなる。

メディアとして、さまざまな価値観を伝えることは多様性を許容し、例えば女子サッカーに関わる人々、またこれから触れる人々の情報感度を高めることに通じていく。

早川社長が背中で語るサッカーへの思いを、このメディアでどう見せていくのか、楽しみにしたい。

早川利澄さん
▼株式会社アイズ・カンパニー代表取締役社長

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学生時代からテニスを楽しみ、人として成長の機会をもらった感謝をきっかけにスポーツ業界に転職。株式会社アイズ・カンパニーで多くの人々に支えられながら社会に求められる挑戦を続けている。

【ブランド沿革】
2007年〜 バスケットボールギアブランド VAYoreLA(バイオレーラ)
2011年〜 バスケットボールウェアブランド OFFLIMITS(オフリミッツ)
2018年〜 フットボールギアブランドXF(エグゼフ)

【ぜひ一緒に女子サッカーを応援しましょう】
#女子サッカーを盛り上げ隊
#第2回日本クラブユース女子サッカー大会U18
#XFCUP

Presented by 『XF(エグゼフ)』
エグゼフは、Creative(創造)、Technology(技術)、Culture(文化)をテーマにしてフットボールにあらゆる価値を融合させ、進化を捧げるブランドです。

#XF1stuser
#スポンサーメディア

取材=木之下潤
写真=佐藤博之
協力=日本クラブユースサッカー連盟

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