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箱庭の街、最後の日。

『ランダムに選んだ過去の写真からインスピレーションを受けた小咄、コラム、戯言などを書き留める写真で二言三言。』

この写真はわたしが暮らした箱庭の街のマンションのベランダから撮影した一枚。
新天地への引越の日の最後の一枚である。

わたしはこの箱庭の街の第一次移民であった。
1995年3月の新橋〜有明間のゆりかもめ全線開業とともに、都民住宅、公社、公団のマンション住民が一斉にこの虹橋の向こう側の人口島の開拓民として移住したのである。

臨海副都心開業当初はお台場海浜公園駅前のマルエツと昔海岸沿いにあった食堂がマルエツのならびに移転していて、生活物資を扱うお店はコレくらいしか無く、あとは公団マンションの道路沿いに出来た観光客向けのレストラン程度で、正直ここで暮らしていけるのか非常に心配であった。

しかし、この写真の通りわたしのマンションからベランダに出ると目の前はこのような景色が広がっており、これはこれでいいか?などとレゲエを流しながらふワふワしていたモノである。

結局この箱庭の街には1995年の春から2007年の春まで12年間も暮らしていた。
暮らしていた頃はあっという間な感覚だったが、12年となると干支一周分である。
独身最後の我が儘な生活をすごしたこの箱庭の街の景色は今となっては多少は変わったのだろうか?


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