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豊洲といえば『味処いちむら』どころではなくなったっ!?

『ランダムに選んだ過去の写真からインスピレーションを受けた小咄、コラム、戯言などを書き留める写真で二言三言。』

入社してから初めての仕事らしい仕事は本社ビルの引越プロジェクトであった。
まだ就職活動や入社した年度は自分の会社の本社は虎ノ門ヒルズとして再開発される前の時代に在り、襟を正して通勤という感じだったのだが、まだバブルの香りが残っている頃合いに『高度情報化時代への魁遷都!』などという謎のスローガンの元に本社の引越PJが発動したのである。

私が配属した担当はその引っ越し先の建設中のオフィスビルのLANを初めとするOAシステムの開発を担当していた。
LANといっても今のように簡単にLANケーブルを接続すればいいというモノでは無く、基幹のNWの配線から各フロアへの分岐・配線と、ようは建設中のビルに入り込んで工事の職人さん方と一緒に作業をしなければならないのである。

なので、私は工事が始まるとともにスーツ姿から、作業着に安全ベルト、安全靴にヘルメットという姿で早朝から工事現場で職人さん方に混ざってラジオ体操をすることになった。

当時の豊洲は今のような勘違い移民が溢れるような街では無く、石川島播磨の船体ドックを初めとする港湾労働者の街であった。
お店なども豊洲駅の交差点周辺と都営アパートの一階にいくつか点在するくらいで、こんななにもないところに引っ越してきて我が社は大丈夫なのか?先駆けすぎて誰もついてこないのでは無いか?就職先を見誤ったか??とかなり真剣に心配したモノである。
案の定、青島都知事の選挙公約に乗っ取り、都市博は中止、臨海副都心開発計画は縮小となり、豊洲/晴海地区の再開発は20年近く凍結されることとなり、豊洲が今の賑わいを得るまで、我が社の後を追いかけてくれる企業は20数年現れなかったのである……

そんな当時からお世話になっていた数少ない定食屋が今となっては名店である『味処いちむら』さんである。
この工事現場での出会い以来30年間、豊洲の本社に来る機会があれば必ずいちむらでメンチかつ定食や、から揚げ定食といった定番メニューを食べ続けたものである。
なかでも、定番と言うまでの人気は無いが私がオススメなのが写真のポークソテーテー定食である。
お肉屋さんならではの肉厚で甘味のある豚肉を塩胡椒のみでソテーしたモノであり、余計なソースは付いていない。あるのはケチャップとマスタードのみというシンプルな味わいなのだ。

そんな豊洲飯と言えばいちむらというくらい、当然のことながら未来永劫食べ続けられると思っていたのだが、コロナ禍でも無事に生き延びて、ビルの改装まで実施して再開してコロナ禍が明けたところで、なぜか突然のランチタイム営業の休止の知らせが飛び込んで来た!?

もうあのいちむらの定食が食べられないなどと、信じられないのである。


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