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富士通デザインのトイレ

16か月勤めて2019年8月に退職するのでデータと備忘録を公開する。

最近流行りの退職エントリーは大きく分けて2パターンあるように思う:
1. 猛者が記名ありで伝統的大企業のよいところ悪いところを共有しつつ最後にGoogle/PFNに転職します、で終わる。
2. 匿名の人が伝統的大企業の悪いところを共有する。転職先は明記されない。5年1年9ヶ月、少し違うがインターン

tl;dr

Q だれ?
A  CV見て

Q 年収いくら?
A 30歳残業20h/monで額面5.4Mくらい

Q なにしてたの?
A おもにパワポ たまに翻訳

Q なんで辞めるの?
A いろいろ。後半で書く 最後の一滴は昇給額がゼロだったこと

Q どこいくの?
A 学部時代の友人が二人で起業したところ

Q なにするの?
A わからん。Reactか?俺たちは雰囲気でデザインをやっている

構成

1. まず給与や残業時間などの諸データを共有する。
2. 次に私が富士通デザインがどんなところだと感じたかを述べる。応募を考えている学生や転職を考えている方に役立てば嬉しい。
3. 次に退職に至った経緯を述べる。退職を考えている社員、退職を思いとどまらせたい人、いつなぜどう退職したかを知りたい人の好奇心を満たせれば嬉しい。
4. 最後に退職に至った個々の要因を述べる。

給与・賞与・残業

library(ggsci)で色付した。Meiryoなのは仕方ない。ggplotの日本語ムズカシネ

手取り平均308248

年収は1年間の切り取り方によるが最も多い時期で切り取れば額面5.8M程度、最も低い時期で切り取ると5M程度だった。有期雇用の契約社員のため退職金はないが、その他の手当は(京浜手当を除き)正社員と同等だったため、同年の人はほぼ同じになるはずだ。
上記以外に欲しいデータがあれば連絡してほしい。給与を公開する動機は↓など。他にもいろいろあるが主旨が違うので省く。

給与や賞与の紙を自席に貼っておいて、誰でも閲覧できるようにした(トップ写真右上あたり)。引かれたが、たいていは面白がってくれたと思う。なかには給与を教えてくださった方もいた。

Q なんでそんなに多いの?
A わからん。この会社は優秀さに関係なく一律でベーシックインカムしてくれる

Q なんでそんなに少ないの?
A わからん。第一に私の努力が足りない。第二に職種。第三に就職活動をまともにしていない。

wired:   給与 人が優しい 自由
tired:
    会社は特に優しくない 社食とPC環境とトイレが微妙
so tired: 幹部の女性比率が地獄のように低い 地獄っぽい事業部

給与は個人的には全然悪くなく感じる。ただ営業部門の方などは他社に比べて低めだと言っていた。前職(大学特任研究員:額面360k/monボーナスなし)や次職(額面350k/monボーナス働き次第)と比べても遜色ない。ただ子供いたら残業しないと生活できない額だとは思う。

勤務体系は16ヶ月でまともになった。1分でも遅刻するとボーナスに悪影響がある。5分あたり12分ぶんの給与がひかれ、四日間遅刻すると1日休みとしてカウントされる。これはまぁ仕方ないといえば仕方ない。しかし8:30の始業(そも早すぎでは?)の前に15分間、終業のあとに30分間休憩があるのは俄に信じがたかった。もういっそ終業後は始業までずっと休憩時間です、とすれば残業代払わなくてすんで業績爆上げなのでは?そんなケチな方法で給料削減するのかとあきれていたらさすがに厚労省に怒られたらしく、下期から前者は廃止され、後者は15分に変更になった。
最近まで非フレックスだったが、コアタイムが8:30から12:00というコアタイムの意義が全くわからなくなる設定で、私は部長が「5:30から勤務できるんだよ!」と言うのを意識が遠のく中聞いた。ただし超朝型には大変魅力的らしく、姉は羨ましいと言っていた。夜梟は死ぬ(マジ)。これは最近改善され10:00-14:00コアになった。このような小さな、いわばフレックス勤務の意義を考えれば当然の修正が、いかに人の幸せ度を救うか、そしていかにこんな小さな変革を大改善のように感じ始めるかが恐ろしい。管理職の方々が「これでも昔に比べれば少しずつ確実に良くなっている」と言い続けるのは一理あって、狭い集団のバブルの中では変革可能なデザイン空間が限定されるため小変化は大変化に見えるようになることを肝に銘じておかなければいけない。自由を奪っておいてその自由を与え直すと感謝される。
前職が裁量労働制だったのと、確かH社が学位取得者は裁量労働制になるという話をきいていたので、ありますか?と聞いたが管理職以外は制度すらなかったようだった。遅刻せず残業してただひたすら長時間オフィスにいることが高給の秘訣だった。ジャックになってしまう。

自由。少しならおひるねしても怒られない。通電するものを通電したまま机に置けないM社のようなことはなかった。細かいことは指摘されない。サンダルTシャツで通勤しても怒られはしない。SpotifyもKindleも入れ放題聴き放題読み放題できる。推奨されていないはずのGithubも個人のレポジトリでコミットできるし、TwitterもできるしFacebookはみんな開いてるしGoogle Driveもウェブ上であれば使える。余った業務時間は個人的な研究活動に割けるので、神論文の再現コードをいじったりしていた。これは富士通デザインに特有の美徳であって、本体にはおそらくほとんどないようだ。

セキュリティは、当初は厳しいと思っていたが実際には不安になるくらいゆるい。以下カッコ内はそうせざるを得なかった理由。

Slackの運用ルールはバラバラ(社内メッセンジャーが微妙)
USBメモリ使い放題(社内ファイル共有がかつて微妙だった。最近管理され始めた。そりゃそう)
社内ネットの制限を食らえばテザリングし放題(テザリングでもしないと業務にならない。仕組みがおかしい)
果てには公式の社内プロキシ回避ソフトも用意されている。ここで追求されているのは本質的なセキュリティではなく、セキュリティ教のドグマに違反しない抜け道の探究だということに最終的に気づいた(が、それを指摘したらなぜかめっちゃ怒られた)。

社食はまずくて高い。グループ会社が運営しているらしく全く外部との競争がなく、ソビエトみがあってこれはこれでエンターテイメントだった。

トイレは臭くて混んでいる。ソビエト

PC環境は、とても軽いが非力すぎるノートPC;EIZOのとてもきれいだが上記ノートでは10FPSくらいの4Kディスプレイ;CPUとVGAは良いがHDDのせいで起動に1億年かかるデスクトップ(廃棄)という惜しいラインナップだった。明らかにおかしい音をあげる5cm厚くらいのノートPCを使って開発する事業部に比べれば天国のような環境だったが、それでもまあ地獄である。社内ツールのUIは隅から隅までゴミであり褒める点がなかった。ネットワーク環境は調子がいいと50kbpsとかを叩き出していてすごかった。竹槍・石器・マイオフィス!

退職願は手書きのみ受け付けられる。ちゃんとIndesignで組んだのだが人事部にリジェクトされたのでボールペンでトレースしているところ。ソビエト

経緯

2017  Mar ぜんぜん論文書けないので4年間在籍した博士後期課程を中退
2017 May 同研究室で特任研究員(任期2年・1年更新)
2017 Oct 准教授に博士とれそう?と聞かれる。今年は無理そうと言ったらさっさととれよと言われる。がんばって取ることにする
2017 Nov 博論提出
2018  Mar 准教授にFDL行ったら?とすすめられる。3日で辞めますけどいいですかと聞いたらいいから行ってらっしゃいと言われる。FDL面接。人事面接。契約社員として採用(3年契約・1年更新)。学位授与。退職
2018  Apr 入社
2018  May 転職を決意。会社を探し始める
2018  Jul 上司と合わず部長に泣きつく
2018  Aug 友人のツテで一社目(BCGDV)を受ける。すげーウケた気がしたが三次で落ちる。自信を喪失ししばらく受けずに実績つもうかなと思い始める
2018 Oct チームを変えていただく
2018 Apr 契約更新。2年目。人事に「書面上は給与に変化がありませんが、6月に今年度バージョンの給与になります」と言われる
2019 6/13AM 18年度のフィードバック面談。昇給額がゼロなんですが…これはよくあることなんですかと上司に聞くと「ここは僕わかんないや。額は人事部が決めてるから。僕ができるのは評価(1~5)をつけることだけ」と言われる。ダウトすぎる。
2019 6/13昼休み 社員の方に昇給額ゼロだったことありますか?と訊く。一度もないとの回答。
2019 6/13PM 起業していた友人に転職したい旨と希望月収を伝える。了承を得て転職活動終了。
2019 6/17 他にも同年代の何人かに今年度の評価や今までの昇給額を教えていただく。やはり私だけだったので退職することを新しい上司に伝える
2019 7/3 プリントした退職願を提出。リジェクト
2019 7/5 手書きして再提出
2019 7/26 最終出社
2019 8/20 退職
2019 9/2 新職(予定)

次職

ガイカワサキのボゾ爆発:A級はA級を雇う。B級はC級を雇う。C級はD級を雇う。私はこの会社では明らかにC級であってそれは避けがたかったが、ところ変われば貢献度も変わる。毛沢東は軍事の天才だが政治の凡才、私はどなたかにとってのA級でありたい。

要因

会社につなぎとめる数々の細い糸を一本一本切っていった要因に関して述べる。アレルギーと同様、一滴ずつ貯まった要因の最後の一滴が昇給額だった。こういう記憶は時が経つにつれ自分の都合の良いように改変されるのが常なので、忘れないうちに書いておく。大半の方には読んでも益のないrantだ。

勤め先としての総合得点の低さ

数年前に仕事に求めるクライテリアを整理した。
1. 給料がいい
2. 時間が短い(余暇が長い)
3. 楽しい

の3点満点のうち2点とれればかなり良い職場である。もし超優秀であれば3点とれる。私はそうではないので2点を目指そうと思った。Takramのインターンは上から

インターンとしては非常に高いがまぁ最低賃金周辺:0.2,
案外残業あったりするが自分次第: 0.5
面白い: 1

で1.7点くらい、千葉大は上から

ごく普通によい給与: 0.4,
ものすごく暇で裁量労働制: 0.8
作業はごくふつう: 0.2

で1.4点くらい、富士通は上から

ごく普通によい給与: 0.5,
まあ帰れる 暇な時は暇 残業多いときは多い: 0.2
端的に作業がつまらない: 0

で0.7点くらいだった。これが0に近かったら何が何でも辞めていたと思う。この0.7点がちょうどいいトンカツであった。ぬるま湯ガエルに冷水がかかってよかった・・・本当によかった。あと1年半ミイラになるところだった。

最近になって、これら3つは私の個人的な生活の幸せに関わるクライテリアであって、さらに次の項目を加えないとキャリアに関わると感じ始めた。そして現在のポジションではこれらふたつが不足している。
4. 公開できる・わかりやすい業績がつめる
5. (伸ばしたい)スキルが伸びる
5. は特に厄介だ。というのも、なにか真剣に仕事をしていればそのスキルは確実に伸びるのだが、それが自分の求めているスキルなのかが問題になる。私は面接で富士通の人事の方に次のように述べた:

人事の方「とはいっても古い体質の会社なので、いろいろと非効率的なことはまだまだあるし、あまりやりたくないようなタスクはどうしてもふってくると思います。どのように考えていますか?」
ぼく「うーん…まずはその場でスタンダードになっているやり方でやってみると思います。一見非効率に思えても、その場でそのように運用されているのには何かしらの意味があると思うので。その方法ですらできないのに改善を提案しても聞く耳を持たれないのは自然ですから。そのうえで、私もやってみましたがここはこうしたほうがもっとお得なのではないですか、という提案をしていきたいです」

トライはしたが全然無理だった。まず基本的にどのようにしても聞く耳を持たれなかった。次に私の改善案は大して良いものではなかった。最後に私自身、仮に改善したからといってそのタスクは死んでもやりたくなかった。私は当時知らなかったのだが、「学ぶことがある」だけでは全然モチベーションにならない。Googleによるとオフィスでの心理的安全性は「仕事をタスクではなく学習機会と捉えること」によって高められるらしいが、それ以前にどうすればすべてを学習機会を捉えられるのかの指針を教えてほしい。そんな雑食貪食メン強いに決まっている。家事やダイエット早寝早起きを学習機会と捉えたところで何も改善しないのが凡人であり、楽しくて必要にかられないと伸びない。

ということでタスクの偏食に関しては、生得的な欠点としてある程度は仕方ないと諦めないといけない。目下の好物は統計と3Dモデリングであり、ほかに珍しい消化酵素として英語がある(特に英語が好きなわけではないのだが、みなさん英語を消化できないため英語を食える人種は独自のニーシュを築きやすい相対的なアドバンテージがある)。大企業畑ではパワポをきれいにする、アイコンをつくる、の類は大量に生えているが、他にもっとうまく食べてくれる方にお願いするのがよいと思う。ちなみに富士通には統計とモデリングの需要はなかったため、私への需要もなく、英語以外の実質的に貢献できるアドバンテージは皆無であった。

偏食マンは大企業に貢献しにくい。それはそうだ。それをわかったうえでの採用と思っていたが、どうも偏食マンをうまく稼働するまで放し飼いにしておくのはコストがかかりすぎるために放逐されたのだと思う。正直仕方ない気もする。私はこれを「伝統的蕎麦屋さんに就職したパン焼き器の気分だ」と表現した。准教授は「むしろ手で稲刈りしているところにコンバインがきたようなものだろう」と言っていたが、彼らがうまくやる稲刈りに関して私がコンバインのごとく何倍も早く上手にできるわけでは決してなく、むしろ並以下なのでコンバインではない。私は蕎麦を打っている場合ではないと思っており、蕎麦を打ちたくないのだが、いいから蕎麦を打って、蕎麦しか売れないから、と言われ続けていた。うつにはうつけど、正直あんまりうまくないんだよなぁ…。

結局、扱いにくい博士が扱いにくい、という伝統的ストーリーに収斂するのである。申し訳なさと不甲斐なさとがあるが、誰もが予測できた結末をなぜ一歩も回避できなかったのかはいつか考えないといけない。今はちょっとつらいのでやめておく。

フランク語とパワポ

ここでの業務はデザイン業務というよりも事務作業であり、それは他の社員も認めていた。基本的に、まともな人はこの会社をデザイン会社と捉えていない。

私の業務は以下のようなものだった。誰かのつくったPowerPointのスライドをきれいにする。PowerPointでワイヤーのお絵かきをする。手書きで絵を描く。Illustratorで16x16のアイコンを作る。PowerPointでフローチャート風にVRコンテンツのシナリオを記述する。PowerPointで画像パーツの配置を説明する。PowerPointでドキュメントをつくる。まさに大企業のインハウスデザインと聞いて思い浮かべる業務である。大卒院卒の比較的高給取りが毎日朝もはよから集合して、夜遅くまでPowerPointをチマチマいじるのだ。すると何故か大金が発生する。この状況の根源は「事業部も含め誰でもPowerPointは使える」が「PowerPoint以外にみんなが使える言語がない」状況だ。「PowerPointは共通言語lingua franca」だという表現はしっくりくる。共通言語だけしゃべれてもしょうがないと思うのだが…。その意味で我々はデザインの専門職ではなく、共通言語のみが要求される事務作業員だといえる。

デザイナーはしばしば「デザインは見た目をきれいにすることじゃない」と主張するが、まさにそれのみをしていた。だからといってきれいにできるわけではない。蕎麦は蕎麦屋、brand is not what you say it is; it is what they say it is.

風邪

私はひどい風邪ッピキで、年に2-4回ほど一週間以上休まねば回復しない風邪を引く。これは大学入ったあたりからほとんど毎年そうで、生活習慣が大幅に改善している近年でも続いているため、私の努力(「体調管理」)ではどうしようもなく、鬱の人が鬱になるように、起きていれば眠くなるように、生きれば死ぬように自然のことと受け入れなければならない体質だと捉えている。しかしhomo salariumは顧客への責任感という千人針を携えていれば風邪に罹患しない特殊な抗菌賊であって、風邪で休むとまず体調管理をせよと言われる。風を漂うウィルスを回避する努力の欠如を指弾する前に依存性の極めて高い薬物であるところのアルコールとニコチンを全社的に禁じてはどうか。そしてつぎに医者に行けと言われる。病院に行って診断書をもらわないと有給の病気欠勤は申請できない。感冒で医者に行くのは無意味どころか逆効果だと言っても納得を得られることはない。病院に行く体力の浪費により風邪は長引き、病院は混み、国家は医療費を増大させ、会社は働き手をより長い期間喪失することになり、そしてなにより対症療法で症状のみ抑え込んで風邪のまま出社すれば周囲の従業員の健康を害するリスクがある。誰も得をしない。いっぽう体調管理を叫ぶ上司はインフルエンザと診断されたにもかかわらず2-3日休んだのち出社した。彼の出勤日数のためになぜ私たちの出勤日数と健康がリスクに晒されなければいけないのか?以下医者への愚痴。

社員の皆様

選りすぐりの忍耐パーソンだった。ほんとうにすごい耐えていた。ダサいパワポフォーマットに耐え、メイリオに耐え、社内ツールに耐え、忍び難きを忍び、ほどよく不満を言いつつも反抗も改善もせず、ときたまガス抜きができ、この環境に適応した者のみが選抜され、適応した者のみが次のニーシュに転職せずに留まっている。私には全然無理だった。人間は家畜より我慢する動物らしい。なによりもまずいと思ったのは、問題を問題と認識できないくらいに摩耗しているところだった。なにかに関しておかしいというと必ずと言ってよいほど「この会社は全然マシ」と言われた。有給がとれるからマシ、あそこの事業部よりはマシ、男女比率もマシなどなど。それはそうなのだろうし、実際マシなのだろうが説得力はなかった。

富士通しぐさ

適応度、もしくは過学習の度合いを測る基準。

同意する際に「イエスイエス」と言う
スライドの題名が「〜について」
一人称が苗字 例えば佐藤さんであれば「佐藤がやります」「佐藤は」
ボールを投げ合う「この件に関しては佐藤ボールですね」

TOEIC、学位

最近部内で「TOEIC500を目指そうね」という通達がなされた。また研究も奨励されており、論文を発表したりするとKPIに貢献できるらしい。英文のPhD論文を書いた時点で(余談: は大学時代同じサークルだった)この2つに関しては問題なく評価されるのかと思ったが、しかしここでは英語の能力は評価されず、学位の有無は給与に影響しない(これは同じ契約体系の方と確認済み)。まあそんなもんである。上司には「下期は専門性をもってね」「文章が稚拙」など素敵なキラキラフィードバックを頂いた。

ロジスティクスとSSD

10月ころに下期の目標面談というものがあった。なにか不満はないか?と聞かれたので、既に何度か言っていますが相変わらずデスクトップPCのHDDをSSDに換装してほしいですね、と言ったら「そのつもりはない」と言われる。

上司「だってお前SSDにしたら今度はまた違うところであれが足りないこれが足りないって言うだろ?」
ぼく「言いますよ。それを可能な限り改善するのが管理職の仕事では?SSDはトイレみたいなもんです、それによっていくら稼げるかなんて測れないけど満足にトイレもできない環境で働きたくないんですよ」
上司「改善してないわけじゃないんだよ このラップトップだけでもいくらするって話だよ、それだけの成果出せてんの?」
ぼく「(知らねえよ…)1万円のSSDをけちってぼくが辞めたら、だいたい一人雇うのに年収の半分必要と言われていますので僕の場合250万くらいの損害になるわけですよね、その損得勘定でいいんですかね、ぼくは経営者ではないのでいいですが…」
上司「ハードディスクごときで辞めるとかそんなんでいいの?」
ぼく「ハードディスクごとき、トイレごときすら改善できないなら辞めたいっす」
上司「辞めるとか言わないでよ…みんなオープンに接してるし応援してるんだから…」
ぼく「(SSDくれよ…)」

マジでやばいなと思ったが次の会社が決まっていなかったので勤め続けた。結局SSDには換装されず、HDDでは起動に5分かかるQuadroとXeonのささったワークステーションは見事廃棄され、Premiereも満足に起動しない、突然シャットダウンする13"ノートPCをメインで使うことになった。件の上司とはあまりに折り合いがつかないため部長に相談したらチームを変えてくださった。この件に関しては感謝しかない。

トイレ

この可愛らしいが絶望的な字詰めを毎日心の中で拝んでいた ここは決してデザイン会社ではないと思い出させるに十分

開放厳禁だが夏場はくさすぎるためたいてい開いている男子便所の小窓 なかなかロックなので開け放たれているのを見るたびに嬉しくなる[Tools of disobedience] 向こう側は東海道新幹線 通るたびにオフィスは小刻みに振動する その振動を強すぎる脈動と勘違いして半年くらいその記録をとっていた はずい

節電するといくら浮くのだろう 毎日おててをビシャビシャにしていた

血しぶき

まとめ
あう人には天国なのかもしれない。よい経験にはなったが、それは任意の職種を16ヶ月やれば何かしら学ぶことがあると期待できるのと同等の経験だった。もし私が16ヶ月前からやり直せるなら決して就職しない。失うもののあまりに多く、得るもののあまりに少ない16ヶ月だった。

追記
退職メールで社内の方むけに給料を公開したら部長に「今すぐやめろ」と言われた。社員に公開できないような給料を払っているんだねえ…

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